第18話 ナナはすごいお姉さんだ
お読みいただきありがとうございます。
今回は普段に比べて少し長いです。内容がスカスカなわけではないのであしからず。
今回は主人公が多いため補足説明です。セリフと人との対応が取れない時は呼称と一人称と言葉の漢字度合いで見分けていただくと幸いです。一応区別がつくようにと心掛けているのですが、わかりにくい点に関しては遠慮なくご指摘ください。
「ステラちゃんもびっくりしたよね! まさかこんなところであえるなんて!」
「そうですね、あなたとおなじように、私もびっくりです」
説明会の後には校舎見学があり自由行動であった。そこで、休憩時間に出会ったナナメメ姉妹と合流して共に行動することにした。
それにしても、妹であり、私と同い年のメメさんは大はしゃぎである。そんなに私と話せるのが嬉しいのだろうか。安心してください、私も知っている人に会えて安心しておりますよ。
そんなことよりである。ナナメメにたまたま出会うことよりもびっくりなことがある。
「でも、大変驚きました。まさかナナ様がこの学校の生徒だなんて。しかもずっと特別免除クラスにいる優秀な生徒だなんて、メイドごときがいうのもなんですが大変素晴らしいと思います」
なんと、姉のナナは驚くことにこの学校の生徒だそうだ。しかも、特別免除クラスである。
アルカがベタ褒めするのも無理はない。
この学校は国からの学費の支援がない、ゆえに本来は高い費用がかかる。そして特別免除クラスは、とくに成績の優れた生徒だけが入れるクラスで、高い学費が免除されるのだがとても賢くないと入ることができない。さらに、入れたら良いということはなく、継続的にいい成績を取る必要があるのだ。
ナナはその非常に難しい審査をくぐり抜けてきた、非常に優秀な生徒だということである。
「いえいえ、とんでもない。私なんて優秀ではありません。お父さんが頑張って毎日夜遅くまで仕事をしてくださり、不自由のない生活をさせてもらっているからたくさん勉強できるだけです。親にはとっても感謝しております」
「何をおっしゃいます。ナナ様も十分素晴らしいですよ。家庭教師も無しに特別免除クラスの成績を取られるなんて通常は考えられないことです。もっと自分を誇ってくださいませ」
「えへへ、アルカさんは褒め上手ですね」
さらに素晴らしいのは、学校の勉強だけでいい成績を取ることはなかなか難しいのが一般常識である今日において、自習だけでその成績をキープしていることである。よっぽど頭が良くないといけないし、それを考慮しても並の努力でなし得るものではない。
「メメさんもこの学校をかんがえていますの?」
「わたしもね、お姉ちゃんみたいにね、かわいい服を着てね、しょうがっこうに行きたいんだ!」
「メメさんの四歳らしいところ、私は好きですわよ」
そんな賢いナナとは逆のメメ。そんな理由で大丈夫なのか、と気になるところである。理由の適当さから、おそらくあまり勉強していないだろうと思っていると、姉がしっかり補足説明を入れてくれた。
「どちらかというと、今のところは私が熱心に進めているだけなんです。そろそろメメに勉強をしてもらおうと思っているのですが、なかなか勉強をしてくれなくて困ってます」
「そうだと思いましたわよ。メメさん、可愛い制服を着たかったらきちんと勉強してくださいませ」
そう言って、メメの方をふりむい――気がつけばメメは数歩先をテケテケと進んでいる。
「ねえねえお姉ちゃん、あっち行こうよー、ステラちゃんもおいでおいでー!!」
「「はあ……」」
もちろん、というべきだろうか。当の本人は何も聞いていないようで、とても呑気に見学を楽しんでいる。本当に心配だ。少しは姉を見習うことをオススメするぞ。
――――――――
そこから、メメに連れ回されるようにいろいろと見学した。ナナは時折他の生徒と挨拶を交わしていて、本当にこの学校の生徒であることを実感する。
そうして、次にやってきたのは教室らしいところである。先ほどまでの部屋は見学仕様になっていたが、ここはそうでもなく、多くの生徒らがおり、それぞれがお話をしている。どうやらここは見学する場所ではなさそうなのだが……どうやらメメはあまり分かっていない様子である。
「お姉ちゃん、いつもここでおべんきょうしているの?」
「うん、まあこのお部屋じゃないけど、こんな感じのところだよ」
「わたしもお姉ちゃんとおなじことするー!」
