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勇者と闇魔道士と女騎士の怪談 2

――真夜中の怪談話(かいだんばなし)が続いていた。



女騎士

さて、次は誰が話してくれるんだ?



勇者

じゃあ俺がいこう。



闇魔道士

おい勇者! あまり怖い話はするなよ!



女騎士

それじゃ怪談にならないだろう。



勇者

そうだなあ。昨晩の事なんだが。



女騎士

ん、ずいぶん最近の事なんだな。



勇者

俺は寝ようと思って(あか)りを消してベッドに入った。



勇者

真っ暗な中、ボンヤリと天井を見上げていた俺はゆっくりと目を、閉じた。



勇者

その時だった! 突然トントン、トントンと扉が叩かれる音がする。



――トントン(部屋の扉の叩かれる音)



勇者

!? だ、誰だ!



女騎士

まさか怪談話をしていたから幽霊(ゆうれい)が寄ってきたのか!?



闇魔道士

貴様ら冗談(じょうだん)はよせ! もし幽霊でも我の闇魔法さえあれば恐るに足らんわ!



勇者

そう思うんなら俺に抱き着くのをやめてくれるかな?



――ドンドン! 



闇魔道士

ひゃああああ! 



女騎士

くっころだ! くっころが出たぞ!



勇者

落ち着け! どうせ調合師がトイレに付いて来て欲しいって……



――開けろ……、ドアを開けろ……!



女騎士

いやこれ絶対調合師の声じゃない! 絶対くっころだ!



勇者

おい抱き着くな女騎士!



闇魔道士

もう無理マジ無理!



勇者

お前に至ってはなんか()れてるし!



――ドアが開いた。



一同

いやあああああ!



魔法使い

ごきげんよう。



勇者

な、なんだ魔法使いかよ、死ぬほどビビったわ……。



魔法使い

何やってるんですか勇者さん。



勇者

え?



魔法使い

こんな夜中に女騎士と闇魔道士と何をしていたんですか!



勇者

何って怪談話だよ。



魔法使い

へえ! そんな3人で抱き合って言われてもなんの説得力もありませんねえ!



勇者

いや違うんだ! お前が急にノックするからビックリしたんだよ!



魔法使い

勇者さんの嘘つき! 闇魔道士なんか勇者さんに抱き着いたまま白目(しろめ)()いてアへ顔してるじゃないですか。



勇者

いやコレ怖すぎて気絶してるんだと思うけど。



闇魔道士

アへぇ!



勇者

うるせえ!



魔法使い

女騎士のイヤらしい声も聞こえてきたし!



女騎士

私はイヤらしい声なんか出していないぞ!



魔法使い

嘘おっしゃい! くっころ くっころ って言ってたでしょうが!



勇者

毎日息をするように言ってる気がするんだが。



――再びドアが開いて調合師が入ってきた!



調合師

勇者、今日もトイレに付いてきて欲しいの……。



魔法使い

勇者さんトイレで調合師に何をしてるんですか!



勇者

何て調合師が一人でトイレに行くのが怖いって言うから付いて行ってただけだよ。



魔法使い

嘘ですね! きっとトイレに着いたら豹変(ひょうへん)して「俺の棒でかき混ぜて調合してあげるよ」とか言ってるんでしょう!



勇者

お前想像力豊かだな。



魔法使い

調合師に付いて行ってあげるんだったら後で私にも付いて来てくださいよ!



勇者

トイレへか?



魔法使い

いえ拷問室(ごうもんしつ)に。



勇者

イヤだよ!




おわり


お読みいただきありがとうございました!


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