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120 忍者スキル④(ちょい休憩+2回目突入)

2019/09/11 更新1回目 2回目は日付変わるかも

 メッセージを貰ってからベニート卿に連絡を取ったのは失敗だったのかもしれない。俺は彼のすぐそばにギャビーが居る事も考慮しなければならなかった。


「あら、逃げ出すんですの?」

 場所を変えるのはどうかと提案すると、通話にギャビーが割り込んできた。どうやら俺が臆しているとでも思ったのだろうか。これ幸いとこちらを煽ってくる。


 こちらからすれば、結花とギャビーの安否を気にして言っているのであって、逃げるつもりはない。もちろん色んな意味をもつ安否だが。本音を出すならば慌ててる二人をじっくり観賞したいぐらいである。


 すぐ近くに結花がいるのに通話したのも失敗だったかもしれない。

 

「私はそこで構いませんよぉ。だってぇ瀧音さんはあなたがボロ負けするのが忍びないから、心配で言ってるんですしぃ。せっかく心配して場所を変えようと言ってくれてたのにぃ、まさか自分から恥をかきに来るだなんて、思いもしませんでしたっ☆」


 煽る、煽る。


 普段の3倍くらい砂糖をぶち込んだような甘ったるい声で話されては、さぞかし頭にクることだろう。ギャビーは震える声で日付と時刻を伝え、逃げないでくださいなと通話を切った。

 

「全くなんですか、あのブラコンドリルは」

 プンスカ怒る結花に一言言わせて貰いたいのだが、あなたも紳士淑女エロゲプレイヤーが認めるブラコンです、はい。それにしても強そうなドリルだ、妹として欲しい。


「式部会も大変そうね」

 プリプリ怒りながらななみに愚痴る結花を見ていると、隣で話を聞いていたリュディはしみじみと言う。

「も、と言うからには風紀会もなんだろ?」

 風紀会は今何が起きてるだろうか。起こっててもおかしくないのは『ダンジョン腕試しイベント』や『筋肉イベント』あたりだろうか。さすがに『取り締まりイベント』に関しては、もう終えているであろう。


 これらは風紀会のみでしか発生せず、上級生から腕試しと称されてやるイベントだった。ダンジョン系は三会関係者をパーティメンバーに誘えるイベントで、幾人かでダンジョン攻略をして自分の実力を認めさせる、なんて内容だったはずだ。ただ今回は先輩の強い推薦があるから発生しなくても……まあ他の会員が実力を知りたいとなればやるのか。


「うん、それでね。もしもなんだけど……」

「なんとしてでも時間は作るから、いつでも言ってくれ」

「……うん、ありがと。………………ねえ。私、何も言ってないわよね?」


 一瞬笑顔を浮かべたリュディだが、すぐにきょとんとした表情に変わり首をかしげる。


 確かに彼女は何もいってない。だけど。

「いや、リュディの言いたいことは察せられるからな」

「なに、それ? ふふっ」


 リュディは嬉しさをこらえきれないといった様子で顔をそらした。口元に手を添えているが、こぼれた笑顔は隠しきれていない。

「じゃあエスコート、お願いしようかしら?」

 そう言って上目遣いでこちらを見る。

「おう、これでも紳士とあだ名された俺だぜ。ダンジョンだってエスコートしてみせるさ」

 

 それから少し皆で休憩した後、ダンジョン攻略を再開させるため転移魔法陣へ移動する。


 気分よさげなリュディと、まだ少し苛立ってる結花の後ろで美脚を堪能していると、横から気配を感じたので声をかけた。

「どうした? 今後の相談か?」


 相手は予想していた通りななみだった。盗賊系のスキルを得てから、こういったこっそり忍び寄る事がある彼女だが、それを見破ろうとして俺の気配察知能力も向上している気がする。

 向上とはいってもまだ先輩やななみに遠く及ばないが。


「いえ、なかなか見所のある女性だなと思いまして」

「ええと、結花の話か?」

「そうです。能力もそうですが、人間性も素晴らしいところがあります」

「ななみは気に入ったのか……?」

「ええ、素晴らしい人材だと思います」


 素晴らしい人材、か。とはいえ先ほどの通話を聞いていたなら、ちょっと怒りっぽいとか、マイナス評価が付きそうなものだが。

 いや、普段はそう表だってプリプリするような人じゃないのだ。裏では今回みたいにマジギレするときもあるけれど。それになんだかんだで人思いで優しいんだよな。ただ、どうでも良いことにはとことん興味持たなかったりするが。

