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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第1章 幼児編

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第30話 元迷子です。では現迷子を探します

お読みいただきありがとうございます。


「それで、アイラ様はいつから迷子なの?」

「ステラちゃんが行ってしばらくしてからだね」

「じゃあ結構経ってますわね」


 話を聞くに、どうやらアイラは私のことを心配して探しに行ってくれたという。


「探しに行った人間が迷子になってどうしますのよ」

「彼女のことだから適当に帰ってくると思って僕も油断していた。本当にすまない」


 ここでの一番の失態は、カルトラが普通にアイラを行かせたことだ。ただ同情できなくもない。私のように勢いよく行かれてしまったのだろう。止めるのは正直厳しい。それに、彼女はこの会場に詳しいだろうから問題がないと思ってしまったのだろう。


「まあ仕方ありませんわね、私が探しに––」

「「ステラ様?」」


 私が会場の外に行こうとくるりと回ったその瞬間、私は二人にそれぞれの手をつかまれる。右手はアルカに、左手はカルトラに。わー人気者だわーい。


「さっきまで貴方が迷子だったのをお忘れで?」

「はい、忘れてません、すみません」

「ステラちゃん、さっき言ったよね。探しに行った人間が迷子になるなって。すでに迷子になった君が今更何をしようと?」

「はい、その通りです、すみません」

「ステラちゃん…………まいごになっちゃ、だめだよ」

「そうですわよね、きをつけます」


 人気者な訳がない。ただの厄介者である。ついにノルンからもお叱りを受け、流石の私も肩身が狭い。

 というよりも、同じく子どものノルンにも心配させてしまっていたらしい。すみませんでした。


「そういうわけでステラちゃんのことは僕がきっちり見張っておくから、アルカさんは捜索を続けて」

「ありがとうございます」


 そうは言っても私がお留守番なのはいただけない。さっきせっかく捜索魔術に慣れたところなのだ、ズバンとアイラを探して誉められたい。


「私はお留守番ですの?」

「そりゃそうでしょう。ステラ様はご飯でも食べておいてください」

「えー」

「……もしかしてお菓子の食べ過ぎでお腹が減っていないとか言いませんよね」

「思っていますが言いませんわ」

「思ってはいるのですね」

「ずるい卑怯よ誘導よ」

「自滅じゃないですか」


 何をおっしゃいます、今のは……自滅ですわね、はい。


「ともかく、私もいっしょに行きます」

「話をすり替えましたね」


 アルカめ、子どもがわざわざなかったことにしようとしているのに、古傷を抉りやがって。

 もう仕方がない、これだけはあまりやりたくなかったがやるしかない。今の私にしかできない超必殺技を。


「いくったらいくんですー、いーだ! いーだ!」


 駄々をこねる! これをされたら相手は必ず怯みついでに困惑する! その代償は私のプライドがどこかに消えること!! でも今日の私はもうそのプライドとやらが既にないので問題ない!!! 恥を捨てましょう!!!!


 私が足をしばらくどんどんし、嫌がらせをすること数十秒。アルカは大きくため息をつく。


「あーもうわかりました。その代わり、絶対に私と手を繋いでいてくださいね」


 そして、ついに屈したようで、私の同行が許可されることになった。


「流石アルカね、それでこそ我がメイドだわ」

「はあ……もうやだ」


 がっくりと肩を落としてアルカはうなだれる。あなた、割と今日は本音が漏れまくってますわね、苦労をかけてるステラはどこのどいつなのかしらね、ほんと。


――――――――


 そうは言ったものの、まったく意味もなく駄々をこねたわけではない。

 先ほど私は現勇者と共にこの屋敷を散策していた。だからある程度場所が絞れるのだ。

 私が通ってきたところはおそらく違う。子どもが通った気配はなかった。


「だから、こっちではありませんわ」


 ここから彼女の気配を魔術で辿る。

 今日はしばらく練習したのでだいぶ勘を取り戻してきていた。おまけに今日はじめっとした天候だからか空気が滞在しており、探索に非常に都合が良かった。


 だからこそ、気配はすぐに視ることができた。


 私はアルカを引っ張るようにしてその気配を辿っていく。

 ここから、こう進んで、こういくから……


「ステラ様、勝手に行ってはいけませんって!」


 しばらく進んでいると、無理やり連れ回されて不満げであろうアルカが私に問いかける。


「なんでそんな自信ありげに向かうんですか」

「まあ、子どもの勘ですわ」


 まあ理由なんてどうでもいいのだ。

 それよりも後で驚きなさい。私にかかれば、迷子なんて一瞬なんだから。


――――――――


 そうして、気配の進む方向が、ついにある部屋の中に進んでいくのを確認した。


「おそらくこの部屋ですわね」


 その部屋の前まで手を繋いで進み、そこで足を止める。

 そう、気配はこの部屋の中に進んでいるのだ。だからこの部屋に入ったのは間違いない。



 しかし……



 いやに静かだ。誰かがいるとは思えない。



 むさ苦しい空気の中で、物音ひとつせず、ただ雨音だけが聞こえている。



お読みいただきありがとうございます。



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