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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第2章 低学年編

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第51話 なので今日は変革の時、ですわ

お読みいただきありがとうございます。


新章始めました!

今回は分割するタイミングが思いつかなかったので少し長くなります。


次話以降は学校かな?

「皆様、ごきげんよう。私はステラといいます。好きなことは本を読むこと、あとはお菓子を食べながらお話したりすることです。皆様とこの学校でお勉強できるが大変楽しみです。どうぞよろしくお願いします」


 優雅にお辞儀をして、私は席についた。


 そう、お嬢様らしく、優雅にね。


――――――――


 本日は入学初日だ。心なしか体も軽い。


 ググッと天に手を伸ばし、ついでに体も伸びてくれと祈る。


 私はこれまで楽しんで生きてきた。少し悪知恵の働く幼い幼女として、自由奔放に生きてきた。

 しかし、今日から晴れて小学生になるわけである。それも名門校に通ういいお家のお嬢様になるわけで。


 そこでだ。


 私は心を少し入れ替えることにした。


 その思いをまずは側近であるメイドに表現すべく、自分のベッドをいそいそと直してからドアのほうを向いて立っておく。


 いつも通りの時間なら、そろそろだろうか。


「お嬢様、少し早いですが起きてください。布団剥がしますよー」


 案の定、部屋のドアがノックされた。

 声の主はアルカである。今日も朝からご苦労様です。


「アルカさん、ごきげんよう。もう起きているので入ってもいいですわよ」

「……? まあ起きているのに越したことはありませんね。おはようございます」

「ええ、ごきげんよう」


 この時間になると、いつもアルカが起こしに来る。


 今までの私はこれでもかというくらい睡眠を続けてアルカに仕方なく布団をひっぺがされるのだが、本日からの私は一味も二味も違う。三も四も飛ばして、きちんと五分前行動するくらい違うのだ。


「本日から小学生になるわけですが、緊張されていますね? いつも通り、リラックスですよ」

「お気遣いありがとう、アルカさん。でも安心してくださいませ、緊張はしてませんわ」

「……??」


 アルカは不思議そうな顔をしながら私を見つめる。まるで私を吟味しているかのようだ。

 それもそのはずで、こんなステラは今までいなかったのである。こんな行儀の良いステラ様は、今日まで存在しなかったのである。


 しかも、これだけでは終わらない。

 間髪入れずに私はドレッサーに向かい、文句ひとつ言わず椅子に座った。


 今までの私ならここに至るまでに起きたくないだの座りたくないだの、散々文句を言っていたが、今日からはそんなことは言わないのだ。


 なぜならば、駄々をこねる幼女ではなくなったから。


 そう、私は小学生にして優雅なお嬢様になったのだ!!


「寝癖がひどくってごめんなさいね。アルカさん、いつものように直してくださるかしら?」


 だから、言葉遣いから仕草まで、お淑やかなお嬢様に――


「悪いもの拾い喰いでもしましたか?」

「うふふふふ、お殴りいたしますわ」

「よかった、お気は確かそウゲェ」


 主人の些細なところに気づく、その観察眼、本当に尊敬に値します。

 というわけで、私は魔法で生成した氷で朝のご挨拶をお見舞いした。


――――――――


「私、小学生になるわけじゃありませんでして?」


 私の髪をとくアルカに、私は先ほどからの行動原理を話すことにした。どういうわけかアルカはお腹もさすっている。誰かに氷のようなものをぶつけられたのだろう、痛そうなことで。


「ふと考えましたのよ。私の行動は小学生たり得るか」

「たり得るかと」

「そう、小学生にしては勝手な行動だと思ったわけです」

「話聞いてますか?」


 アルカはここ最近、家事でうまく魔法を使っている。霧のようにした水を生成することで髪を湿らす程度に抑えつつ、髪の跳ね具合はしっかりと抑えこむ彼女の手の動きはまさしくプロと言わざるを得ない。なんのプロだこれ、魔法?


