第62.5話 幕間の間 セリアだけは知っている
お読みいただきありがとうございます。
セリアって誰だよ、担任だよ。
今日は担任視点の番外編。
ちょっと小説の位置をずらしました。
うわあぁぁ!
もーおしまいだぁぁ!
こんなの学級崩壊じゃないのよぉぉ!
しどろもどろに足を動かして職員室に急いで走りながら、私は髪の毛をくしゃくしゃにする。
――――――――
うわあぁぁ?
事が起きたその瞬間、私は非常に冷静だった。
私は授業を終えて、お昼ご飯は何にしようかとルンルンに教室を出た時だった。私が教室を出てすぐに、教室で何やら揉め事があったらしいのだ。
そこで私は、「うわぁ嫌だなあ。このクラス、いわゆる上位クラスだから、いざこざがあると本当に厄介なんだよなあ、すぐ親出てくるし」とか思って少し眺めていた。
するとどうだ、今度は学年有数のやんちゃが来たじゃないか。
そこで私は、「うわぁ嫌だなあ。この学校、貴族階級以外も受け入れる真新しい風潮の学校なんだけど、まだ社会はそれに追いついていないというか、その手のいざこざ多いんだよなあ、嫌だなあ、お金持ちの親出てきたら」とか分析しながら少し眺めていた。
ほんと、考えなしだったよ、過去の私は。文にしてみて、その稚拙さに感服の念すら覚えちゃうよ。なーにが分析なのさ。
その時の話に戻る。そんな感じで眺めていると、ステラさんの笑みが消えたんだった。相変わらず呑気な私は、「いつも笑っている人が笑うのを止める瞬間が一番怖いよなー」とか呑気に思いながらその光景を見ていた。知ってたのに、私そのことちゃんとわかってたのに!!!
はぁ、でも油断してたぁ。まさかあのステラ様がそんなことをするなんて……。
少しして、彼女は突然にくるりと回った。「回ったなー」とか思いつつ、「回り方綺麗だなー」とかも思いつつ、その光景をみていた。
するとどうだ、今度は準備運動っぽいことを始めだした。「はえー、やけにキレのいい準備体操だなあ。いつものステラさんじゃないみたいだー」なんて考えていた。
そして……
なんというか、飛んだ。
え、飛んだの? いや、飛んだんだよなぁ?
そう、ステラさんは机の上から大ジャンプしたのだ。
体操の選手のように、器用に体をひねらせて、幾人もの人を飛び越えていた。
あまりにも非現実な光景に、私の頭も思わずすっ飛んだ。
――――――――
うんうん。
いやね、私も目を疑ったよ? でも飛んだんだから飛んだんだ。どう考えてもあれは飛んでたよ。
え、飛んだの? もう一度自問自答しよう。彼女、そもそもそんな運動できるはずなかった気がするけど? え?
いや、どう考えても飛んだよなー。それも普通にやんちゃするためのジャンプとかじゃなくて、本気のジャンプだったよ。なんというか、プロのジャンプだ。ってか慣れてるだろあいつ。
冷静さを取り戻すと共に思わず取り乱す。思わず口調も荒れていく。待て待て慌てるなし、私は先生よ、さすがにダメよ、その暴言は。
さて、考えよう。レッツシンキング。
職員室でこのことを言ったらどうなる? 学年一位がついに乱れた、原因は誰だってならない? ……ってちょっと待て、もしかして原因って担任の私か?
あ、ダメだ終わった。せっかく教師という座を手に入れてここまできたのに。いや絶対終わった。
このまま借金背負わされるんだ。そうしてどこかに売り飛ばされて、新鮮ですよって言われちゃうんだ、新鮮じゃねえじゃねえかって怒られるんだ。はい、もう私はお古なものですので。
ダメだ、どう考えてもダメだ。あまりにも鮮明で明瞭でドロドロとしたきったねえ未来が見えた。
とすると、絶対に職員室にこの話を持っていったらダメだ。なんとしてもそれを回避しなければ未来は泥色だ。
ならどうする?
そうだよね、そうするしかないよね。
……ステラさんと一対一で話すの怖いなあ。
――――――――
彼女は頑張った。そして、結果をもぎ取った。正確には、結果をもみ消した。
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こうして、先生にバレることはなく生徒だけの間で「一年生で机の上から大ジャンプした人がいるらしい」という噂だけが広がることとなった。
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