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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第1章 幼児編

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第39−1話 もう一度剣を握って

お読みいただきありがとうございます。

 左右を見ると、そこにはたくさんの窓があり。


 後ろを見ると、そこには寝そべった神様がいて。


 前を見ると、そこには少し離れてドラゴンがいた。


「あら、このお部屋以前より質素ではありませんでして?」

『お客さまがくるから整理したよ』

「なるほど、そんなこともできるんですね」


 よし、問題なく成功したようだ。

 私は、ドラゴンを引き連れて神様の部屋に無理やりやってきたわけである。


 この部屋は、魔力に満ち溢れていて、そして物理限界を簡単に超えられる。

 とくに、この場所の主である神様にもなれば、この場所にある物を消すということも可能だという。

 じゃあ逆に言えば、その気になればものを増やすことだってできるのだろうか。


「神様、一つお願いしたいことがあるのですが」

『なんだい? ドラゴンを倒せっていうのはごめんだよ』

「いえ、ちょっとあるものが欲しいだけです」


 私は神様の方には目もくれず、用件のみを淡々と伝える。

 というのも、私はただいまドラゴンから目が離せないのである。


 ドラゴンは訳もわからないのかあまり動いていない。おそらく困惑しているのだろう。

 なんにせよ、動かないでいてくれるのはありがたい。なんせ、私が今からやることは一つしかないのだから。


 それは即ち、この場所でドラゴンをしっかりと痛めつける、ということ。


「お願いというのは一つ。神殺しの剣ナギ、あれを生成できませんか?」

『え、やだけど』

「いいじゃありませんの! その口ぶりから察するに可能ではあるのでしょう?」

『だって君に渡したらそれで私が殺されかねないし』

「ありですね」

『なしだよ!』

「冗談ですわ」


 あの時ならともかくとして、流石の私であっても、この体にこのフィールドで、目的もなく神様を殺そうなんて考えない。そんな馬鹿な真似、どっかの勇者以外しませんわよ。


『まあいいや。好きにしてよね。あくまで見よう見まねで作った偽造品だけどいいかな?』

「結構よ」


 神様から投げられた剣の肢の部分を掴み取る。掴んだ途端に剣の重みをしっかりと感じる。偽造品にしては本当によくできている。


「ご苦労様、下がっていいわ」

『言われなくても下がるっつーの』


 この剣は、ある意味で有名だった。とんでもない技術の職人がいたずらに作った、無能の剣だという意味で。


 その特徴はなんといってもこの精密に作られた紋様だ。

 目を凝らしてもその全容がわからないほど細かく細かく掘られたその紋様は、ただ残念ながら通常の範囲内においてまったく用をなさなかったのである。結局誰もこの紋様に意味を見出せず、ただの貴族の飾り物にしかならなかったわけだ。


 私が思うにこの紋様には、おそらく神殺しの呪いがかかっていたのだろう。作った人間よ、頼むから説明書を付けて保存しておいてくれ。未来の人間はそんなに賢くないし魔法にも精通していないのだ。


 と、そのように姿も見えぬ誰かに文句を言っても仕方がない。今はこの戦いに集中するとしよう。


「『空に舞う魔力は私の体を道として剣へ』。さて、都合よく応答してくれるといいのですが」


 魔力行使魔法により、剣に魔力を通す。イメージとしては、その紋様一本一本に血を通わせるように。

 これによって剣は活性化する。まるで水を取り戻した魚のように、その力を取り戻すのだ。


 これで剣の準備はよし。固すぎるドラゴンにも通る牙の用意はできたわけだ。

 一つ目の問題は解決である。


「ではさっそく。といっても……」


 わざわざ一つ目の問題と言ったのは、二つ目の問題があるからだ。


 この剣を振り回すには、私の体は何もかもが足りない。多少物理法則が捻じ曲がるこの世界であっても、この剣は私の体にはとても扱いきれない。

 もちろん、これについてははじめから分かっていたのだ。当然、対策については心当たりがある。


 この部屋はあくまで想像的な空間である。では私はなぜこの姿をしているのか。

 それは、私がセルフイメージによって私を規定しているから。




「要はそのセルフイメージさえ変えてしまえばいいのでしょう?」



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