表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

7 降りかかる火の粉を払ったら……

間違った方向に加速していくヒロ……。

さて、どこに行くのやら。

 く、あの兵隊達、話が通用するとは思えない。

 見ただけで分かる。殺る気だ!

 あの人数相手に一人で勝ち目なんてある分けない!

 だけど、何もせずに負けを認めるだけはいやだ!

 これはゲームなんだ!

 ゲームでぐらいあがいてみせる!


「やってやるーー!」


 『Gショット』をコスト1万でぶっぱなす。

 ただひたすらぶっ放す!

 兵隊達が仲間の屍を盾に突撃してきてもかまわずぶっ放す。

 ゲームといってもリアルですごく怖いけど、ただひたすら撃つ事だけを考える。

 攻撃を受けてピシリと何かが割れる音が響いて目の前が真っ赤に染まっても撃ち続ける。

 

 標準なんて全く考えない!

 ただひたすらの連射!


 防御なんて考えない!

 『Gショット』、『Gショット』、『Gショット』、『Gショット』……。


 何かシステムメッセージが表示されても気にせず撃ちまくる!


 お金がすごい勢いで消えていっても気にせず『Gショット』、『Gショット』、『Gショット』……。



 そして、気づいた時には……。

 目の前の兵隊がいなくなっていた。


「か、勝てた?」


 なんとか勝てたかと胸をなでおろしていると……。

 街の方がなんだか騒がしくなっているのに気がついた。

 

 カン、カン、カン、カン、カン……。


 さっきは、門の所で鳴らされていた鐘が街中で打ち鳴らされている。

 よく見ると、門の内側に大きな盾を構えたごっつい鎧の人達が見える。


「敵は強力な攻撃を使うが単体攻撃だ!」

「遠距離は、一直線のレーザー型だぜ!」

「貫通とかしないから最悪誰かが盾になれば」

「じゃ、お前盾しろよ!」

「ギルドの特別依頼、参加報酬うまいよな」

「まだかよ!?」

「東門と西門のやつらが迂回してくるのにまだ時間がいるだろ」

「何とか接近してアイテムを掠め取れないかしら?」

「戦場で大きな花火上げるぜ!!」

「「「「『魔力暴走』はやめろ!!」」」」


 内容は分からないけど、皆がしゃべってザワザワしている。

 耳を済ませても、全然内容は分からないんだけど……。な、なんだろう?

 さっきよりまずい事になってる気がする。

 ここは逃げた方がいいのか?

 そう思い振り返ろうとした時、左手の方に多数の人影を見つける。

 あれは……なんだ?

 人だよな?

 それも一人じゃない?

 結構沢山だよな? 何してるんだ?

 うん? 近づいてないか?


「やべ~西の奴らが見つかった!」

「これじゃあ、包囲なんて……」

「どうするんだよ!」

「もう行こうぜ!」

「いや、あいつらを犠牲にして……」


 目を凝らして人影を見てる間になにやら門の方が一段と騒がしさを増していた。

 人影が気になるのにと……門の方に意識を戻した丁度その瞬間。


「く……しょうがない! 全軍! 突撃だ~~~」


 なにやらざわめきの中でもはっきりと聞き取れる「全軍!突撃だ~」の声と共に、門から一斉に兵隊達が……今度は兵隊だけじゃなく色々な格好の人達があらわれる。

 同時に城壁の上にも、弓をもった狩人みたいな人達や、杖を持った魔法使いみたいな人たちが、一斉に起き上がっている。

 城壁の上で身を低くして隠れていたのか!

 それにしても、すごい数だ!

 さっきの比じゃない!

 こんなの一撃一撃撃っていたんじゃ間に合うはずが無い!


 こうなったら、困った時のヘルプ頼みだ!

 ヘルプさん~~~何かいっぺんに倒せるの無い?


『ちょ~とまってくださいね~って音声入ってる! 切って切って』


 うん? どこかで聞いたような声が……。

 ヘルプさん?

 

 うわ、敵がどんどん近づいてる!

 やばい!


 もう、こうなったら、さっきのように『Gショット』だ!

