第48−3話 幕間の間 二人は頑張っております
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「では、これで今日はラストです。最後ですから頑張って取り組んでください」
「「ふぁぁい」」
太陽がすっかり斜めを向いて、明るい世界はすっかり赤い世界へと早変わり。
次第に暗くなる前に家に帰らないとまずいし、帰さないとまずいので、本日最後の問題である。
私は、二人の解いている隙に本のやりとりをするため席を立つ。
カウンターへと向かいつつ、保護者として二人をチラチラとも眺めつつ。
俯瞰的になったこのタイミングで、私は今日一日のステラ様とメメ様の言動を振り返ることにした。
相変わらずステラ様は解くのが早いし正確だ。
もはや一般成人程度ではあるのだが、子どものひらめきミラクルパワーとかそういうことのせいだろうか。いや、それで説明するのも無理がある。まるで大人の精神が体に宿っているかのような、そんな気持ちになることがあるのだが、そんなことあるわけはない。
んー、こんな稀有な子も世界を探せば一人はいるということで。
メメ様はというと、色々と意識は削がれるものの、集中力自体は光るものがある。どこかのステラ様と違いとても教えがいがある。
この成長具合を見るに、私の教えがあればまず間違いなく合格はするだろう。ただし特待生はまた別のお話。
んー、特待生になれるかどうかは今後の私の教え方次第ということで。
先週借りた本を返し、新しい本を取りに行く。確かこの本の続きだったはず。ってステラ様はこんな本読んでるのか。確かこれ、物騒なお話だったはず。注意すべきか?
……いや、まあ自由にさせましょう。今更感がすごいですし。
本のやりとりは受付に任せつつ遠目で二人を観察する。ステラ様もメメ様も、動くこともせず大真面目に問題に向き合っているようだ。私がいなくてもサボらず取り組むのは二人のいいところです。むしろいない方が真面目にやっている気がします……
メメ様には今までのおさらい問題を出した。本調子ならできるはずだが、今日の一日は少しハードだったかと思う。疲れているのかなかなかペンは動かない。
今回はステラ様には特別に難しい問題を出した。そう簡単に解けたとは言わせない。
さて、お二人のどちらが先に声を上げるのだろう。達成の声、それとも挫折の声、どちらの可能性も考えられる。
もう少しで行きますから待っていてくださいね。
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たくさんの本の手続きがようやく終わり、私は二人の元に戻った。そろそろどちらかが私に声をかけてくる頃合いだけども……
二人とも、まだ声を上げる様子はない。それどころか下を向いたままだ。
これはまさか……
「「……スピー」」
……やっぱり?
いや薄々おかしいとは思っていたんです。ステラ様にしても遅いですし、メメ様はやけに静かですし。
二人の様子を近くで見ると、それはもうしっかりお休みしてしまっていた。
まあ今日は頑張っていたので無理はない。
しかし、ステラ様まで居眠りされるとは。先週とは逆で少々詰め込み過ぎたようだ。やはり根を詰めすぎるのは良くない。
反省し、ミラとも話し合って、問題を調整していこう。
「「スピー」」
「にしても二人してそんな可愛く寝ましたか」
彼女たちの代わりに片付けを始めることにした。
ひとまず、今日はお疲れ様でした、ということで。
「ステラ様、メメ様。二人ともよく頑張りましたね」
今日もよく頑張った二人の子どもの頭を、起きないようにそっと撫でた。
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