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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第1章 幼児編

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第21話 いきたくありません

お読みいただきありがとうございます。


前半後半をまとめたので少し長いです。

まあ3000字くらい。それと会話多めなので悪しからず。

「ノルン様、合格、おめでとうございます」

「あ……ぁりがとぅ、ステラ、ちゃん」


 冬がすぎ、春も過ぎつつある今日である。5歳になってからしばらくが過ぎ、その間に私の生活、周りの環境は少し変化した。


 まず、大きな私の生活の変化として、私だけの一人部屋が与えられるようになった。これで気兼ねなく体を鍛えて魔法をぶちまけることができそうだ。もうアルカの目を気にせず魔法の練習をする必要はない。


 私の生活の変化として、もう一つあげられること。それはメメとお勉強をするようになったことだ。

 所詮小学校入学のためのお受験である。必要なことは知識というよりも思考力が大きく占めるので、私が主だって学ぶことはなく、メメと一緒に考えるということをしている。


「うーん、よく分からないよお」「私も、分かりません、ですわー」

「ステラ様は分かっていますよね」

「五歳児の言葉を疑うおつもりで?」

「五歳児の言葉ではない重みを感じる時が度々あるので」

「気のせいでしょう」「ですかねえ」「です」


 もちろん、脳筋といえど発想は十分に大人なわけで、小学校の試験がわからないほど頭は弱くないので分かってはいる。しかしミラよ、少し私を買い被りすぎではないだろうか。せめて私の言葉を信じる素振りくらいはしてもいいと思うのよ。わたし、五しゃい。


 そんな感じの楽しいお受験のお勉強は毎お週末に行っている。私自身の主だった変化はこのような具合である。それよりも今大事なのは、私の周りの話、というよりもノルンのお話だ。


 ノルンという少年はは、もうすぐ六歳になるメリダ家の男の子だ。メリダ家というのは、勇者グラン様(昔のわたくし)を生み出したすごい家だ。にもかかわらず、彼は非常に弱々しい。というか情けない。


 まぁ、そんな彼についても大きな環境の変化がある。今日の目的は、そのお祝いを伝えることなのだ。

 そう、ノルンはどうやら目的の小学校に合格したらしい。ふむ、兵士の養成とだけあって、覇気とかそういうことが重要視されるのかと思っていたが、どうやらそんなこともないらしい。まさかへなちょこノルンが受かるとは。


 相当疑っていたのだが、受かったことはどうやら事実なので、九月からピカピカの一年生である。兵士を育てる学校の附属小学校で、その学校の理事長に近い人の親戚であり、かつて最強と呼ばれた男、グランの親戚である。期待高まる一年生坊主だ、めでたしめでたし。ほんとめでたいなぁ…………

 女ながら、ノルンがこんな性格で大丈夫かと心配になる。ここから厳しい中等学校、いかつい高等学校を経て兵士やその他諸々になるそうなので、本人にとっては、まったくめでたくはないのかもしれない。


 現に、吉報を受けてお祝いにとアルカとやってきたのだが、なんだか今日はえらく気が乗っていないように見える。


 そんなノルンとは反対に、その執事は上機嫌である。


「お祝いに来てくれたんだ、ありがとうございます! ステラちゃんはとっても礼儀が正しいんだね」

「えぇ、他人事とは思えないほど嬉しく思いましたゆえ。ところであなた、執事を解雇されたわけではないのですね」

「辛辣なお言葉で御座います」


 ただただ解雇されていて欲しかったということではなく、ここ最近、彼がお菓子を持ってくる回数が減ったから、ついに本当に解雇されたのかと心配していたのだ。ひとまず一安心、でもできればもっとお菓子くださいな。


 私に続いてアルカから、正確にはラメル家としても、お祝いを贈った。


「私からも、お祝い申し上げます。こちら、お祝いの品です」

「おお、……おぉー、こんないいものをいただけるなんて!」


 アルカから渡されたのは、お祝いの言葉と高級フルーツ(らしい)。それをカルトラはペコペコしながらもしっかり受け取る。中を見てびっくり、それからホクホクの笑顔。なかなか今日は上機嫌だ。


「にしてもノルン様、今日はえらく覇気がありませんわね。どうなさいましたの?」

「ぁの……エット……それでこれで……」

「あーもう、あなたに聞いてもわからないことがわかりましたわ」


 相変わらず子どもから情報を聞き出すのはどうもこうも難しい。というか、ノルンはこの話し方で本当に面接を通ったのか?


 よし、子どもから聞くのは諦めて、大人に尋ねよう。


「それがね! ノルン様がノルン様がね! ええっ――」

「あなたが子どもになってどうするんですか!!」


 おいこら大人がきちんと大人の責務を果たしてくれないと本当に収集つかなくなるんだよ!