 コスト1万Gで連射!

 適当に20発ぐらい撃っても簡単に当たる……というか、100人は優に超えてないかあの大群!



『 G(ゴールド)マグナム


  ギフト(派生スキル)、アクティブ発動型

  G(お金)を消費して金額に応じた固定ダメージを与える弾を作るスキル

  方向と角度を指定して、射出すれば、ひたすら真っ直ぐ突き進む

  ショットと違い、敵を貫通してダメージを与える

  ただし、貫通時はダメージ分だけ威力が落ちる            』



『 G(ゴールド)チャージ


  ギフト(派生スキル)、アクティブ発動型

  G(お金)と全MPを消費して力を貯めるスキル。

  チャージ後に発動するG(ゴールド)系スキルの攻撃範囲がチャージ時間に応じて拡大する

  先にGをチャージする形なので後の方のスキルではコストは発生しない

  チャージ時間は1分毎5段階

  6分以上のチャージ及びチャージを妨害された場合は、周囲に金額に応じた暴発ダメージが発生する』



 あ、ヘルプがきた!

 チャージの方は却下。1分も待ってられない!

 よし、Gマグナムの方で行こう!


 『Gマグナム』、いつも通り1万G投入で……発射~~~!


 見た目は『Gショット』と殆ど変わらない。

 あ、弾の見た目が球体から弾丸状になってるか……。


 そのまま、いつも通り、先頭の剣持った傭兵みたいな人に着弾して……。

 あ、後ろのオノ持った戦士にも当たってる!

 でも、いつもは一撃で殲滅してるこうげきだったが、オノの戦士は生き残っている。


 貫通するとその分威力が落ちるんだったよな。

 しょうがないのか?

 いや、Gをもっと投入すれば良いのか!


『Gマグナム』、今度は10万Gで……行け~~!


 今度の弾丸は、さっき以上の速度で突き進み、数人まとめてなぎ倒す。

 倒した所で、また一気にお金やらアイテムやらが入ってきたので今度は、もう一桁。


『Gマグナム』、100万Gだ!!


 俺が打ち出した弾丸は、レーザーの如く一瞬で飛んで行く。

 通り過ぎた後に残るのは、門まで続く魂が並んだ一直線の道。

 

「いや~~~」

「街の中まで攻撃か!?」

「うわ~俺の露店が!」

「マスター。やられる前に俺の酒を~~」

「家に穴が!」


 うん、なんか街の方から色々悲鳴が聞こえたような……。

 いや、今はそんな事を考えている暇はない!

 今の攻撃でさっきまで以上のGが手に入った。

 アイテムの方はまたもやもちきれなくなって足元に散乱してしまっている。

 後で拡張して入れれるようにしたいけど、今は時間が無い!

 とにかく、『Gマグナム』、100万Gを連射だ!


「いっけ~~~」


 一筋の光が大群の中を貫いて行き、またもや一直線の道が出来る。


「まて、単体攻撃じゃなかったのか!?」

「おい! いきなり攻撃が貫通しだしたぞ!」

「隠してやがったのか!」

「いや、スキルが成長したんじゃないのか!?」

「おいおいおい、あれが最高レベルじゃないのか!?」

「どうするよ!」

「今更逃げたって的だろ?」

「転送で逃げりゃ」

「あ、そうか! じゃ、逃げさせてもらうわ」

「俺も~」

「おい、逃げるな!」

「ち、腰抜けめ!」


 あれ?

 なんか敵の足並みが一気に乱れたな。

 それに攻撃してない場所でも戦士とかが消えてところどころに穴が出来てる。

 チャンスなのか!?

 まあいい!

 今はひたすら、『Gマグナム』、100万Gだ!

 

 いけ~。

 貫け~。

 ぶっ飛ばせ~。

 倒せー!

 

 とにかく、狙いなんて関係ない!

