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121 忍者スキル⑤

やっぱ間に合いませんでした_(꒪ཀ꒪」∠)_すみません


 ツクヨミ学園ダンジョン40層を突破出来るであろうパーティで、初心者ダンジョンに毛が生えた程度のダンジョンボス戦で苦戦するだろうか。


 もちろんない。

 

「はぁ……」

 結花は宝を守る隠しボス『赤鬼』が、魔素に変わっていく姿を見ながらため息をつく。

「どうした結花。ため息なんかついて」

「私が井の中の蛙だったって事をよーく理解しましたよ」

「何がだ?」

「これでも結構自信有ったんですよぉ。お兄ちゃんにも負けたことなかったですし」

 あーやだやだ。なんて言いながら、手に込められていた魔力を霧散させる。

 

 とどめは任せた方が良かったのだろうか。

 ななみの矢が敵の退路を塞ぎ、リュディのストームハンマーが直撃してバウンドしている最中に距離を詰めた俺が刀を抜き一閃。

 ボスは何かをするまもなく消えていった。

 

「あーもう、見た感じ私が一番足手まといじゃないですか」

「そうか? 俺には一切そう見えないが。回復も出来るし」

 たまたま機会が無かっただけで、雑魚戦では非常に活躍している。居るだけで目の保養になるし。妹が欲しくなるし。

「お世辞は良いです。そもそも回復必要でしたぁ? 今回一切必要なかったと思うんですけど?」


 すっとななみが前に出ると首を振る。

「結花様、ご主人様は…………俺が無茶して攻撃できるのは、結花のおかげじゃないんだからっ、勘違いしないでよね! と仰っております」

「なんでツンデレ風に言うんだよ? それ言葉通りに受け取ったら勘違いされるやつだから」

 あとお前の中で声質変えるブーム来てるよね?


 むしろリュディとか結花に言ってもらいたい台詞だ。

 いや、現実でやられるとムカつきそうだからやっぱりなしで……!


「じゃあなんですかー、瀧音さんは私の回復だけが目当てだって言うんですか?」

「体目当てみたいな言い方やめてくれ……そんなわけないだろ」


「瀧音さんひどいです。トレーフル皇国旅行三泊四日スイートルームで構いません!」

「結花って欲望に忠実だよな」

 はっきり言ってくれるから、すごくわかりやすくて良いと思う。ちなみにリュディに頼めば普通にOK出してくれそう。追加パッチで皇国のリゾート地へ遊びに行くイベントあったし、機会があれば行くのも有りだ。

 

「ななみさんの言うとおり、瀧音さんからは素晴らしい突っ込みが返ってきますね」

「ってななみの影響か!?」

 ななみ、なぜあなたはどや顔ダブルピースしてるんですか。


「あーもぉ、色々冗談ですよ、冗談っ! でも今日は来て本当に良かったです。本当にためになりました……ありがとうございます。もちろんリュディヴィーヌさんや水守さんななみさんもです。今日は攻略にまぜていただいて、ありがとうございます」

「私のことはリュディで良いわ。あと皇国に来たいなら私が招待するわよ? 雪音さんも是非どうですか?」


「え、ええっ。だから冗談ですよっ!?」

「長期休暇の時などにでもお邪魔させて貰おう」

 マジでビビる結花と普通に接する先輩。結花はまだ少しリュディに遠慮があるように見受けられる。

 

「いいわよ、お父様も連れてきて良いって言ってるし。あ、幸助。あなたは直接お礼を言いたいらしいから来て」

 行くの確定なんですね。行きたいけどアレに会うのが確定かぁ……どうなることやら。

 

 と、話していると魔物は完全に魔石へと変化していたようで、ドロップアイテムを回収した先輩がこちらに歩いてきた。


「さて、皆。そろそろ先へ進もう。隠し通路の先だ、何かあるだろう」

 そういって先輩は俺を見る。

 仰るとおりで、ここには俺が求めていたスキルがある。

 

 そうですね、行きましょう。と先輩の横を歩く。


「ななみと調べた所によると、ここでは『投擲の心得』を入手できる……はずです。だよな?」

 

 「私の事は呼び捨てで構いません」と結花に言っているななみに視線を向ける。ちょっとタイミングが悪かったかもしれない。

「確実とは申し上げられませんが、ご主人様と調べた限りではそうでした」

 突然振ったにもかかわらず、ななみは俺が求めていた回答をしっかりと返してくれた。


「投擲、か。……なるほどな。すごく瀧音に合っていると思う。そうだな、私も少し経験がある、良ければ見るぞ? あと知り合いにそういったのが得意なのが居るのだが、紹介するか?」


 知り合いとは誰だろうか? 投擲が得意な学生は……思い浮かぶのはツクヨミ新聞の彼女だな。

「とりあえず先輩にお願いします。お知り合いの方は予定を確認してからで」

 まあ色々やることがあるから、ほぼ一緒に暮らしている先輩はともかく、その人とは時間を合わせられない可能性があるし、とりあえずこれでいいだろう。


「分かった。のちほど確認しておこう」


 とはいえ先輩に任せっきりで無く、自分も動かないと。

 可能性の種を使用したから、自分の投擲に対する適性はかなり良くなっているはずだ。まださほど試していないが、投擲武器のエンチャントによって武器自体の底上げもできる。

 

 しかし懸念もいくつかある。

 ゲームでは手裏剣、投げナイフ、クナイといった投擲武器は、消費アイテム扱いで一度使うと無くなってしまうアイテムだった。そのため個数が……金が必要だった。


 ツクヨミ学園ダンジョンに挑む前に投擲スキルを鍛えなかった理由の一つだ。陣刻魔石だけで予算のほとんどを吹っ飛ばしたからな。

 

 一応、とあるダンジョンで入手出来る特殊な投擲武器には、いくら使っても減らない無くならないだなんてチートじみた性能の武器もあったりする。しかしそれは現時点でも攻略はつらいだろう。モニカ会長や聖女がパーティに居て真面目に戦ってくれるのなら話は別だが。

 

 まあ現実はゲームとは違い、何度か再利用できるのではないかと思っている。いずれ使えなくなるし、そもそも複数個持ってないと一度の戦闘で一度しか投げられないから、最低でも複数所持はしなければならないだろうが。


 ただ、投げられるのはなにも投擲武器だけでは無い。ここは現実でメニューに無いものを投げても良いのだ。

 色んな物を試してみる価値はある。ハンマーなんかは何度も何度も使えそうな気がするし、猛毒の入った瓶といったアイテムも有効に利用できるかもしれない。気分的にはあまり変な物を大量に持ちたくは無いが。

 

 さらにだ。もし第三の手、第四の手でもスキルの恩恵を受けられるとなれば、有用性は飛躍的に上がるだろう。

 ストールで何かを掴んで投げることはよくあることだ。今回のダンジョンでもモンスターを投げたことだし。

 

 ほかの懸念を挙げるとすれば、長距離には向かない事か。あまりに距離が離れていると、簡単に避けられるのが想像出来る。中距離程度ならエンチャント次第でなんとかなりそうではあるが。

 まあ、長距離はパーティメンバーを頼りにするで良いであろう。幸いにもリュディもななみも遠距離攻撃は得意だ。やろうと思えば先輩だってできる。

 

 まあ兎にも角にも

「訓練しつつ、色々検証するか」

 本格的に検証するのはギャビーの件を終わらせてからになるだろうが。


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