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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第1章 幼児編

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第25話 服を脱いだり着たり怒られたり

お読みいただきありがとうございます。


一応場面が大きく変わりましたね。

「すみませんすみません」

「ですからそんなに怒っていませんって。ただ、少しベタつきますので、できれば水浴びをしたいですわ。この屋敷にシャワーはございます?」

「はい、ございます、すぐ向かいうわぁぁ」


 配膳係に連れられるように会場から離れる。ありがたいことにシャワーがあるそうなので、早く浴びて着替えたいところである。というか配膳係がすごく転けた。私の予測をはるかに上回るスピードでずっこけた。流石に痛そう。


「大丈夫ですの?」

「はいぃ、すみまゃーー」


 立ち上がり際にまた転けた。どうにも忙しない人である。仕方なく手を差し伸べる。


「……立てますか?」

「本当に、ほんとすみません……」


 彼女は私の手をとってどうにか立ち上がり、服をパンパンとしてすぐに頭をぺこぺことする。まさかこの年で大人に手を差し伸べるとは思ってなかった。


「なんというか、こちらが申し訳なくなってきましたわ」


 ここに何も障害物がなかったことがせめてもの救いである。障害物もないのにどうして転けたのかいささか気になるところだが。


「ところであなた、名前は?」

「はぃ、私の名はヴラドレーナと申します。レーナとお呼びください。この屋敷で雑用を務めております」

「あら、レーナ、よろしく。私はステラよ」

「ステラ様に務めております、メイドのアルカです。どうぞよろしくお願いします」

「はハイ、よろしくおねがいしましゅ」


 今更ながらの自己紹介を済ませる。おお、途中まではよかったのに最後にわかりやすく噛んだ。これも痛そうー。


「……デハデハサソクムカイマソウ」


 痛すぎて片言になってんじゃん。まじ痛そう。


「ところでレーナ様、一つ質問よろしいでしょうか?」


 アルカが心配しながらレーナに問いかける。


「ハイ、ナンナリト」

「今どちらに向かっていますか?」

「カンゴシツデス。シャワーもありますし、一応お怪我がないキャむ……タシカメナイト」


 舌って一回噛むとそこが腫れてもう一回噛むよね、わかる。


「怪我……あなたの?」

「いえ、多分ステラ様のことかと……いや、ステラ様の気持ちもわかりますが」

「ハテ、ナンノコトデショウカ?」


 レーナがすっとぼけた顔をしているが、流石に見るに耐えなかった。アルカも同意してくれているようだ。


 ええっと……唇の端から血が垂れているんだよ!!


――――――――


「ふぇー」


 シャワーで汚れを流す。ついでに汗も流せて心地よい限りだ。


 ついでに過去にも思いを馳せたりしつつ――


「はうぁー!」「きゃああ」


 そんなことを考えていると、ドンガラガッシャーンと、外で凄まじい音がした。レーナとアルカの声も聞こえる。というか本当にアルカの声か? キャって可愛いな。そんな声出したことないじゃん。


「どうなさいましたの?」


 どう考えてもレーナが転けた音なのだが一応聞いてみる。しかし、返事が聞こえてこない。


「何か問題でもございまして?」


 それでも声が聞こえてこない。万一のことでもあったのだろうか。念の為確認がてら、シャワー室のカーテンを開けて。


――――――――


 その後、アルカに強めに注意されたのはいうまでもない。


――――――――


「うーん、なんとなく分かってきましたわ」


 シャワーも浴びてひと段落したので、看護室にあった仮の服を着てレーナを待つ。


「どうされましたか、ステラ様」

「レーナさんについて一つ思うところがありまして」


 そう、どうして彼女が推測外の行動をしてしまうのか。薄々疑問には思っていたのだが、私なりに考えてみた。


「あの方、恐ろしく鈍臭い方なのですね」

「そうですね、そういうことなんでしょう」


 そう、彼女は単純に鈍臭いのである。それも、私の想定行動を上回るレベルの鈍臭さ。


 ここに来るまでにも転け、私がシャワーを浴びている時にもドンガラガッシャーンとしていた姿をみるに、悪気はなくて、本当に偶然の繰り返しなのだろう。だからこそタチが悪い。多分今も色々転けながら服を調達してくれているに違いない。


「そういえば、レーナはメイドではありませんの?」

「おそらくなのですが、この屋敷は家としては活用されておりません。彼女らはこの屋敷で行われるパーティのための臨時の助っ人のようなものなのかと。会場を見るに、メイドらしき人とは明確に服の区別がなされているようですし、まあメイドとは違いますね」

「うーん、メイドって難しいのね」

「はい、一筋縄ではいかないものです」


 世の中のお嬢様の後ろにはしばしばメイドがいて、メイドっぽいけどメイドじゃない人もいて。貴族社会というのは数多もの人の力で成り立っていると感じる今日この頃だ。


「ただいま戻りまドギャァ」


 そんなことを呑気に考えていると勢いよくレーナが帰ってきた。


「あなた元気ね」

「ありがとうございます」

「褒めていませんわ」


 レーナはよくこれで解雇されていないものである。主人の心が寛大なのか、運よく私のような寛大な人にしか迷惑をかけていないのか、あるいはその両方か。


「まあ、無事ならいいですわ。それよりも私の服を見たいのですが」

「はい、こちらです」


 そう言って、レーナが服を広げる。先ほどまでの服と違って、白が基調で、袖は出ているタイプの子ども用ドレスだ。もう、見た目からして涼しい。少し触ってみると、生地も先ほどまでの蒸し服までと違い、薄くて着心地が良さそうだ。よくこんないい服がちょうどあったもんだ、及第点どころか満点、いや、百二十点である。


「こちらを差し上げます、どうぞ」

「いや、だから今日一日借りるだけでいいんですって」


 あまりの触り心地の良さに思わず貰ってしまいたくなるが、わざわざ汚れに行ったのだから貰うわけにはいかない。別に当たり屋になりたいわけではないのだ。

 だから、今日1日借りるだけである。……借りるだけ、借りるだけ……でも、まぁ彼女があげるというのならもらっても――


「借りるだけですよステラ様」

「わ、わかってますわよ!」

「ステラ様が道を踏み外す日は近いかもしれませんね……」

「さ、さぁて早速脱ぎますわよー」


 アルカに疑われてぎくっとなる。話を逸らすため、ささっと服を脱ぎまして。


「だからステラ様? まだ窓もドアが開いているでしょう? 私はあなたに何度はしたないと言えば気が澄むのですか!?」

「いいでしょ、今度こそ人いませんし」


 むぅ、減るもんじゃないからいいじゃん。もう、面倒くさいなぁ。


お読みいただきありがとうございます。


次は番外編です。第25話で省いた部分、つまり物語の進行とマジで関係ない部分です。番外編の中でもとびっきり関係ない方のお話ですね。


はじめてのパーティ編? はまだ続けます。今までみたいに4話とか6話区切りではないです。

好き嫌いあるかもしれませんが、まあ、それはご了承願います。一応ちっさい区切りというか、展開はつけていくつもり。

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