 ひたすらただひたすらに近づく相手に撃ち貫く。


 そのまましばらく、『Gマグナム』撃つのに少しなれてきて、少し余裕が出来る。

 なので俺は少し周りの様子を確認する。


 相変わらず正面から向かってくる戦士達。

 もう、最初のように同じ鎧で統一された兵隊みたいな感じではなくなっている。

 ただひたすら俺に攻撃を加える為に突っ込んでくる。

 何度も何度も攻撃をくらってずっと目の前は真っ赤に染まっている。

 この赤はなんだろう? 

 なんかの危険信号なのか?

 まあ、よくわからないしいいや。

 それよりも、門以外から近づいてきた奴はどうなった?

 あれ? なんか途中で止まって動かないぞ?

 見物しに来ただけだった?


「く、東と西のやつらはどうした!?」

「動いてないんじゃないか!?」

「そりゃ……精鋭はこっちに集めてるから……」

「勝てそうになったら来るんじゃねぇか?」

「所詮数合わせだしな」


 目の前の人たちは、なんか左手や右手の方から近づいて来た居た人たちを罵倒してるようだった。

 まあ、援軍が来ないならうれしい。

 流石に今のだけで手一杯だ!


 あとは、街のほうか……。

 なんか、色々聞こえてる悲鳴なんかがどんどん拡大してるな。


「蘇生ポイントに無差別攻撃とか無茶苦茶だ~」

「く、ゾンビアタック封じか!」

「デ、デスペナが~~~」

「やめてくれ~」

「うげぇ、人口密度どうにかしてくれ!」

「つ、つぶれる~~」

「だれ! お尻り触ったの!」

「チカンよ~~」

「冤罪だ~~~~」

「胸に触るな~~~~」


 う~ん、なんだろう?

 本当にすごくまずい事をしてるような……。


 そうえいば、城壁の上の奴らは、殆ど攻撃してこないけど……味方を巻き込むからか?

 あ、城壁に『Gマグナム』がぶち当たってその上の奴らがまとめて吹き飛ばされた!?

 何だ!? どうなってるんだ?



 そんな感じで戦い続けていると……。

 なんかゴツイおっさんが突っ込んできた!?


「えええ~い。これ以上の狼藉許しては置かぬ!」


 うわ、すごいこの人!

 目の前で『Gマグナム』を避けた!

 そして、大剣? 大きな両手もちの剣を何処からか出現させると、渾身の力で斬り付けてくる。


 うわ! 流石に無理かも!?

 すごい衝撃と共に、いつもの何かが砕け散る音がする。 

 お、何とか無事?


「な……あれでもダメなのか!?」


 こっちの反撃も行くぞ!

 避けまくるといっても、下手の鉄砲数うちゃ当たる!

 いっけ~~~~。


 もう、やたらめったらと弾幕の如く弾をばら撒く。


「く、無念……」  


 ふう、なんとかなったみたいだな……。

 次は……。


 俺が周りを見渡した時、周りは漆黒の闇で出来たドームに覆われていた。


 な、何が起こったんだ?



『 条件を達成しました 

  職業:魔王 になりました 』



『 サーバー全域で魔王イベントが開始されました

 

  これ以降はゲーム内時間が加速されます

  それに伴いログアウト方法が変更されます

  詳細は………………                 』



 うん?

 魔王?

 魔王イベント?

 

 何だ?

 何が起こったんだ!?

ダメ女神「あ、あぶなかった。ヘルプメッセージ、ギリギリ間に合った」

同僚NPC「ちょ、勝手にヘルプメッセージ表示させちゃ!」

ダメ女神「硬いこといわない! これからが面白いんじゃない!」

同僚NPC「お、面白いって……」

ダメ女神「お、面白いやつの条件そろったわね。開始!」

同僚NPC「何やってるんですか! 魔王イベント開始しちゃったじゃないですか!」

ダメ女神「条件そろってるんだから問題ないでしょ!」

同僚NPC「まだ、作成中で最初の大陸分しか完成してませんよ!」

ダメ女神「ま、マジ!?」

同僚NPC「マジデす! どうするんですか!?」

ダメ女神「ま、適当にイベント改ざんしとけば……」

同僚NPC「ヘルプとかも全て作成中ですよ……がんばってくださいね……」

ダメ女神「…………」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