第50話 そして女は小学生になった
お読みいただきありがとうございます。
突如始まる小学生編! 用事があって投稿遅れました!
それと今回だけ会話をローテ制度にしております、コマごとにキャラへカメラがいくイメージです。
「ステラちゃんー、早く早くー!」
一人の少女が早足で駆けていく。
彼女の名前はメメ。私と同じ年齢の女の子。
「ちょっとお待ちください、メメさん」
彼女のあとを追って私も足を早める。靴がまだまだ硬いせいでどうもうまく走れない。
「転けますよステラ様」
私のあとを追うのは私のメイドだ。名前はアルカ。
生まれてからずっと一緒だったメイドだ。四六時中、私の言動を見ては文句を言われてきた。
しかし、そんな日々はもう終わりだ。
「だってだって、今日から小学生だよ! ステラちゃん!」
メメは勢いよく振り向いて、その勢いで私に語りかける。
そう、私たちが今向かっている先は小学校だ。
「そんな勢いよく回るとスカートが浮きますわよ」
メメも私も慣れない制服に身を包む。
由緒正しい学校にふさわしい正装たる制服は、しかしドレスなんかよりはずっと楽だ。流石に子どもが着るとあって配慮の様子が窺える。
ノリの香りのする少し硬い制服は、毎日着る間に体へフィットしていくのだろう。
そして制服が私たちに適応していくのと同様に、私たちも制服に順応していくことが必要だ。
とくにメメときたら、スカートを履いている際にしてはいけない動きをトントン連発していて不安だ。彼女が学舎で最初に学ぶことは、もしかすると制服の着こなしかたなのかもしれない。
「ステラ様も、間違えても風魔法を使わないでくださいね。あれ、スカートがどえらいことになりますよ」「どえらいこと」
当然ながら、小学校でも魔法を使うことはないだろう。
何も学んでいないはずの小学生が魔法を使うとなれば、面倒なことになるのは間違いない。
この学校は魔法を学ぶような学校ではないため、少なくとも学校にいるうちには魔法の使用を禁止する必要がありそうだ。
だから、今後とも私の魔法を知る人間はアルカだけ。これくらいでちょうどいい。
「おお、学校だ!」
早足で進んだおかげか、思ったより早く学校に到着した。しかし、ここで遅刻すれすれの時間まで待つ必要はまったくない。ここまできたら、あとは進むのみ。
「じゃあ、アルカとはこの辺でお別れね」
当然ながら学校にメイドが入ることはない。学校という機関は、ある種家からもっとも剥離された場所とも言えるのだ。
「ええ、私が見ていなくても変なことしちゃダメですよ」
アルカは強く釘を刺す。まるで私が、放っておいたらドラゴンに触れかねないかの如き圧力だ。
そんなわけ……あるんですね。なんならアルカがいてもやっちゃうくらいですからね。ってことは一周回ってアルカが釘を刺す必要はないですわね。どうせしちゃうんだし。
と、屁理屈じみたことを言いつつ、反省していないわけではないので今後はもう少し言動をわきまえていくことを心に決めた。
「ステラちゃん! 一緒に学校に入ろう! ジャンプして入って一年生になろう!」
「まあ、悪くはありませんわね」
「おもしろい試みですね。せっかくなので手を繋げばどうですか」
メメがいつものように突拍子もないことを言ったのだが、案外面白そうなので話に乗ることにした。
アルカの助言も参考にして手を繋ぎつつ。
ぎゅっと握りしめたメメの手は、とっても小さくて、そして温かい。
この手を離さずにこれからも進んでいきたいな。
玄関の前に立つ。二人仲良く、そしてしっかり前を向いて。
「じゃあいくよー」
メメと私は少し膝を曲げて。
「いきますわよー」
両手を振って、息を合わせて。
「転けないように気をつけてくださいね」
タイミングを合わせていちにのさん。
「「「せーの!」」」
掛け声を合わせ、二人は大きく膝を伸ばしてジャンプした。
そして、着地。
転けなかった。大丈夫、こけることは無かった。
二人して顔を合わせて笑い合う。
ただ単に飛んだだけ。
だけど、こんなことでこれからも笑っていきたいものだ。
ひととおり笑い終わって、準備は完了だ。
じゃあじゃあ、最後に後ろをふりかえって。
「いってきます!」
「いってきますわね!」
元気よく別れの挨拶をした。
これからの出会いに期待を込めつつ。
「ええ、行ってらっしゃい」
――――――――
そして私は小学生になった。
お読みいただきありがとうございます。
もし面白いと感じてくださいましたら、是非ともブックマーク、そして下にある「☆☆☆☆☆」をクリックして応援していただけると嬉しいです。




