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お誕生日は、楽しく過ごす ②

 朝ごはんの準備をせっせと進めている。パパはまだ起きていないけれど、ママはもう起きているので、一緒にキッチンに立つ。

 本当にパパはいつまでたってもお寝坊さんだ。

 わたしは料理の準備をするのも好きだから、全然問題はないけれど!!



「ねぇ、ママ。朝からこうやってご馳走作るのも楽しいね」

「そうね。ただ起きてすぐだと沢山は食べられないから、抑え目にね?」


 ママがそう言ってわたしに笑いかける。


 ママって困ったような笑みも綺麗だよね。その表情を見ているだけでわたしはにこにこしてしまう。




 パパやママみたいな顔立ちの人だと、どんな表情をしていても目を引く。

 周りからの視線が気づけば向けられているなんてこともあるのかも。

 というか、わたしも……学園に通って、ちょっと気を抜いた顔をしてしまったりしたら見られているなんてことも起こったりする? そう考えるとなるべく気を引き締めておかないと。


 可愛くない顔を人に見せたいとか思わないもんね。





「うん。朝にいっぱい食べ過ぎて、昼以降に全然食べられなくなったりしたら嫌だもんね」




 お昼や夜に食べるものも考えているの。どんなものを作ろうかと考えるだけでこれだけワクワクするのだから、誕生日って凄く特別な日だよね。

 わたしはベルラとして生きていた頃も、誕生日が好きだったよ。公爵令嬢として生きていた日々も、わたしの一部。沢山の人達にお祝いされて、それこそびっくりするぐらいお金がかかっていたとは思う。

 でもなんというか、ベルレナとして生きている日々の誕生日もとても大好き!




 パパに見つけてもらうまでの誕生日期間は凄く悲しかったけれどね。これから先の人生、誕生日をお祝いするのは当たり前になって、もっとお祝いを疎かにする日が来るかもしれない。でも何だろう、当たり前のことも大切にしていけたら嬉しいなってそうも思う。

 うん、少なくともわたしは誕生日を全力で毎年お祝いしたいな。




「ベルレナは誕生日の日には普段よりもはしゃいでいて可愛いわね」

「だって楽しいからね。ママももっとはしゃごう?」

「大人がはしゃいだら少し子供っぽくないかしら」

「ううん。そんなことないよ。可愛いだけだもん。ママが可愛い姿を見せたらパパだって、可愛いって思ってくれるよ?」



 パパって、わたしのことも凄く可愛がってくれてるもん。だから可愛いもの、好きなはずなんだよね。

 ママがこう……可愛い姿をもっと見せればきっと、どきっとはするかなって。




 でもあれだよね、本で見たけれど常にそう言う姿を見せるのはきっと違うんだよね。時々見せるからこそ、そう言う感情を抱くんだって書いてあったよ。

 わたしも好きな人が出来たら、そういう大人な駆け引きしてみたいなぁ。あ、でも恋をしたらそんな余裕もなくなってしまうのかな。

 ママみたいに全然余裕がない様子も凄く可愛いよね。




「……そ、そうかしら」

「うん、そうだよ。パパはもうすっかりママが居るのが当たり前になって、家族としては認識しているからもう一押しなのかなーって」



 ただこういうのって周りが焦って色々やっても失敗してしまったりするかもしれないって聞いた。恋って難しいよね。

 パパはママを大事にはしてくれているのは確かだし、もっとこう……いちゃついてくれたら嬉しいなーって思ったりする。


「朝食には間に合わないかもしれないけれど、ご飯食べ終わった後にお着換えしよう? わたしも可愛い服色々着たいの。ママもそう言う服着るといいなって思う」

「そうね。そうしてみるわ」




 ママは頷いてくれる。



 こういう時に、ママって自分を可愛く見せることを躊躇はしているけれどちゃんと頷いてくれるんだよね。わたしの言うことに対して素直っていうか。

 魔導師は、見た目とか関心を持たなかったり、周りの意見に反発するようなタイプの人っているらしい。ニコラドさん曰くだけど。でもわたしが知っている魔導師の人達って皆が話しやすいよね。

 それってわたしが魔導師の娘として生きているからよくしてくれているだけかもだけど。




 ママにどんな可愛い恰好をしてもらおうかな? 完全にわたしの趣味で、わたしが楽しいって思う服装にするでもありだったりする? うーん、でもわたしとパパの好みって違うと言えば違うしなぁ。

 わたしが可愛いと思うことに対してもパパは可愛いって思わなかったりするし。





 わたしとパパってずっと一緒に過ごしているのに、そう言う部分は異なるもんね。全部一緒だったらそれはそれで、喧嘩とかしちゃうものなのかな?




 それは人にはよるのかな?

 学園に通ったら、いろんな恋人同士を見ることが出来ると思うとちょっとワクワクするね。わたし自身は誰かのことを好きになる気持ちは分からないけれど、誰かが誰かを大切に思って幸せそうにする様子はきっと見ていたらこっちも幸せになるはず。





 朝食の準備をして、パパを起こしにいった。眠たそうな顔をしているパパに「おめでとう」って口にしたら、パパも笑ってその言葉を返してくれる。

 うん、楽しいね。



 朝食を食べ終わった後はね、パパに「しばらくこっちにこないでね?」といってママと部屋にこもったの。

 パパを仲間外れしてしまったかもとちょっとだけ不安になったけれど、パパは気にしていない様子だった。


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