そういってメメは大きく教室のドアを開けて中に入った。急に入ってこられてびっくりしたであろう生徒らは揃ってこちらを眺めてきた。
「あ、メメ待って! 今日は教室の中はダメなの! 勉強会があるんだから!」
そういって彼女を止めようとナナは手を伸ばすが、一歩遅れた彼女の手は届くはずもなく、仕方なくナナも教室に入って彼女を追いかける。私が入るともう手がつけられないので、私とその後ろにいるアルカは外から見守ることにした。
「お姉ちゃんどうしたの?」
「早く戻ってきて。周りに迷惑かかっちゃうからー、あ! ちゃんと前みて!」
それは案の定というべきだろうか。周りに惹かれて前も見ずにふらふらと走っていたメメは前にいた生徒と当たってしまった。
「あいたたた……何しますのよ」
転けた生徒は髪の毛を丁寧にくるくると着飾った少女である。彼女とメメが当たったことに気づいたクラスメイトらは途端にざわざわしだした。転けているメメはともかくとして、ナナは少し青ざめているようにも見える。
「ごめんなさい! うちのメメが本当にごめんなさい!」
どうやら、あまりいい状況ではなさそうだ。アルカに目を合わせる。多少の問題ならば、私たちは関わらない方がシンプルにおさまるだろう。私たちは一歩離れることにした。
「あら、ナナさんではありませんの。今日はまた随分とラフな格好でいらっしゃいますわね。あら、そうでした。今日は勉強会がありますのに学校をサボっていらっしゃいますものね」
「あはは、ええっと、そうなんだ。今日は妹の付き添いで。あはは」
側から見てもわかる。どうやら二人の仲はあまり良くなさそうだ。というよりも、ナナが少し怯えた表情でその生徒と会話しているのだ。
「にしても、もう少し身だしなみにもきをつけたらどうなの? 貴方みたいな生徒がいるとわたくしまで恥ずかしくなりますわ」
「ごめんね、あはは……」
「こちらは貴方の妹でしょう? 妹も随分と薄汚れた姿でいらっしゃいますね。私なら恥ずかしくてこんな格好で出歩けませんわ」
メメは愛想笑いを続けている。
イライラするものの、私がここで出るのは得策ではない。私は声をかけたい思いを堪え、ただ状況を遠くから見る。
「でも、何も学校を欠席することはないでしょう? 勉強しかできない貴方が、勉強をしなくなるなんて随分馬鹿げていますわね」
「それは……」
この女はおそらく分かっていて話している。人を傷つけるために言葉を創っている。それだから余計に性格が悪い。
悪意に満ちた尋問をする彼女は優越感に浸って笑っていた。彼女にとって、この行為はよほど楽しいのだろう。
「そんなこと、召使いに頼めばいいでしょう?」
「私はみんなと違って召使いさんはいないから」
「あら、そうでしたわね。召使いって、お金がかかりますもの。じゃあ親にでも頼めばよかったのではありませんか?」
「それは……」
丁寧に丁寧に、一つ一つの逃げ道を潰していく。そのやり方は、あまりにも下劣だ。
ナナの言葉はしだいに弱くなっていく。
「親はどちらにいらっしゃるの? まさか、親がいないのですか? 可哀想なこと」
「親は……いるんだけど」
「あら、親はいらっしゃるのにこないのですか? なんてひどい親ですこと」
「そんなことないです。私のお父さんは--」
もう、限界だ。
ガラガラと、わざと大きくドアを開けた。少し魔法も使って大袈裟なまでに強く。
クラスメイトの誰しもがこちらを振り向く。ドアを開けた四歳の少女を目視する。
さらに注目が集まるように、大きな声で。
「あら、ここがおきょうしつでして!? まあたいそうご立派なおきょうしつだこと!」
得策なんて知るか。
お読みいただきありがとうございます。
こう見えて? どうみても? ステラはお怒り。
前回の時にあと二話と言った気がするのですが、もしかするとこれを除いてあと二話かもしれないです。
かきたいことばかりです。かき始めると筆が止まりません。
前書きにも書きましたが補足説明です。セリフと人との対応が取れない時は呼称と一人称と言葉の漢字度合いで見分けていただくと幸いです。一応区別がつくようにと心掛けているのですが、わかりにくい点に関しては遠慮なくご指摘ください。
文章力に関してはまだまだ改善の余地があると感じている今日この頃です。
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