--------


「はぁ、ノルン様がパーティに招待されていますのね」

「そうなんです、主催者と一応の繋がりがあって、それで六歳になって小学生になるノルン様も参加してみないかと。それを僕がノルン様に言った時からこのテンションの沈み具合です」

「相当行きたくないのでしょう」

「これ見ているとなんだかノルン様のおもしろさと可愛さについついテンションあがっちゃって」

「はあ、さようで」


 てっきり高級フルーツに喜んでいたと思っていたがそうではないらしい。なんだこいつ性格悪っ!


「コワイ、ぉとなのひと、ぃっぱぃるんでしょ、コワイ」

「そんなに怯えることはありませんし、その前にせめてはっきり発音してくださる?」

「ヒエエ、コワイ大人みたいでコワイ……」


 あら、なかなか勘が鋭いじゃない。三割くらいあっていますわよ。今後、発言に気をつけていかないといけませんわね。それと女の子に怖いってのもなかなか失礼です。訂正なさい。


 五年間も女として過ごしたからだろうか。ここ最近女の思考が少しずつわかるようになってきた気がする。

 昔の俺なら、女の子に対しても平気で怖いやつとかヤベーやつとか、太いやつとか重いやつとか、そういうことを口に出して言っていた覚えがある。

 今後は本当にやばい人に限定して使っていこうと思う……うん、やばい人にこそ言っちゃダメなんだけどね。


「それでノルン様、やっぱり行かないですか?」


 パーティについて話を戻す。あ、カルトラがね。

 カルトラはノルンにパーティの参加の是非を尋ねた。


「……いかない」


 もちろんそういうよな。しかしカルトラも黙っていない。


「美味しいご飯、いっぱい食べられますよ。ピーマン抜きでいっぱい食べてもらって構いませんよ」

「! ……いかない」

「綺麗なお姉さんいっぱいいますよ」

「いかない」

「ステラちゃんもきますよ。他にも何人か子どもが来るそうなのでお友達もできますよ」

「!! ……それはたのしそう」

「いかないですわよ!」


 私は思わず、会話を遮って突っ込んでしまっま。勝手に行くことにされても困るのだ。というよりノルンよ、なんかテンション上げられているのも困る!


 私はこれでも少なくない経験があるので、パーティに対して怯えとか不安はない。とはいえ、願わくば私だって行きたくはない。

 知らない大人ばっかりだし、相手はなぜか、いや理由は明らかなんだけど、グランのことをよく知っているし。当然覚えていられるわけがないのに、どうやら覚えてないと即刻死刑くらいのものすごくお偉いさんらしい、ということが度々あったり。パーティ中の美味しい飯がちゃんと喉を通ったことがない……


 ともかく。とにかく! 兎にも角にも!! 行きたくないのである。

 でも大丈夫、今の私にはお母様がついているもの!


「お気持ちはありがたいのですが無理ですわ。お母様の許可が取れるはずもありませんもの」


 私の行動を度々制限する親ではあるが、見方によっては味方になりうる。今回は都合良く利用させていただこう。


「そっか、残念。ステラちゃんがいれば、ノルン様も考えてくれそうなのに」


 権力者の壁を盾にすれば、大抵の厄介ごとは無視できる。昔からこれは変わっていない。ほんと、便利なものである。まぁ、時にその盾から出てきた槍で刺されるんだけどね。


「またいつか、私が大人になった時にまた誘ってくださいませ。ところでお散歩していて最近考えたのですが……」


 これ以上懇願されるのも面倒なので、強引に話をそらして先ほどの話はさっさと切り上げることにした。いつか私が大人になった時、私がどうしても暇そうでしたらまた誘ってくださいませ。


 そう、この話はここで流れたはずだった。


 はずだった、のに。


--------


 そして後日。


 春が終わって途端に暑くなってきたなぁ、と思うそんな頃。


 私はアルカからとある話を聞き、思わず悪寒に襲われた。


 もはや先ほどまでの暑さは消えて、心も体も冷えっひえだ。


「もう一度お伺いしても?」


 聞き間違いを信じてもう一度尋ねる。しかし、アルカの言葉は一言一句変わらなかった。

 ほんとに一つも言葉を変えず言いやがった、逆にすげえ。じゃなくって!


「ええっと……つまり行けと?」

「はい、母から許可は取りました。むしろ喜ばれていました。もう後に引けないです。行ってください」

「うん、分かったわ。つまり行けと?」

「はい、行ってください」

「嫌です」「ダメ」「ケチ」「ケチは違うでしょ」


 拝啓、神様。どういうわけか私までパーティに参加させられそうです。

お読みいただきありがとうございます。


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[一言] ケチwww
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