第5話 かみさま来たよー
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輝く世界に俺はいた。
あたり一面に浮く、ふわふわとした何か。そして宝石のように輝く世界。
「え、もしかして俺もう死にました?」
『死んでもらっちゃ困るんだけどね!』
ふむ、よくわからないものの、どういうわけか神様と再会したらしい。
『グランくん、もといステラくん。君は今頭を打ったのと魔力の使いすぎで気絶しているだけ。ま、地面にでも座りなよ。神様はあなたに色々言いたいわけさ』
「はぁ、何でしょうか」
神様は会うや否や疑いの眼差しを俺にかけてくる。この前と比べて随分と塩対応ではないだろうか。せめて椅子ぐらい用意しておいて欲しい。
そんなことを思いつつ、仕方なく地面にあぐらをかいた。
『まず一点目。神様は君の言動を一応チェックしていたわけさ』
「そんなことできるんですか?」
『この窓から世界が見えてねぇ、見たいものから見たくないものまで……いや、そんな話はどうでもいいんだよ、少なくとも今は関係ない』
「はぁ、それでどうしたんですか」
『幼児化しすぎでは?』
「やっぱり?」
ぶっ込んだことを言われた。いや、薄々自分でも思ってはいたけど、他人、いや神様に突っ込まれてしまうと俺のメンタルが少し拗れる。
しかし、そのほとんどは故意にしているわけではない。
「しかしですね、言葉が分かってもこの体で喋れるわけじゃないんですから仕方なくないですか? 俺だってやりたくて幼児やっているわけじゃないんですよ!」
『おそらく並みの幼児が絶対に言わないセリフ来たな。わろける』
「笑っている場合じゃないんですからね!?」
こいつ、ほんとに人間観察を楽しんでやがる! 腹立つ!
『いや、ごめんごめん。ついつい』
「はぁ、勘弁してくださいよ」
『ま、それもそうだよね。そもそも、言語機能をきちんとステラの体にインプットできたかも怪しいから、そうなるのも当たり前なわけだし』
「といいますと?」
『グランの体からステラの体に記憶をそのまま移植したんだけど、赤ちゃんの頭に成人の情報を詰め込むのは流石にできないし、色々バグるわけ。だから知識はほぼ全部詰め込んだけど、どうしても感覚とか、クセとか、体の反射とか、そういう特に体に密接に関わりがある記憶は一部抜け落ちているってわけだ』
おそらくこれのせいで、ステラの体だとうまく魔法が出せなかったり、そういう弊害が起きたのだろう。
『とはいえ幼児しすぎだろ。元最強の威厳どこ行った? なにがおはなつみ! だふざけんなよ』
「ぐぬぬ」
『というわけで、このへんはちゃんとやってくれよな』
「はい、精進します」
『あとそれと、もう一点、これも……いや、これのほうが強く言いたい』
「なにかありましたか?」
幼児化より問題とされること? 特に思いつかないな。なんだろう。
『君さ、お嬢様という自覚がないのでは?』
「……そこまで言われるほどのこと、俺なんかやっちゃいましたか?」
『長い髪に対して邪魔だからと駄々をこねて短髪にしてもらい? お嬢様らしい言葉は全く使わず!? 常に立ちションを試みているやつのどこが!!? おじょうさま!!??』
「はぁ、そんなひどいお嬢様志望の人間がいるんですねぇ」
『君だよ』「はい、すみません」
言われてみればそうだった。俺の行動はあまりにも男の行動すぎたみたいだ。
『神様はね、正直言うと君の人生なんて、ほんとどーでもいいわけ。でもね、やっぱり気にもなっちゃうじゃん?』
神様は俺に情熱的に訴えかける。神様にも少しは優しいところもあるようだ。
『君がちゃんとお嬢様をしているほうが面白いのになーって気になっちゃうじゃん!』
前言撤回。だから俺で遊ぶなっての。
「まぁ、とはいえ神様のいう通りではありますね」
『だろ? これからはきちんとお嬢様をするように心がけてくださいませ、ってことさ』
神様にメイドのアルカの小言と同様のことを言われてしまう。いつものように「むー」と言いたくなるが、今の俺の姿は前世の体であるため流石に恥ずかしい。
「そういえば、ここはどこですか? 前みたいに神様の世界ですか? 俺は俺なんですか?」
『いや、大体合っているけど正確には君が貰った宝石の中。もっと正確にいうと所詮は神様の魔法、すなわちイメージが作り出す世界だよ。暇だから宝石を媒体にして君に付いてきたんだ』
どうやら宝石の中にある神様空間であるということらしい。宝石の中だからか、周りもキラキラしていて綺麗であり、なかなかオシャレなことをしやがると感心してしまった。
『当然、所詮イメージであり、世界に神様が干渉することはできない。とはいえ、君に応答することはできる』
「つまり?」
『君が宝石に触ると、神様は応答という形で君と話すことができる。めっちゃ暇だから毎日話そうぜ』
「いやですよ面倒くさい」
さっきの窓で世界でも眺めておけばいいだろ。うん、まぁ、たしかにそれは暇だな。
『そもそもさ、君はここに来るのが遅すぎんだよね。宝石の中でただ一人、半年くらい待ったんだけど。クッソ暇だったんだけど?』
「すみません。魔法のおさらいに結構時間かかっちゃったせいで……あぁ、そうだ、ヤバい、忘れてたぁぁ」
魔法といえば、とんでもないことを忘れていた。勢いでここまできたものの、そのために色々面倒ごとを作ってしまっているのだ。
「神様、俺、魔法をメイドの前で思いっきり使っちゃったのを隠したいんですけど、あれ、どうにかなりませんか?」
魔法を扱える貴族でもない少女、それも一歳児が魔法を出したなんて知られたらたまったものじゃない。面倒事はごめんだ。
『なりません。神様はそんな頼りになるものじゃありません』
「やっぱそうですよね……」
『と、本来ならツンデレのごとく突っぱねるけど、まあでも舐められても嫌だし、この場所までやって来たってことで、少しはサービスしてあげるよ』
「おお、優しい」
『メイドが宝石に触った時に多少の思考誘導はできるから、それでいいかい?』
「本当に助かります。これからもどうかよろしくお願いします」
『だから、これは今回だけだからね。というか、今日言ったこと全部、よーく反省してよね』
「勿論です。重々気を付けます」
『それじゃまた明日』
そういわれてすぐに瞼が重くなり、耐えられずに眠りに落ちてしまった。そして目が覚めると、俺、もといステラはベッドの上で寝転がっていた。
――――――――
どうやら、家の中にネズミが舞い込んでいた、という情報に上書きされたらしい。ステラは棚の上にネズミを見つけて棚に近づき、ネズミが落とした箱にぶつかって見事気絶した、ということだ。やるじゃん、神様。
「お嬢様、お気分はいかがですか」
「あーと……いえ、かんしゃする……です。アルカ」
俺、いや私は神様に言われた通り、もう少しはお嬢様になろうと心がけることにした。
あと、幼児化しているのを見られるのは少し恥ずかしいので、こちらもどうにかしていこうと思う。
お読みいただきありがとうございます。
久しぶりの会話ということで少々セリフ文が多くなりました。雑談話とか作りたいですね。
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