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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第2章 低学年編

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第61−2話 ずっとずっと強い!

――――――――


 彼女たちが私に押されてこける必要もない、安心安全なこの囲まれた場所からの脱出法。考えればあるじゃないか。


 私は椅子からほんの少しだけ離れ、それから優雅にくるりと一回転、これにてお嬢様パートはおわり。よし、準備運動くらいのスペースは確保できたな。


「どうかされまして? ステラ様」

「ええ、少し教えて差し上げようかと思いまして」

「それでこそステラ様ですわよ。あいつらにちゃんと階級の違いを教えてよ!」

「あら、何を勘違いしているのかしら?」


 こんなことすれば、まず間違いなく、今までみたいにお淑やかにお嬢様を演じていくのは厳しいだろう。まあ、昨日決めたことだ。それについては腹をくくっている。まあ、私に提案してくれたアルカでも、私がここまでするとは思っていないのだろうが。


 手を広げて腰を捻り、屈伸運動をして、足首手首をくるくるり。イメージトレーニングで頭もくるくるり。


 お淑やかなお嬢様はしばらくできないと言うだけで、別にお嬢様そのものを放棄したいわけではない。やはり目指すはお嬢様。となるとアレはうまく隠さないと。


「皆様、安心してくださって結構。驚いて転けられては元も子もありませんもの」


 準備は完了。私はもう一度手を少し広げて椅子を自分の稼働範囲に含める。この椅子をしばらく使った感じだと、きっとこいつは役目を果たしてくれるだろう。


 そう、そんなにこの椅子は弱くない。あ、机もね。


「じゃあ、いきますわよ!!」


 もちろん、私もね。


「!?」


 勢いよく動き出し、ます椅子に足を乗せ、次の足は机の上に。少し今の私には急な段差だ、机に手を置いて、腕の力もフルに生かそう。足と腕にぐっと力を込める。椅子と机の軋む音が聞こえるが、壊れる様子はなさそうで一安心。


 そうして私の重心は、地面から椅子、そして机、そしてその先へ。


 かつて勇者がドラゴンと戦った時のように。重力を無視する神と対峙した時のように。


 そうやって私は机から大きく飛んで、宙へと舞ってみせた。


 目指すは彼女たちの壁の向こう側。小学生の頭の上なんてひとっ飛びですわ。


 もちろん、普通のジャンプじゃ、どうしてもみんなの頭に足がぶつかるので、三次元方向に体を捻って体の正面を天井方向に、背中を地面の方向にする。

 みんなの表情は見えないが、どんな顔をしているのか考えると少しにやけ顔になってしまう。


 そうそう、暇になった手で制服のスカートの裾を持つのをお忘れなく。お嬢様ですもの、スカートに暴れられたらアレ、すなわちパンツが見えて恥ずかしいものね。


 ある程度飛んだので、私はまた体を三次元的に回転させる。先ほどの方向とは違って、今度は宙返りで足の行先を地面に定める。

 余裕を持とうとして、思ったより飛んでしまったようだ。着地できるかしら?


 地面のついでに彼女たちを見ると、みんなあり得ないといった表情をしていた。


 驚くなかれ、私は飛ぶぞ?

 とはいってもただのジャンプだけどね。


 当然ながら、ドラゴンに乗るほどの悠久の時間なんてなく、わずかな時間を経て足が地面に接した。

 体を壊さぬように、勢いを地面だけでなく横に逃して、とことこ下がりつつ着地した。少し遅れて、スカートが完全に落ち着いたことを確認して手を離す。


 私は、驚く彼女たちに向かって声をかけておくことにした。


「皆様に教えて差し上げたく思いましたの。私、こう見えて結構運動はできましてよ?」


 そうして教室の外へ歩き出した。彼女たちは唖然とした表情で私を見ていた。あまりの衝撃に、誰も動けずに私を黙って見るしかなかったようだ。


 そうだ、もう一つ。私はもう一度振り返り、ずっと思っていたことを言っておくことにした。


「皆様だって、私のことは何にも知らないのよ」


 そうして、私は教室を抜けたのだった。



お読みいただきありがとうございます。


もし面白いと感じてくださいましたら、是非ともブックマーク、そして下にある「☆☆☆☆☆」をクリックして応援していただけると嬉しいです。


この小説は主人公がよく飛びます。多分これからもたくさん飛びます。まあ主人公なのでね。そりゃ主人公なのでね。


次はエピローグ的なやつ。あと幕間。

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