お誕生日は、楽しく過ごす ③
「わぁ、ママ。凄く可愛い!!」
「そ、そうかしら」
「うん!!」
目の前のママを見ていると、声が弾んでしまう。だってね、凄く可愛いの。ママって本当にどんな服でも似合うよね?
わたしね、ママのことが日に日に大好きだなって思う。見ていて凄く幸せな気持ちになるし、わたしのことを大切にしてくれているんだもん。
パパもかっこいいから、見ていて嬉しくなるけれどママもそうなの。特にママはパパのことが大好きだからいつも可愛いし。
わたし、ママの可愛いところが大好きだよ。
見ていて嬉しい気持ちになるもん。
恋をするってこういうことなんだろうなって、ママを見ているとニマニマしてしまったりする。
わたしも誰かを好きになったら、ママみたいにわたしも戸惑ってしまうのかな。
ちなみにね、同じ服装にはしていないよ。お揃いにするのもありだけど、ママの可愛さを際立たせるのも重要だよね。パパって親バカだからわたしが並んでいたらわたしのことばかりを褒めたりするかもしれないから!
だからね、ちゃんとその辺は考えておくの。わたしはパパに可愛いって言われるのは大好きだけど、パパとママに上手く行ってほしいなとそう思っているから。
わたしもいつまでも子供じゃないんだよ! そういうところをちゃんと気を遣うんだもん。
それにしてもパパは恋をしたらどうなるんだろうね? わたしのことは分かりやすく可愛がってくれているから、誰かへの好意を自覚したパパって凄いだろうな。でもそれを見るのは娘であるわたしの役割ではない。
そうなると、やっぱりママが鍵だよね!!
ママがパパのことをもっと夢中にさせられることが出来れば……!! そんな素敵で幸せな光景を見ることが出来るんだよね。
「ベルレナは……私がどんな格好をしていても可愛いというから、本当に似合っているのか不安になるわ」
はっ、わたしがあまりにも可愛いとかに会っているとか言いすぎているからかママが心配してしまったみたい。
わたしは本心を口にしているし、基本的にママに「似合ってない」なんて言いたくはないけれど望まれたらちゃんと口にするちもりだ。とはいえ、ママはなんでも似合うし、わざと似合っていないものを着てもらうとかしない限りは全部似合っているだろうけれど。
「わたしは本心でこう口にしているよ!! ママってね、本当に綺麗で可愛いんだよ? それにわたしは似合うものじゃないとママにきてもらわないもん。だからね、ママはもっと自信満々に、自分は可愛いってパパの前に出ていいと思うの。あ、でも似合っているか心配がっているママも凄く可愛いと思うけれど」
あくまでわたしは、自分に似合っているものを着れば「わたし、可愛い」と思うタイプ。ママもそんな風に自分の可愛さを自覚してもいいと思っている。とはいえ、それってわたしの考えでしかない。他の人達からしてみればそう言う考え方が嫌だって人もいるとは思う。
パパはそんなことを思ったりはしないだろうけれど。
「そ、そうかしら。確かにベルレナみたいに自分の可愛さを自覚しているのも、可愛いものね。ただ長く生きている私がそうするのは少し躊躇するわ。でもベルレナを可愛がっているディオノレを見ると……少しぐらい意識してもらえるようにもっと頑張るべきね。こうして家族として認められただけでも嬉しくて、満足してしまいそうだったけれど!!」
ママの言葉にわたしは頷く。
そうだよね。ママってパパのことが長い間、大好きで。でもその気持ちを伝えることも出来なくて。
今はこうして家族になった。
こうして家族になれたからこそ、そこで満足してしまうのも当たり前と言えばそう。……早くその関係性が動いてほしいなんて言うのはわたしの我儘でしかない。
だってわたしは、パパとママのように魔導師になるか、分からない。
それはわたしがパパとママを置いていってしまう可能性もあるということ。生きている間にパパとママが仲良くなってくれたら一番嬉しい。無理強いはしたくないから、ママがパパに好きになってもらうために頑張ろうとしているのは嬉しいな。
「ママ、頑張ってね! わたしが学園に向かうまでの間にまずはパパの意識をもっと変えてみよう? パパがね、ママのことを女の子として意識するように。それでね、二人っきりになってからは沢山デートとかしてみてほしいかも! わたし、経過報告聞くからね? パパとママが近づいたら嬉しいなって思うもん。わたしも、学園に入学して好きな人が出来たらまずはママに言うね?」
真っ先にママに言おう、という気持ちになるのは男親にそういうことを言うのって複雑な感情を与えてしまうかもって聞いたから。
わたしはパパがどういうことを思うかは知らないよ。でもまずは女同士で相談をしてから、パパに行ってみる形になるかな? パパには隠し事はしたくないけれど、そういうのって順序ってきっと大事。
「……ベルレナに好きな男が出来たら、ディオノレは大変そうね。私も、相手が誰であれ、ちゃんと調べるわ。ろくでもない相手をあなたが好きになるとは思わないけれど、その時は忠告するわ」
「うん。そうしてくれると嬉しいかも。だって恋をしたら盲目になってしまうって書いてある本もあったもん。わたしは恋をしたからってパパとママを悲しませたくはないもん」
わたしがママにそう言えば、笑って頷いてくれた。
そんな会話をした後、わたしたちはパパの元へと向かった。