 鏡越しの彼女の動きに目をやりつつ、私は本題を一人ペラペラと話した。


 ラメル家、つまりこの家はそこそこ裕福な家だ。

 そこに住むお嬢様はといえば、やれ外で遊びたいだの貴族社会はクソだの少年誌おもしろいだの、しまいにはドラゴンファイヤーだの言っている。遠回しな表現をしているが、つまり自分の行動を悔いているのである。


 ある時、私は神様と話し合いながら考えた。今後ともやりたい放題やっていていいのかと。


『いいわけないでしょ。君に第二の人生を与えた私のメンツを返してほしいね』


 そう神様に言われた。ごもっともである。

 だから、私はお嬢様になることを再び意識することにした。再び、というが、本格的にお嬢様を意識したのは生まれる瞬間しかないので、実に六年ぶりに考えることにしたわけだ。


「なるほど。言いたいことは理解しました。ラメル家を継ぐものとしての自覚が生まれて何よりです。母上様もご安心かと」

「え、もしかしてそこまで不安にさせてました?」


 アルカは、返事こそしなかったもののゆっくりコクリと頷いた。

 なんというか……多分これアルカに皺寄せが行ってるよな。ごめんなさいませ。


「そうは私もいいますが、小学校でそこまで意識する必要はないかと思います。ステラ様が学校に通う期間は長いのですから、時を見計らって落ち着くのでも遅くはありません」

「そうは言ってもね、アルカさん。私が今後成長していく上で顔を上げて廊下を歩けるかどうかが変わってきますのよ」

「はあ、相変わらず何言ってるかちょっとわかりませんが」

「どうしても今からじゃないと遅いんですのよ。私なりの考えではありますがね……今、相変わらずっていったな?」

「気のせいかと」


 そう、アルカのいう通り、小学生は小学生らしい行動をすればいいという声もある。


 しかし、現実はそう甘くない。今日でなければ色々と厄介が生じるのだ。


 理由は私が通う学校の制度にある。

 私が通う学校、ルイス学院は初等部から高等部まで備えている。よって初等部からの知り合いが高等部まで在籍する。

 つまり、私が高等部まで在籍する場合には、初等部の印象がどうしても後々まで残るのだ。


 高等部になってお淑やかになったタイミングで「じつはあの子、初等部の時ガラス割って回っていたよ」なんて噂されようものなら、私は恥ずかしくて顔が上がらない。


 これらを踏まえ私は、今日この時をもって行動を改めることにした。お母様のように、そして姉のように、はたまたパーティ会場でのアイラのように、お嬢様たる振る舞いをとることにしたのだ。


「そんなわけで、今後は家でも毅然たる振る舞いで過ごしますわ」

「では水魔法はお嬢様らしくないからダメです」

「あらあら、魔法だなんて物騒なもの私知りませんわ」

「これはこれで腹が立ちますね、『霧も積もれば雨となりて……』」

「アルカさん……アルカ様??」


 アルカはおもむろに私の頭の上に水の球を作る。ダメ、それ、絶対ダメ。


「というのは私の良心が痛みますので」


 しかし、さすがにダメだと判断したのか、その水は花瓶の中へと飛ばされた。


「ステラ様が行儀を学ぼうとするのです。多少の野蛮は許しましょう。ステラ様がお嬢様となれるよう、私や他のメイドも尽力いたしますね」

「ええ、ありがとうございます」


 多少物騒なメイドではあるが、どうやら協力してくれるらしい。


 こうして、私は本格的にお嬢様になることを周りに誓ったのであった。


――――――――


「では早速ですが、今日の私の行動は点数にすると何点でした?」

「今日の朝ですか。そうですね、一点です」

「そんなバカなですわ」

「語尾を変えたらなんとかなると思っている点で減点」

「否定できませんわね……」

「それと寝癖がついている時点で減点です」

「いや無理では?」

「前日からの行動を意識しろってことです、あとそれから……」

「ぴぇ」


 ……お嬢様、なれるかな?



お読みいただきありがとうございます。


もし面白いと感じてくださいましたら、是非ともブックマーク、そして下にある「☆☆☆☆☆」をクリックして応援していただけると嬉しいです。


小学生の制服デザインを頭の中で考えています。制服って大事ですよね。私立小学校の制服をちょくちょく見ています。変態ではありません、決して変態ではないです。


それと産業革命時のヨーロッパの子どもの生活環境や学校のことのことを調べているのですが、誰か詳しい書籍は知りませんでしょうか? もしよろしければ教えていただくと幸いです。


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