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15 お花畑

 ノームのおじいさんと別れて歩き出すと、道はどんどん上り坂になっていった。


 最初は緩やかな傾斜だったのだが、次第にきつい勾配になったらしく、レオは「ふう、ふう」といいながら登っている。


「レオ、随分と坂がきついみたいだけど、大丈夫か?」


 フワフワとレオの顔の辺りを飛びながら尋ねると「ちょっとね」と返ってくる。


 こんな時、僕だけが飛べるのが申し訳なく思う。


 やがて道は壁を登っているような形になり、上の方が明るくなっていた。


「レオ、どうやら出口みたいだぞ。あと少しだ」


 やがて出口に到達し、レオは穴から顔を出した。


 辺りは一面の花畑で、色とりどりの花が咲いていて、僕達の目を楽しませてくれる。


 レオは穴の縁に両手をかけて、力を込めると全身を穴から出した。


 レオはそのまま、その場にべたりと横になる。


 すると、今僕達が出てきた穴がすっかり塞がってしまい、何処から出てきたのかわからなくなった。


「レオ! 穴が塞がっちゃったよ!」


 僕が叫ぶとレオは身体を起こして穴があった場所を見つめた。


「ほんとだ! こんなお花畑の真ん中に穴が空いてるなんて危ないなと思ったけど、僕達が脱出するためだけに空いていた穴だったんだね」


 これもノームのおじいさんの力なのかな?


 穴が塞がっている事を確認したレオは再びその場に横になる。


 風は気持ちよくそよぎ、花の良い香りが辺りに立ち込めている。


 日差しも暖かく、蝶々や蜂たちが蜜を集めるために忙しく舞っている。


 暗い地下の中にいた分、こののどかな風景に僕もレオの横にゴロリと寝転んだ。


 転生してからずっと動き回っていたせいか、ウトウトと眠くなってきた。


 草花の風にそよぐ音を子守唄がわりにして、僕とレオはしばしお昼寝の時間だ。




 どのくらい時間がたったのか、隣のレオが身じろぎに僕も目を覚ました。


「やあ、すっかり寝ちゃってたな」


 レオが身体を起こしてうーんと伸びをする。


 僕も身体を起こすと、レオの顔の辺りまでふわふわと飛んでいった。


「気持ち良かったね。そろそろ出発しようか」 


 その時、急に僕とレオの周りに影が出来た。


(太陽が雲に隠れたのかな?) 


 そう思って顔をあげると…。


 そこには一つ目の大男が立っていた。


「サ、サイクロプスだ!」


 まさか、こんなのどかな場所で、怪物に出会うとは思ってもいなかった。


 レオも慌てて立ち上がり、戦闘態勢を取っている。


 僕もどこまでこの怪物に抵抗出来るかはわからないが、レオには指一本触れさせないぞ!


 僕達が身構える中、サイクロプスはズシンと地響きを響かせながら、こちらへ一歩近付いてきた。

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