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わたしと、精霊獣 ①


 今日は珍しくロナさんもニコラドさんも屋敷を訪れていない。時々、こういう時があるものなの。

 何だかやってこないなーと思うと寂しい気持ちもするけれど、パパと二人というのも楽しい!! わたしはパパと一緒に過ごせるだけでも、とても嬉しくて仕方がないの。



「パパ、今日はパパは何するの?」

「いつも通り」

「もー、パパはそればっかりだね?」

「ベルレナは何をするんだ?」

「私はね、今日、まずは精霊獣の卵に魔力を込めて、あとは魔法の練習をして、手紙を書くの! あとね、パパとも一緒に過ごしたいな!」

「そうか」



 パパはそう言いながら、わたしに笑いかける。

 優しい笑みを浮かべてるパパを見ると、わたしも笑みをこぼしたくなる。



 精霊獣の卵には、時々魔力を込めている。魔力を込めるといいんだって、パパが言ってたから。それにしても、産まれる前から意識があるって言ってたけど、本当かなぁ。

 わたしのことを好きになってくれたら嬉しいなぁと思いながら、部屋に置いてある卵を見る。まだ生まれる気配がなくて、いつ産まれるのかなとずっとワクワクしているの。

 まだかなーまだかなーって結構見ちゃう!



 でもじーっと見ているのも飽きてしまうので、しばらく見た後はすぐに他のことをしてしまったりするの。




 魔法の練習をしようかなと考えて、屋敷の外に出る。パパが屋敷の周りに魔物は出ないようにしているから、その場所で練習中なの! 魔法の練習って楽しい。結構大変だったりもするし、上手くいかないこともあるけれど――それでも少しずつ魔法が使えるようになることが嬉しい。



 パパが魔導師なのもあって、わたしにとって魔法というのはとてもなじみ深いものだ。でも多分、魔法って使わない人にとってはきっとなじみ深い者ではないんだろうなぁって思う。

 わたしがベルラだった頃も、今ほど魔法に関わっていたわけでもないし。





 なんて思いながら魔法の練習に勤しんだ。

 魔力を使うことは、結構疲れるので、一息ついて、屋敷の中へと入る。椅子に腰かけて、ぼーっとする。




 もう少ししたら昼ご飯の準備をしようかなぁ。今日は何作ろう?

 食料庫にある沢山の材料の中から、どれを作ろうかなって探して作る。パパは相変わらず、時間になっても出てこないので呼びに行く。





 パパって本当にマイペースだよね! なんて思いながらパパと昼食を食べた。ご飯を食べながらもパパに沢山話しかけたりする。

「パパ、あのね」

「明日は――」

「パパは、今日のご飯はどう?」




 わたしはパパに沢山話しかけるのだ。もちろん、もぐもぐしているときは話さないけど、やっぱりパパと沢山お喋りしたいなって思うから、いっぱい話しかけちゃうの。




「パパは、今日、ロナさんとニコラドさん来ないけど寂しくない?」

「別に」

「そっかぁ」




 寂しいってなった方がいいなぁって思うけれど、パパの性格的に誰かが来なくても寂しいなんて言わないのだろうななんて思う。

 ちょっと一つ気になって、パパに問いかける。




「パパは、わたしがもしいなくなったり、あんまりしゃべりかけなかったら寂しいって思う?」

「それは当然だろう。……独り立ちするにしても、急にはやめろよ?」




 パパがすぐにそう言ってくれて、わたしは嬉しくて笑った。





「当たり前だよ。パパ。というかわたし、大きくなってもパパの傍に居たいなって思う。パパと仲良しのままがいいし、パパを大好きなままだと思うもん」





 きっとわたしにとって、パパのことはずっと特別だと思う。きっとこれからどんなことが起きても、どんな人と出会っても、パパのことは大好きだと思う。この気持ちはきっとずっと変わらない気持ちだ。


 そう言ったらパパは照れたようにそっぽを向いた。



 午後になると、手紙を書いたりしていた。

 


 数日間、ロナさんもニコラドさんも来なかったので、寂しいなぁと思いながら私はそうやって過ごしていく。やりたいことも沢山あるから、暇になることはない。次にロナさんとニコラドさんが来たら一緒に何しようかな、何話そうかななんても考えていたりもする。




 ――そうやって過ごす中で、パパが急に口を開いた。



「部屋の卵、そろそろ孵りそうだ」



 その言葉を聞いて、わたしは部屋へと急いだ。その後ろからパパもついてくる。

 そして部屋にたどり着いた時、ちょうど、卵にひびが入っていた。ひびが徐々に卵全体に広がっていった。




 その中から、小さな獣が現れる。真っ白な毛並みの、小さな角の生えた存在がいた。


 なんてかわいらしいのだろうか。それに、産まれてすぐに角も生えているんだなってびっくりした。

 その産まれたばかりの精霊獣と、わたしの目が合った。


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