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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第1章 幼児編

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第25.5話 幕間の間 ふぅと呑気に

お読みいただきありがとうございます。


番外編です。

「ふぅ」


 ふぅ、シャワーは汗も汚れも流せて正しく一石二鳥だ。思わず声が出てしまった。

 昔と違って、シャワーのある施設が増えてありがたい限りだ。勇者時代は、あんまりシャワーが備えてある施設なんてなかったものだから、水魔法を使って外でシャワーを浴びるでいいじゃんの男どもと、高い金を払ってもシャワーに浴びたい女どもで争いが絶えなかったものだ。大抵は仲裁案として男は野宿、女は高級宿ということになっていた。いま考えたら完全に女の勝ちじゃねえか。ちくしょう。


「はうぁー!」「きゃ」


 ドンガラガッシャーンと、外で凄まじい音がした。レーナとアルカの声も聞こえる。というか本当にアルカの声か? キャって可愛いな。そんな声出したことないじゃん。


「どうなさいましたの?」


 どう考えてもレーナが転けた音なのだが一応聞いてみる。しかし、返事が聞こえてこない。


「何か問題でもございまして?」


「うーん、何がどうなっておりますの?」

「そんなことよりステラ様、裸でシャワー室から出るのやめなさい!」

「あら、女しかいませんのですからいいじゃありませんか」

「他に人がいたらどうするんですか!」

「いませんわよ」


 魔力で人を感知できるから分かるんだよなー、とはとても言えないので、素直に怒られることにした。はい、すみません。


――――――――


「ふう」


 シャワーを浴びるステラ様の呑気な声が聞こえる。私はというと、もう完全に開き直りつつあった。ドレス汚れたのは私悪くありませんし。というか無理でしょう、あんなタイミング。レーナが転けそうなタイミングでステラ様が動くとは流石にわかりませんし、仕方ありません、ええ仕方がありません。


 そんな戦犯レーナ様はというと、これはこれは忙しない方だ。今もなんかちょこまかと看護室をうろついている。


「こっちじゃないしこれでもないし……」


 ……このままだとまた転けそうな気がする。ほんの少し手伝うことにしよう。そう思って立ち上がる。


 その時、案の定というべきだろうか、相変わらずタイミング悪く彼女がこちらを振り向いて、私と至近距離で目が合う。


「はうぁー!」


 そして驚いて後ろにすっ飛んでいく。私は反射的に手を伸ばすが、当然私の力如きでどうこうできるはずもなく、しかも彼女の掴む力だけは一丁前だったようで。


「きゃ」


 思わず共に転げてしまう。さらに、色々と巻き込んだようで、それはもう壮大にドンガラガッシャンの大騒ぎ。


 気がついた時にはレーナとすごくもつれ合ってしまった。荷物も色々もつれ合って、てんやわんやの大惨事。


「どうなさいましたの?」


 ステラ様の呑気な声が聞こえる。声を出すどころではないので、無視を決め込んだ。


「何か問題でもございまして?」


 しかし、お優しいステラ様のことである。心配してくれているのでいったん体制を整えてから……


 なんてことを考えているとステラ様が素っ裸で出てきた。


「あら、何がどうなっておりますの?」

「こら! ステラ様、裸でシャワー室から出るのやめなさい!」


 このお嬢様、いつも外で遊びたがることといい、時に女らしくないというか、男の子らしいというか、常識はずれというか、なんというか世間はずれな行動をとる。端的にいうと困る。すごく困る。怒られるの私なんですけど。困るんですよ、ほんと。困りまくりですね。


「あら、女しかいませんのですからいいじゃありませんか」


 それは結果論でしかないじゃないですか! なんて言っても通じなさそうです。少し分かりやすく変換してですね。


「他に人がいたらどうするんですか!」

「いませんわよ」


 なぜ断言できるのですか、あれですか、感知能力でもあるんですか、はいはいそうですね、すごいすごい。そんな子どもじみたこと言ってんじゃありません。やはり今一度、強くいいましょう。


「いいからさっさと服を着るかシャワー室に戻りなさい!!」

「う……はい、すみません」


 やっぱりしつけはきつい言葉に限りますね。




お読みいただきありがとうございます。


本編をかいている際にあぶれた番外編でした。

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