 

「……結花は、本当は良い子なのは知ってるんだけど、ちょっと暴走気味なんだよなぁ……何でだろ」

 はあ、とななみはため息をつく。

 

「あり得ない仮定ですが、もしリュディ様がいわれのない事で誹謗中傷されていたら……ご主人様はどう思いますか」

「そりゃまあ……」


「同じではありませんか。さて、皆様移動を始めています……参りましょう、ご主人様」



----

 

 『遁走』という逃走能力を上げるスキルを入手した俺たちは、からくりの城へ再突入する際に当然のごとくそのスキルを有効活用して敵から逃げまくる…………なんて事にはならない。

 2度目『からくりの城』でも、雑魚の戦闘はスルーせずしっかりすべてを倒しながら先へ進んでいく。そしてドロップアイテムの回収は忘れずに。

 

「それにしても、罠が多いわね」

 

 リュディはそうぼやきながら、ななみが指摘する罠を飛び越える。

 

「そういうダンジョンだからなぁ」

 

 残念な点を上げるとすれば、ここの罠はCGを入手出来ないことだろうか。まあ有ったのだとしても、断腸の思いどころか全身細切れの思いで回避するつもりではある。でもさ、少しだけ、少しだけなら……。

 

「それにしても、すごいパーティですねぇ……」

 結花はしみじみとそう言う。

 すぐさま妄想を吹き飛ばし平静を装うと、彼女に意図を聞く。


「何がだ?」

「スサノオ武術学園でも、こんなにすごいパーティなんてめったに見ないですよ?」

「そうなのか?」

「そうですねぇ、あっちの上級生と遜色ないレベルです」


「結花」

 その声に振り向くと、後ろを付いてきてくれている先輩は笑っていた。

「ツクヨミ魔法学園でも瀧音達は異常だから大丈夫だ」


「異常で大丈夫って何かおかしくないかしら……さりげなく私も含まれてるし」

 とてつもなく同意したい。

「ツクヨミ魔法学園で思い出したんですケド、この学園自体が色々とすごいですよね」

「色々とすごい?」


「ええ、だってほかの学園じゃこんなに広い敷地はないですし、移動は転移魔法陣だし、ツクヨミポイントなんて有るし」

「え、ここってそんなにすごいのか?」

 

 はぁ。とあきれた様子でため息をつくとジト目でこちらを見る。

「これだから超お金持ちは……ローゼンクロイツ社……いいえ、花邑グループで作ってる魔法具ください」


 花邑家って結構おかしいっぽいからなぁ。

 当初は単純に金持ち程度なイメージだったが、かなりヤバイ家って事を最近実感してる。特に貴族ぽい生徒からの対応が顕著だ。

 

「確かにツクヨミ魔法学園の施設は、世界屈指、と言うより世界一位だと思う」

 と先輩が同意する。

 

「一度アマテラス学園とスサノオ武術学園の大会に出たことがあるが、施設のすごさは圧倒的にツクヨミ魔法学園が上だ。そのせいか生徒の全体的な質も少し高いように思う」

 その言葉に結花は頷く。

 

「そうですねぇ~それはあると思います。ケド、あっちの最上位にはすごい人が幾人か居ますよ」

「そうだな。私の知る限りでも数人。モニカ会長には及ばないが、ステフ隊長並に実力有る者がいる。ただ、全員が全員尊敬に値するかと言えばそうではないのだが……」

 先輩が言葉を濁す人物か、いったい誰だろう。単純な実力者であれば幾人か候補が浮かぶのだが……彼か?


 まあどちらにしろ、先輩はそいつらを飛び越えモニカ会長に並ぶことになるのだが。

 

紳士(変態)


色んなイベントの種を蒔きまくってますが、

ゲームではこんなの有ったんだ程度に考えててください。

場合によっては使わないので_(:3」∠)_

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