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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第1章 幼児編

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第22話 暑かったり厚かましかったり

お読みいただきありがとうございます。


 季節は夏にして、時間はお昼の鐘が先ほど鳴ったあたり。会場は街のとある町屋敷。


 確かピスタ家のものだとかそうでないとか、そんな話はさておき。


 車酔いを見越し、早朝から会場付近まで来て、カフェで寝込んで、元気はつらつ! な状態になった。


 そうして私は――


――――――――


 会じょうに……


――――――――


 むかぃ…………


――――――――


「やっと、到着しましたわね………………」


 会場に入る頃には、先ほどまでの元気はどこへやら。


「この暑さ、どうにかなりませんの?」


 おさらいしよう、季節は夏。

 太陽が燦々と照り、どうしようもなく、どうかしてしまうほど暑かった。


 おまけにこの部屋は、明るく見せるためかなんだか知らないが、嫌に日当たりが良い。サウナとして営業できるんじゃありませんの?


「あちーですわ」


 慣れないドレスを身に纏っているのもあり、普段以上に暑く感じる。


 どうにか熱気を和られないだろうか。当然ドレスを脱ぐわけにはいかないので……そうだ。裾を持って――


「ステラ様、それはだめ」


 秒で止められた。


「あら、なんのことかしら」

「ドレスの裾をパタパタしようとしたでしょ?」


 チッ、バレたか。


「はしたないのでやめてくださいね」

「はい、ごめんなさい」


 それはそうと、ドレスという服は構造に問題があると思う。もうちょっと空気が入る構造にしないと、危うく蒸されてしまいかねない。


 将来もお嬢様をするにあたって、ドレス暑すぎる問題は死活問題である。まさしく、死に直結しかねない。

 そんなわけで、時代が進み通気性の良いドレスが生まれることを切に願うことにしておいた。


「そういえば、アルカはいつも同じ服ですわよね」

「まあ、メイドですからね」


 アルカは、常に白と黒でロングスカートを身に纏ってる。私と部屋で遊ぶときも、出かける時も、である。

 正装というものらしい。私はあまり気にしないが、貴族によっては繊細なところもあるのだとか。


「メイドというのもなかなか大変なのね。その服、暑くありませんの?」

「暑いですが、こういうものは慣れです」


 いつの日か、私もドレスに慣れる日が来るのだろうか。お嬢様になったら、たくさんドレスを着ることになるのだから。


 え? その前に女になれって? うるさいばーか。


――――――――


「ひとまず早速ノルン様と合流しましょうか」

「はい、そうしましょう」


 私がはしたない行動をやめてから、ノルン様と合流することになった。


「確かあちらに……あ、いらっしゃいました」

「うーん、見えませんわ」

「まあステラ様、小さいですもんね。高い高い、します?」

「しませんわよ」


 心はともかく、私の体は五歳だ。日々トレーニングしているとはいえ、それとは関係無くまだまだ体が小さい。

 いずれ成長したら、スレンダーで高身長になれるといいのだが。


 ……別に全然、前世からのコンプレックスとかじゃないよ? えぇ全く、そんなこと、ないよ?


――――――――


 大人に踏み潰されそうになりつつ、アルカの後ろにぺったりくっついてペタペタと歩いていくと、確かにそこにはノルン達がいた。

 あと、付随する方々が何人かいた。何人か、いた。


 なんで複数人? 順を追って言語化を試みる。


 まずノルンだ。

 今日の彼は、子どもながらにそれっぽい正装をしているようだ。ただ服装が変わっても印象が変わるわけでもなく、どうもパッとしない。もう、背筋を伸ばしなさいな。


 次に、ノルンの隣に、胡散臭い執事、カルトラだ。

 ノルンとは対照的に、カルトラはいつもと同じ格好のはずなのになぜか今日はキラキラして見える。周りのお嬢様もカルトラに釘づけだ。ほんと、執事が目立ってどうしますの。ちょっと腹が立つ。

 ただ、これについてて、不快だが違和感はないのだ。


 問題となるのは、もう一人の人物である。人物というには大そうな物言いなので、別の言い方をする。


 少女である。


 私より少し大きな少女(・・)が、ノルンの隣に立っているのだ。それも、なぜか私を向いている。すごく興味を持たれている、気がする。


 誰だろう。知らないけど、なんというか関わりたくない。とりあえず無視できるかな?


「ごきげんよう、ノルン様。ご気分はどうかしら?」

「お、おはよう、ステラちゃん。ボクはまあ、そこそこ」

「ごきげんよう! アイラよ! わたくしはステラと違って元気ですわよ! あなたはなんだか機嫌が悪そうですわね」


 無理らしい。


 ただ、アイラ、だっけ? そんな子を私は本当に知らない。彼女は私を認知しているらしいけど、私はなんにも。

 何も知らないので、知らない人のふりを……


「ところでノルン様、今日はいい天気ですわね、うざったいほど」

「ええ、いい天気ね。まさしく、パーティビヨリ? ですわ、ステラ。ビヨリです! わたくし、パーティが楽しみですわ!」


 うん、無理らしい。


 流石にこれ以上無視するわけにもいかないので、ノルンに聞いてみた――


「……ところでノルンさん」

「なにかしら!?」


 のだが、それも彼女に回収された。どうやらノルンは、彼女に負けて言葉を失っているらしい。情けない。


 まぁいいや、それならそれで本人に聞くまでだ。


「どちら様?」

「アイラよ!」


 うん、ごめん。それは知ってる。



お読みいただきありがとうございます。


実は、登場人物の名前が初期から少し変わりました。もし初期の方を覚えている方がいらっしゃいましたら、是非ともその名前は忘れてください。

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