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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第1章 幼児編

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第26−1話 その服を脱ぎなさい!

お読みいただきありがとうございます。

「着心地はいかがでございます」

「いいですわね、さすがですわ」


 服を脱ぎ、レーナに怪我を見てもらい、まあもちろんとくに怪我もなく。

 怪我がないと知り、アルカは明らかにホッとする。可哀想に、貴族の子どもを満足させようだなんて、苦労が絶えなさそうだ。私がいうなって? それはごもっとも。


 さて、肝心の新しいドレスなのだが、文句のつけどころがなかった。見た目どうりに着心地は最高で、最新の生地なのだろうか、お肌にもよく合うし、その上で風通しも良い。先ほどまでと違ってまったく不快感がない。


「それにしてもレーナ、あなた着付けもできますのね」

「いえいえ、アルカ様を手伝っただけで」

「レーナさんが手伝ってくれて助かりました。ステラ様はわがままなのでなかなか着付けるのが大変で」

「これでもお外では自重しますわよ……しますわよ?」


 普段服は私が魔改造させたからともかくとして、ドレスを着るのはそう容易ではない。着やすくなっている子ども用ですら、慣れきった二人がかりでやっとなのが常である。

 先ほど怪我のチェックそう思うとレーナは案外スキルとしては高いのかもしれない。


「はあ。応急手当もできて、着付けもできて。一応家庭での雑務もこなせるのでしょう? これで鈍臭くなければねぇ」

「うう、いつも注意してはいるのですが……」


 どうにも、偶発的に発動するものらしい。優秀なのに抱えるデメリットが大きすぎる。


 こういうのを見ると、魔物に対して絶大な力を持つけれど人に不幸を呼び寄せるあの魔剣とそれを扱うクソポジティブな勇者を思い出す。今も元気にしているかなアイツ。1日一回は包丁が飛んできて、包丁から好かれる男は辛いぜ、とか言ってたから流石にもう死んでいるだろうな。かわいそうに。


 もし仮にあいつがここにいたらどんな厄災が起こるのだろうか。レーナがずっこけて、あいつを柵に向かって投げ飛ばす、くらいは容易に想像できるし、それで喜ぶ勇者も容易に想像できる。いや、タフすぎんだろ。タフとかそんなやわな単語で表現することすらおこがま――


「あっ! それもありですわね」

「「??」」


 私の頭にビビッと奇策がやってきて、私はついつい声を上げてしまった。

 そして、あまりの妙案に私があっと驚くものだから、レーナとアルカがなんぞという顔を向けてくる。そこで私は二人に向かって自慢げに告げた。


「私、いい案を思いつきましたの」


 私にはあまり理解し難いが、世の中にはいろんな人間がいるものだ。問題を問題たらしめるのは人間であり、問題をどう捉えるかは人間によってまちまちなのである。だから問題にもよるのだが、問題が問題でなくなることもそう珍しいことではない。


 これはそういう問題なのではないかだろうか。


「うんと……じゃあそうですわね、せっかくなので一度試してみましょうか」

「ステラ様? どうなさいましたか?」


 レーナが私の方を向いて聞いてくる。レーナは顔もいいし、スタイルも悪くない。うまくいくきがしてきた。


 さて、では、ごほん。


「アルカ、レーナ。その服を脱ぎなさい!」


――――――――


 しばらくの沈黙があたりを包み込む。レーナはキョトンとして、アルカは赤面している。


「ステラ様、ふざけるのは大概にしてください」

「私は至って大真面目よ。あ、失礼、そういうことね」


 今一度ドアへ向かう。

 鍵がしっかりかかっていることを確認、ヨシ。そして、カーテンがしっかりかかっていることも確認、これもヨシ。


「じゃあ服を脱ぎなさい?」

「その問題ではないです。外で自重するって話はどこに行ったんですか」

「私、子どもよ? 右も左も分からない子どもなのよ。ちょっとのわがままくらい聞いたっていいじゃありませんの」

「右も左も分からない善良な子どもはそんな表現しないんですよ」

「言い得て妙ね」「その言い方もです!」


 確かに、いきなり服を脱げと言われたら困惑するのも当然だ。ただ、これには一応、私なりの配慮があるのだ。


「メイドのお洋服を着るのって大変よね」

「そうですよ。一人で着られる仕様とはいえ、面倒なのに変わりはありません」

「もちろん物理的にもそうですわね。でも、レーナにとっては別の意味で難しいはず。そうではありませんか?」

「まぁ、おっしゃる通り、そう簡単に着られるものではありませんね」

「だからね、一旦着てみたらどうかしら、って思いましたの。レーナはぜひメイドを目指すべきだし、そうなった時のためにレーナがアルカの服を着て練習をすればいいと思いましたの!」


 そう、洋服チェンジをしてレーナにメイドの服を着てほしいのだ。アルカはまぁレーナの服をきて初心に帰って主人への感謝力を高めてくださいませ。


「そんな、私にメイドなんて無理ですって。私、ドジでバカでアホで身分も良くありませんし」


 レーナは首をぶんぶんと横に振った。それはもう、もげてしまいそうな勢いだ。流石の私でもまだ魔術による首の治療はできないのでその勢いで振るのはやめた方がいいと思う。


「それについては絶対的な問題ではありませんわ。私、とっておきの言葉を知っておりますもの」


 そう、このための、彼女のための言葉があるのだ。一部の男が好きな言葉がね。


――――――――

お読みいただきありがとうございます。


続く。

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