今年もお祝いをする ②
三人でおめでとうと言いあって、笑いあう。
それでプレゼントを渡しあったりする。パパとママに合う香水を自分で錬金したので、わたしはそれを渡した。
錬金術も習い始めた頃よりはずっと得意になったと思う。一応一通り色んなものが錬金出来るようになったんだよ。大体作っているものは美容品系ばかりだけどね。
わたしには、洋服とか、杖の図鑑とかくれたの。
ニコラドさんから杖の話を聞いてから、どういった杖を作ろうかなってまだ考え中だったからこういうのは参考になるから嬉しい!
まぁ、パパとママからもらったものならどんなものだって嬉しいけれど。
もらったものは全てわたしにとっての宝物だ。
誕生日プレゼントって、ベルラだったころは高価なものを山ほどもらっていた。気に入らなかったら文句を言ったりしていた。でもどんなものでも誰からもらうかが重要だよねとこうしてベルレナとして生きているとそんな風に思う。
「おめでとうって言われるのって凄く嬉しいなぁ」
「私もお祝いされるの嬉しいわ」
「ママが嬉しそうで嬉しい。パパも嬉しいよね?」
「ああ」
パパとママと一緒に笑いあうとなんだか幸せな気持ちになる。
「ベルレナも十一歳か」
「うん! パパにね、見つけてもらってからもう三年も経つの!」
わたしは身体を奪われた時、絶望していた。そして二年経って、パパに拾われてから三年。
わたしが身体を奪われた時は六歳だったから、あと一年経つとあの子がベルラ・クイシュインになってからの期間とわたしがベルラだった時の期間が一緒になるんだよね。
そう考えるとこんなに時間が経ったんだなと不思議な気持ちになる。
「まだ三年か……。もっと長い間、俺の娘な気になってる」
「そうなの?」
「ああ。ベルレナが娘じゃない時が想像できないぐらいだ」
「わたしもパパがパパじゃないの想像が出来ないなぁ。それにママも! パパとママがいて、わたしが居て――うん、わたしにとってすっかりそれが当たり前になってるから、二人が居ない生活は想像が出来ないよ」
パパの娘になって三年、ママとは家族になって間もない。
それでもわたしにとってパパもママも、居ないと寂しくなるような大事な家族。
「私も……二人が居ないのは寂しいわ。不思議ね。少し前まではこんな風になるなんて思ってなかったのに、今は二人と家族として過ごすのが当たり前に思っているもの」
ママもそう言ってくれて、なんだか同じ気持ちというのはとても嬉しいことだなと思った。
「身長も少しずつ伸びてきたよな」
「うん。わたし、少しずつ大きくなってるの!」
ホムンクルスの身体を与えられてから、三年で少しずつわたしは大きくなっている。
パパの造ったホムンクルスの身体は本当に人間と変わらなくて、パパって本当に凄いなってそう思う。
「ママみたいに綺麗な大人になりたいな」
「ベルレナはとても素敵な女性に成長すると思うわ。きっと異性にももてるでしょうね」
ママがそんなことを言いながら、わたしの頭を撫でてくれる。
「……ベルレナはゆっくり大人になればいい」
「ディオノレはベルレナが恋人でも連れてきたら煩そうね。ベルレナなら、ちゃんと良い相手を見つけてくると思うわ」
「……」
パパがママの言葉になんとも言えない表情をしている。
パパは親として、わたしに恋人が出来たらと複雑な気持ちがあるみたい。
わたしは恋とか分からないけれど、好きな人が出来たらパパとママに真っ先に伝えたいなと思う。
「わたし、もし好きな人が出来たらすぐに言うからね!」
わたしがそう言って笑うとパパとママは笑ってくれた。
「学園に入ったら色んな人と出会うだろうし、そこで良い出会いがあるといいわね」
「うん! 学園でどんな人たちと会えるのかなって考えるだけでも結構楽しみ!」
わたしが誰かと恋をするかどうかは分からないけれど、学園に入れば沢山の出会いがあるだろうなとは思う。
どんな人たちがいるんだろう?
仲良くしてくれる人がいるかな?
そんな風に考えるだけでワクワクしている。
パパもなんだかんだわたしに好きな人が出来たら、応援してくれるとは思う。まぁ、相手がどういう人かはパパもママも調べそうだけど。
そういう未来を想像するだけで凄くワクワクした。
一緒にケーキやごちそうを食べてのんびりお話をする。それだけで本当になんて特別で、楽しい日なんだろうってそう思った。
午後にはね、明日のお出かけでどういったものを着ていくかママと相談した。パパの服装もね、ママと一緒に選んだの。だってパパってそういうの相変わらず興味がないんだもん。
お出かけした先で、パパとママに似合うものがあったらまたプレゼントしたいなぁ。
二人とも大好きだから、わたしも沢山おめでとうって気持ちを伝えて何かプレゼントをあげたいって思うから。




