第42−2話 良い結果でしたか……
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私は言葉が出なくなった。
あのテストの内容で私が落ちた?
いや、あり得ない。
待て待て、面接で何かやらかしたか?
それもあり得ない。完璧に演じ切った。
何か怒りに触れることでも?
そんなはずは……
思考がぐるぐると回る。一歩先が見えなくなるほどに。
「あ! あったよ、ステラちゃんの名前!」
「あ、よかった。見落としていただけだったんですね!!」
しかしそれは杞憂だったようだ。
いやはや、生まれてから一番と言っていいレベルで焦った。……訂正、ドラゴンが出てきた時の方が焦りましたわね。
でもそれと同じくらい焦りましたわ。
もうまったく、私の目は節穴なんだから。困ったものねぇ。
「うーん、でもあれなんて、かいてるのかな?」
「もうっ! 私のお名前、『ステラ』があったら問題ありませんわ、もうるんるんですわよ!」
「ええっと……あれなーに、アルカさん?」
「何かしら何かしら!?」
私はどうやらメメの指差す方向に名前が書いているらしい。おお、私の名前発見! なになに……
「首席……」
「よかったですねステラ様、首席です」
アルカが淡々と話しかけてきた。あなた、主人が首席ならもう少し喜ぶべきではありませんでして?
しかし、自分でそうはいうものの、一つ懸念点がある。
「首席……よかったのかしら?」
「ええ、早速注目の的ですよ」
アルカにそう言われて周りを見ると、確かにいろんな人間から見られていることに気づいた。
ある子どもは私のことを羨ましそうに見ている。ある子どもは悔しそうに。
見られているのは子どもだけでなく、むしろこういうことに敏感なのは大人である。
ある親は子どもに、私と仲良くなるように言っている。ある親は、私を敵だと見ている。
多分教師らと見られる大人たちは私のことを話している。
あれがほぼ満点で合格した伝説の神童だとか言っている。え、まじ? やったーほぼ満点合格、やるじゃん私。じゃないよ! その声量でそんなこと話すのやめてくれ!
もちろん、私以外にもその会話は聞こえていたようで、周りは一層ザワザワしだした。
ついに、何人かの大人が直接私のところに近づいてきた。片手で数えられたらよさそうだが、そんなこともなさそうで……
「あ、アルカ……逃げますわよ」
「そうしましょう。こっちです」
アルカはこれを見越して準備をしていたらしい。
だからさっきあんなにもそっけなかったのか。こんな時にも冷静で、本当にいいメイドである。
「何せ、このままだとお昼ご飯が食べられなくなりそうですし」
いや、もしかしてただ自分がお昼ご飯食べたいだけなのでは?
文句の一つでも言おうか迷ったが、私もご飯を食べたいので素直に従うことにしよう。うん、今日はお祝いとしていいご飯が食べたいですわ。
「にんきものだね、ステラちゃん」
メメはいつも事態を分かっているのかいないのか。
ただ面倒な説明をしている暇はなさそうなので、私はメメの手を握って走り出した。
「そういうのじゃありませんわー!」
私の叫びは、果たしてメメに届いたのかどうなのか。
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