第55−3話 メイドたるアルカの想像しえぬ言葉
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「ではごきげんよう」
「「ごきげんよう」」
それからも順調に授業は進んでいき、食堂の真ん中でご飯を食べ、午後の授業も優等生になって。
そして放課後になり、クラスメイトをなんとか振り切って車に乗った。より詳しく表現するならば、クラスメイトとの会話を終わらせて、他のクラスからの冷たい眼差しを振り払って、車に逃げ込んだ。
車の中ではすでにメイドのアルカが控えており、私が乗り次第車は出発した。
「お疲れ様です、ステラ様」
「ご苦労様、いつもごめんなさいね」
明日もこの調子なのだと思うと気分は重く、そのせいか鞄を預けたにもかかわらず、体も随分と重い。気を紛らわすために窓を開けるも、少しどんよりとした空気が流れ込むだけで私の心は落ち着くわけにはいかず。
重い空気が車の中を埋め尽くす。窓を開けているのに空気は変わらずに、私はしばらく黙りこくった。
「……市場から無花果のいい香りがします」
しばらくして、アルカがおもむろに言葉を発した。
アルカの言葉を聞いて、確かにそこに美味しそうな香りが漂っていると私は気づいた。とっても美味しそうな香りだった。しかし、そんな甘い香りも今の私にはあまり響かないのだった。
「……ところでステラ様、最近メメさんとお話などはされるのですか?」
「いえ。まあ色々ありまして、あまり話せておりませんわ」
「そうですか、まあそんな日もありますね」
食堂でメメに暴言を言ってしまったあの日から、私はメメと話せていない。メメがいたからこの学校に入ったのに、このようなことになってしまったのは本末転倒だと言わざるを得ない。
本当に、これからどうすればいいのだろうか。
お嬢様を演じていくことはおそらくできるとして、これからも嫌味ったらしくお嬢様を続けていくのはしんどいなあ。
「ねえ、アルカ」
「どうかいたしましたか?」
「アルカってすごいですわよね。まさしくれっきとしたメイドではありませんか」
「まあ私はメイドですね」
「私、ちゃんとお嬢様になれるかとっても不安ですの」
アルカみたいに、その役割を正しく全うできるようになれたらいいのに。
うーんうーん。
お嬢様を続ける未来に憂鬱になっていた最中、アルカが唐突に話し出した。
「……ステラ様」
「どうかいたしまして?」
「寄り道しましょうか」
「どうかしましまして?」
思いがけない発言に私は変な言葉を作ってしまった。
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