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ロナさんとぶらぶらする ③

 お店で買い物を済ませた後に、わたしとロナさんは相変わらず街を歩いている。



 目的のものは買い終えたけれど、それだけで終わるなんてもったいないでしょ? わたしがロナさんともっとぶらぶらしたいって言ったら、ロナさんは頷いてくれたの。



 ロナさんは美人だから、ちらちらロナさんのことを見ている人も多かった。

 ロナさんはわたしと一緒じゃなければ沢山男の人に声をかけられてしまうのかもしれない。

 ロナさんと一緒に食堂に入った。



 この食堂はテラス席があって、外でご飯を食べられるみたい。外で食べられるのってとても気持ちが良いなと思う。風がすーっと抜けていって、晴れている日だととっても嬉しい気持ちになる。



「ロナさん、風が気持ち良いね」

「そうね」



 そんな会話を交わしながら食事を取る。飲み物がおいしい。おいしい水を使ってそうだよね。

 おいしいなぁと頬が緩む。

 ロナさんも分かりにくいけれど、小さく口元が緩んでいるので楽しいみたい。



「ロナさんは、パパのどういうところが好きなの?」

「ぶっ」



 ロナさんと一緒にいる時は、いつもパパも一緒にいたからそういうこと聞けなかったんだよね。

 わたしもロナさんもパパのことが好きだけど――、その好きって気持ちは異なるんだよね。

 わたしはパパのことを家族として好きだけど、ロナさんはパパのことを男の人として好きなんだよね。



 わたしは恋とか分からないから、どういったものかな? って思う。

 ロナさんはね、顔を赤くしたまま困った顔をしている。



「聞きたいけど、ダメ?」



 そういいながらロナさんのことをじっと見つめれば、ロナさんは観念したように口を開く。



「……そうね。ディオノレは昔から変わらないの。私は自分勝手に生きてきていたわ。ディオノレは出会った頃も、今も……私に対する態度が変わらないの。私は人から色んな目で向けられてきたのだけど、ディオノレは私を見る目が変わらない。最初に気になったのはそこからだったわ」



 防音の魔法をロナさんがかけてくれているので、周りに聞かれることもない。



 ロナさんはわたしにだからこうやって本音を口にしてくれているんだなと思うとなんだか心を許してもらえているみたいで嬉しかった。



 それにしてもロナさんが言うことは分かる気がする。

 パパって、相手がどういう存在でもなんというか……偏見の目とか、嫌な目で見ないんだよね。相手がどういう存在でもどうでもいいみたいな……だからこそ変わらないというか。

 そもそもわたしがパパと初めて会った時だって、わたしは所謂おばけみたいなものだった。身体を無くして、消えかけているわたしを見てパパは怖がることをしなかった。化け物みたいな目で見ることはなかった。



 わたしが普通に生きていれば……、おばけを見るとわたしは悲鳴をあげてしまったかもしれない。そう考えると、パパって凄いよね。



 ロナさんも魔導師として生きてきたから、わたしの知らないような色んな一面があるのだろう。その中で色んな目を向けられてきたのかもしれない。



「パパはわたしのことも、嫌な目で見たことは一度もないの。出会った頃も、今も。今はずっと優しい目を向けてくれている。パパってそういう人だよね」

「そうね。ディオノレはベルレナに見たことがないぐらい優しい笑みを浮かべているわ。あんなディオノレを初めて見たから、とてもドキドキするわ」

「パパを見てドキドキしているの?」

「ええ。ディオノレのことを私はよく知っているつもりだったけれど、知らない面が沢山あるんだなって思ったわ」

「知っているつもりでも、知らない一面ってあるよね。わたしもパパの新たな一面を沢山みたいなって思うの」

「そうね。新たな一面を見れると嬉しいわよね」



 わたしとロナさんはそんな会話を交わす。

 ロナさんはパパのどういうところをかっこいいと思っているのかな?



「ロナさんはパパのどういうところがかっこいいと思う?」

「……そうね。見た目もそうだけど、その性格がかっこいいと思うわ。折れないというか、ぶれないというか、そういうところが……その、好きだと思うの」



 恥ずかしそうに、そんな風に言うのが可愛いなぁと思う。

 恋をしている人って皆、こんなに可愛いのかな? ロナさんの顔が赤くて、思わず笑ってしまう。



「パパは自分っていうものを持っているよね。わたしもね、パパは変わらないんだって、わたしのことを受け入れてくれるんだってそういう気持ちがあるからのびのびと生きていられるんだもん」



 わたしがそんな風に言ったら、ロナさんも笑った。



「ベルレナはディオノレに出会えてよかったわね。ディオノレもベルレナに出会えてよかったってきっと思っているわ」

「そうだといいなぁ」

「見るからにそうよ。ディオノレは可愛がってなければあんなに過保護にならないわ。ああいう父親面を出しているディオノレも……今まで見たことがない一面だったわね」

「そういう一面を見ても、ロナさんはパパのこと、好きなんだよね?」

「……そうね。そういう一面も、好きだわ」




 やっぱりこうやってパパの話をロナさんとするの楽しい! わたしもロナさんもパパのことが大好きだから会話が弾むもん。


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