第55−2話 高潔なる貴族の卑劣なる言葉
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「そうよ、私たち、A組なんて貧乏なクラスの人と遊びたくないのよ」
「さっさとどこかにいってくださいませ」
クラスの分け方に恣意的なものがある、そんな話は学校説明会の時に聞いていた。
私が右から左に流した学校説明の中で、ちゃんと言っていたのだ。
『――入学時におけるクラス分けは、安心して学校生活に馴染めるよう成績や家庭環境など、さまざまな観点から決められます』
つまりだ。
学校が直接言ったわけではない。本当だとして関係者は言えるはずもない。
一年生のクラスは階級別に分けられるのだろう。
考えてみれば合理的な話だ。
産業発展の中で貴族社会に少しづつ陰りが見え始めた今世ではあるが、それでも貴族かそうでないかという差は今なお非常に大きい。お金の面や文化の面において、生活様式がまったく違うのだから、それらを初めから一緒に教育すると問題が生じる。それらはそう易々と分かり合えるものではないのだ。
だから、それらの間で軋みが生じないように、一年のクラス分けにおいてはある程度階級によって分離する。
それぞれが分かり合えるように、それぞれに合った教育をするのだろう。
これはあくまで憶測でしかない。しかし、この憶測がもっとも的を得ている。
そして、憶測に憶測を重ねるとするならば、その中でもっとも低い階級にあたるのがA組で、もっとも高い階級にあたるのがE組だ。学校はもちろんそれを明言しないものの、原理さえわかってしまえばそれを確かめるのはさほど難しいことではない。
そう考えると私に向けられた感情に納得がいく。
高潔な貴族を目指していた私は、卑劣な貴族らしく、彼女たちを侮蔑した。底辺どもは底辺とつるんでいろと、そう言ったのだ。
「ええっと、違いますのよ。そうじゃなくて……」
「もう行こうぜ、メメ。そんなやつほっといて」
「う、うん」
「そうじゃなくって……」
私から離れていく二人に向けて弁解をしようとするも、私は言葉が思い付かなかった。
例え私がそう思っていなくても、そう聞こえる発言をしたのだ。それを否定することはできない。
「ステラ様、さすがですわね」
「さあさあステラ様、ご飯は食べられましたの?」
「すみません皆様。また頭が痛くなってまいりましたわ……」
私はそう言って頭を抱えるしかなかった。
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