ニコラドさんと一緒に材料集め ⑧
倒した魔物の身体は一旦、収納庫にしまった。
その後、わたしたちはまた奥へと進む。火竜を倒した後、なんだか少しだけ襲ってくる魔物の量が減った。
ニコラドさんが言うにはわたしが火竜たちと戦っていたところをみた魔物たちは恐れて近づいてこなくなったんだろうということだった。そういうの関係なしに襲い掛かってくる魔物もいたけれど、そういうものらしい。
奥の方に進んでいって、魔石の発掘できるエリアに辿り着いた。その場には魔物の姿も見られるが、こちらから手を出さなければ襲ってこない魔物が多かった。
まぁ、危険がないようにちゃんと結界を張ってから安全に採掘をする。魔石と呼ばれるだけ魔力を多く含んでいて、魔法具や杖に使えるものって中々採掘出来ない。
少しは採掘出来たけれど、この中で杖に使えるようなものってどれだけあるんだろう?
「ねぇ、ニコラドさん。この中に杖に使えるものってある?」
「これとかは使える。でもベルレナ自身の魔力にどれだけ合うかは調べてみないと分からないな。折角作るならベルレナの魔力に一番合うもので作るのがいいからなぁ」
「それはそうだね! とりあえずここではこれくらいにして……、一旦街に戻ろう!」
「ああ」
ニコラドさんと一緒に街へと戻る。
それにしても一つの火山で魔石を採掘するだけでも半日もかかった。ニコラドさんだけだったらもっとぱぱって採掘出来るんだろうけれど、わたしが自分でやっているからちょっと時間がかかる。
「一つの火山で材料集めするだけでも結構時間かかるね……」
「まぁ、当たり前だな」
「ニコラドさん、忙しいのにありがとう!」
「全然気にするな。俺もベルレナには折角だから良い杖を作ってもらいたいからな。今回の材料集めはこのペースだと全部火山になりそうだな。他の材料に関してはまた後日って感じか」
「ふふっ、数日間全部火山って感じってことだよね! それぞれの火山で色々違うところあるのかな?」
「そりゃそうだろ。そこに生息している魔物も違うし、土地の魔力によって色んなことが違う。それぞれ同じように見えても見える景色は違うから、そういうのを一つ一つ見つけるのも良い勉強になると思う」
ニコラドさんはそんなことを言って笑った。
「それより、ベルレナ。ご飯食べるか。食べた後、また移動するぞ」
「うん!」
それからわたしとニコラドさんはその街の食堂に向かった。ご飯を食べながらわたしとニコラドさんはパパとママのことばかり話していた。やっぱりわたしとニコラドさんの共通の話題ってパパとママのことだもん。
「パパとママ、今どうしているのかな?」
パパとママのことをニコラドさんと話していたら、二人はどんなふうに過ごしているかなって気になった。
なんだろう、わたしはパパとママと家族になってから離れて別の場所にいるってなかったから。屋敷の中とか、秘密基地とかにいってて離れるぐらいはあったけれど今はニコラドさんの転移魔法で屋敷がある場所からずっと遠い場所にいるのだ。
「ちょっとぐらい仲良くなってたらおもしれーって思うけれど、そんなすぐには進展しないだろうな」
「パパもママも家族になるまで長かったんだもんね」
「そうだな。ベルレナが居なかったらあいつら契約とはいえ家族にはなろうとはしなかっただろうな。こういう形になることは一生なかったかもしれないし、そうなったとしても
もっとずっと先だっただろうから。本当にベルレナはあの二人に良い影響を与えているなって思う」
「それならよかったー。わたしもね、パパとママが居るから凄く幸せなんだよ。互いに良い影響を与えられるって、凄く良いことだよね!」
わたしがニコラドさんの言葉に笑って言えば、ニコラドさんも笑った。
わたしがパパとママに良い風に影響を与えられたと、二人を昔から知っているニコラドさんにいってもらえるとなんだか嬉しかった。
それにしてもパパとママはわたしが居ない間、どうやって過ごすんだろうね? 帰った後、話を聞くのが楽しみだな。
そんなことを思いながら食事が終わる。
食事が終わった後は、ニコラドさんにまた転移してもらった。それから三日間で色んな火山を五つほど回った。それで魔石も色々手に入ったのだけど、採掘した場所によって魔力が違って面白いなって思った。
その土地の魔力がしみ込んで、魔石となっているからちょっとした違いで魔石って色々異なるみたい。
ただ今の所、わたしの魔力によく合うものってそこまでなかったみたい。そういうちょっと合わなさそうなものでも杖は作れるし、効果は出るらしい。だけど魔力に合うものの方が効果いいからってニコラドさんが一つ提案してくれる。
「日程的に次が最後ぐらいだな。ベルレナがベルレナになる前に生きていた国の火山にも行こう。魂が生まれた場所の魔石はもしかしたら合うかもしれない」
「うん!」
そういうわけでわたしは火山巡りの最後に、わたしがベルラ・クイシュインとして生きていた国――ライジャ王国の火山に行くことになった。




