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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第2章 低学年編

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第62話 飛んだ日から月日は飛んで

お読みいただきありがとうございます。


タイトル通り、少し時間は飛んでいます。

「それでお前、あの時どんだけ飛んだんだよ」

「ちょっと数人の上を飛んだだけですわ」

「どう考えても飛びすぎだよステラちゃん!」

「メメさんもやればできますわよ」

「多分無理だよ!?」


 私が机の上からジャンプした日から、しばらく月日が過ぎた。


 いつものように、私はメメやメラクらとご飯を食べつつ、あの日のことを振り返った。


「でも、あれからお前、クラスメイトらと仲悪くなってね?」

「いいえ、別に悪くはなってませんわ。多少ぎこちなくなっただけで」

「それって違うのか?」

「多少はお話はしますわ。いや、少しは?」


 あの日から、私はクラスメイトらに少し警戒されるようになった。ちょっとはお話をするけれど、前みたいな距離感ではなく、少し距離を置かれている。


 少なくとも囲まれることはなくなった。私を囲んでしまうと私が頭上を飛ぶかもしれないと思うと、さすがに躊躇もするだろう。


 そもそも、彼女らから私に向かって話すことも少なくなった。一部、というかほぼ一人を除いて。


「あらステラさん。貴方、本日も他のクラスの方とご飯ですのね」

「ローズマリーさんはクラスの皆様とお食事で?」

「ええそうよ、貴方も一緒に来ていいのよ」

「遠慮しておくわ。もとより、皆様が私をお断りでしょうし」

「そうね、ふふ。では後ほど」


 あれからのクラスメイトの話もしておこう。


 まず、私というクラスのトップに寄り添おうとしていた方々が次に向かった標的……じゃなくて向かった先は、今話している彼女、ローズマリーさんだ。


 かつて私がチヤホヤされていた時に、少し遠目で睨んできていたのが彼女である。私と同じく貴族の娘だそうで、クラスにおいて大きな力を持つ一人だ。私が中心となっていたときは私のせいで隠れていたが、私が息を潜めた今、彼女は満を持してクラスのトップに居座っている。


 彼女はきっと、多くの人に囲まれるのが性に合っているのだろう。今の彼女は、私を睨んでいた時よりよっぽど幸せそうな顔をしている。というか、睨んでいた原因もおそらくそれなので、彼女からすれば私が勝手にやんちゃ人間になったのは願ったり叶ったりといったところだろうか。


 さて、貴族らしいというか、彼女には先ほどのように少し嫌味な側面がある。しかし、そもそも私にちょっかいをかける人間がクラスメイトではもう彼女くらいしかいないのもあって、私は彼女に少し新鮮さや面白さをもって接している。


 もちろん、私を積極的に囲んでいたハッカさんやヘリベスさん、そしてミントさんは今は彼女と一緒にいるようだ。それでいいのかい、君たちは。まあ誰も不幸になっていなさそうなのでいいとするか。


 あとそれから、これはしばらく前の話だが……


――――――――


「あのね、ステラさん」

「どうかしましたか? セリア先生」

「少しお話がありまして」「どして敬語?」


 あの日から数日後、私はセリア先生に秘密裏に呼び出された。呼び出された場所は職員室ではなく、職員室から少し遠い、小さな個室である。そこに私は座らされ、なぜか出てきた温かいお茶をズズッと飲んだ。


 少しして、セリア先生は少しおどおどした表情で私に話し始めた。


「ステラさん、秘密は守れますか?」

「秘密は秘密です、もちろん守りますわ」


 それを聞いた先生は、少し考えて、それから覚悟したような顔になった。


「あなたが机を踏んでジャンプした件、私は見ました」

「げっ……本当にすみませんでした」

「私は本来、あなたを叱らなければならないんです。えぇそれもたんまりと」

「はい、危ないことをしましたし、物も粗末に扱いましたし……」

「という前提条件のもと、提案があります」

「え、提案ですか? お叱りでなく?」

「はい、取引をしましょう」「は?」


 まさかの事態に私は空いた口が塞がらなかった。この先生、生徒に何かの交渉をさせようとしているようだ。

 私はアホみたいに開けた口を閉じてから、彼女に詳細を聞いた。ふむふむ、ふーむふむ……


「つまり、他の先生には言わないし、今回叱ることもしない、代わりに、私がもし何か聞かれたとしても、しらを切り通せとおっしゃいますか?」

「なんだか悪い言い方しないでください」

「これ以外にどういえと?」


 曰く、怪我人が出ていないし、物的被害もなく、何人かの生徒らと生徒らと対談した所、とくにトラウマなどを作っているわけではないので、隠すことに問題はないとのこと。隠すことは問題では?


 そうはいっても、私にとってこの交渉はそこまで悪い話ではない。記録に残らないというのは大きなメリットだ。何せ、お母様にもバレることはないだろう。それは大変に良いことだ。いや本当にね。


 私は立ち上がり、机の上に手を出して先生と目を合わせる。これが私の答えだ。


 セリア先生は、それを理解したようで、私の手を握った。そして二人でニヤリと笑う。


「では、交渉成立ということで」


――――――――


 そんなこともあって他の先生からは、非常に頭が良く、さらに他のクラスの人とも中の良い、優秀な生徒という評価を得ている。さらに最近は、これまで苦手と言われていた体育でも好成績ともあり、私の先生からの評価はかなり高い。


 時々他の先生から、「あなたがやんちゃって噂は本当かしら?」と聞かれるが、それは全力で否定している。ソンナワケアリマセン。


 生徒の噂話が色々あろうとも、成績優秀な本人が言葉で否定している間はその発言の方が重要視されるので、セリア先生との交渉は今後も果たせそうだ。私かセリア先生がボロを出さない限りね。……不安だ。


――――――――


 あの日、それまで積み上げてきたお嬢様の私、弱い私を捨てて、本当に良かったのだろうか。それについては何とも言い難い。


 うまく生きるという観点で言えば、あまり良いとは言えないのかもしれない。同級生の中で私のイメージが、机の上をぴょんぴょんと跳ねるやつになったのは、今後のお嬢様活動においても支障が出かねないが、それは未来にならないとわからない。


 それでも一つだけ言える事がある。


「というかお前、それ好きだなほんと」

「ええ、今日もプリンは美味しいですもの」


 あれがあったからこそ、私は今、学校で堂々と美味しいプリンを食べられている。それも、仲の良い友達たちと。


 今後もこれを守りながら、日々お嬢様に近づいていこうと思う。

 ゆっくり、それでいて自分らしく、楽しみながら。




お読みいただきありがとうございます。


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