いろは坂と奥日光 ~栃木日光ツーリング~
ネットで検索してたら自分が経験したライディングスクールに近いことをやってる動画があってビックリ。
リンクを張っておくので前回を合わせた初級編のイメージが掴めないという方はどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=fjPjPZQn2eM
https://www.youtube.com/watch?v=3XdEHhQ_Fqw
フロントアップの練習がある程度終わり、参加者の全ての人間が角材を乗り越えられるようになると、ライディングスクールは後半戦へと突入する。
入門コースとはコース取りが変わった初級者向けコースはそれなりにアップダウンがあり、そこにさらに障害物が設定された。
それだけではない。
林道を模した区画への進入もあり、そこへ進む上では非常に急な坂というか段差のようなものを乗り越えていく必要性がある。
それは普通に見れば間違いなく「上れない」ような段差にも見える急すぎる坂。
高さは1m20cmほどだが、坂の角度が急すぎてそのまま走行したのでは間違いなく登れない。
しかしタイヤの跡から、そこを誰かが登っていったことがあるのを律も理解できた。
コースの確認をしながらチェックポイントとばかりに障害物などがある場所で一旦停止させると走行方法について説明していた指導員は、今日一番の難関と称した。
「まあこんな場所って殆ど現実の林道には無くて、エンデューロやトレールの世界、それこそ山の道ですらないような場所を走りこむような環境ででしかありえないわけですが、初級でここを難なく突破できるようになったら100点ですね。出来なかった場合、出来そうにない場合はこの道を迂回してもゴール地点には行けますが、1回ぐらいは突破してほしいといったところで……私はここで指導をしますが、各地点にはアシスタントさんが見ています。がんばって周回してみましょう!」
「はいッ!」
参加者は皆滾っていた。
ここまでの間、指導員は今日の参加者は非常に意欲的で課題を成功できなかった者がいないと褒めているほどであった。
実はこの初級コース、やることはやるが、課題クリアは必須ではない。
そういった場合には一部参加者だけ個別指導なども行うように事前にプランが組み立てられていた。
だが今日参加する者は全ての人間がフロントアップまで成功。
特に、明らかに個別指導になりそうだった場違いな見た目の青年は、他の者と遜色ない技量を身に付け、そしてこの急な坂もフロントアップにて攻略せんと坂をにらみつけていた。
(これが出来たら……そうだな……光兄に安いオフローダーでも見つけてもらうか……それかCRFをもう一度借りて林道に行こうか……)
すでにその男、音羽律はオフロード走行に目覚めかけている。
元々、四輪大好き時代においても彼はクロカンに大変興味があった。
購入したいと思っていた車種はジムニーや再販されたランドクルーザー、トヨタラッシュなどそっち方面の車。
どんな道も進む。
それはバイクにおいても考えていたものの、「タイヤ2つじゃそんなに振り回せる技量もセンスもない」と考えていた20代中盤の男が、WRというヤマハ最強のオフロードバイクによって才能を開花させ、そしてオフロード走行に覚醒してしまった。
律が目指すは100点。
100点を取ってから、次のステップを考えよう……そう心に刻みこみ、いざ挑む――
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コース周回が始まる。
入門コースと比較して木の根っこなどがある難易度が高くなったコースとなっていた。
わだちは深くなり、タイヤが地面に食い込み、スタンディングだけでなく頻繁なフロントアップなども必要となる。
各所に丸太などの障害物が新たに用意され、その際もフロントアップで乗り越えなければならない。
それでも初級なのだ。
中級以上となってくると上り坂や下り坂どころか、「道なのかどうか判断すらつかないような」場所を延々と攻めていくことになる。
オフロード走行にとって30cm前後の障害物を乗り越えるのは大したことはない。
中級以上ともなれば、1m以上はあろうかというコンクリートブロックの段差をフロントアップだけで乗り越えるというようなテクニックを覚えていくことになる。
激突すれば大怪我では済まない。
しかし鍛えていくと普通に考えれば「そんなところバイクが走るわけないだろう」といったような大岩にも登っていくようになる。
さすがにここまで来ると上級者の話だが、オフロードバイクとはそれが可能な存在なのだ。
今日最大の難関はあくまで門出のようなもの。
ここをクリアすることで、未知の次元、律が求める見果てぬ先の道とはまた違う方角の、道ですらない文字通り未知の場所へと向かう先の先を目指す事も出来るようになる。
方角だけで突き進むような世界が待っているのだ。
今日の急な坂も車ならただ正面から激突するだけ。
だがバイクなら乗り越えられる。
出来る、それが出来るのだ。
コースを走る律は何度も危うい場面に遭遇しながらも、全ての課題をクリアし、最大の難関へと突入していった。
8番目に走る律はすでに何人かが挑戦した後だったが、その坂道には先ほどとは異なり、何台かのバイクが倒れた傷跡が出来上がっている。
割れたカウルの破片が地面に転がっていた。
その場所で待機する指導員のストップの合図で律は一旦停止する。
「音羽さん。スピードに乗せすぎると登り終わった後の反動で転倒するんで、この場所に来た時は必ず1速に入れて、トルクを意識して20km程度で突破してみてください。スタンディングした後は前方に重心を傾けて、後ろに倒れないように。危なかったらバイクを押し出すような感じで横に体を投げ出して脱出してください」
「わかりました」
律はハキハキとした口調で応える。
一方、やや息は切れていた。
WRのクラッチレバーは非常に軽いため、左手の握力についてはそんなに問題はなかったものの、体全体に疲労が蓄積し始めている。
チャンスは数度しかない。
「では、自分のタイミングでどうぞ!」
「はい」
指導員がやや離れた位置に移動した後、律は深呼吸をする。
クラッチを入れたままアクセルを何度も煽り――そして一気にWR250Rを加速させた。
坂が目の前という所で前輪ブレーキを踏み、その反発でフロントアップさせながらクラッチを繋いで再度加速。
今までのフロントアップの中で信じられないほど角度がついたバイクは後ろに倒れそうになる。
「重心は前に!」
その指導員の掛け声とともに歯を食いしばり、律はWR250Rを押し倒すようにして前輪を再び地面に押し付けるようにした。
角度のある地面を蹴りあげながら、WR250Rは見事なトラクションでもって坂を制覇する。
「はい止まって!」
「おっとっと……」
坂を攻略した後、すぐさま出発しようとした律は静止の合図に立ちゴケしそうになるも、何とか制御できた。
「音羽さんおめでとう! そう! そうやって乗り越える! これで今日の課題は全部クリアだね。後3周ほどできるはずだから、3回攻略できるようがんばろう! ではこのまま進んでください!」
「ありがとうございます」
適切な指導のおかげで、律は最大の難関を突破した。
今日の早朝と午後を過ぎた今とでは、律はまるで別人のように成長した。
先週、砂利の路面に足をすくわれ、フラフラと走っていた男は、もはやそんなものをものともしないばかりか、フロントアップを覚え、自動車では垂直に登れないような急な坂をバイクで攻略することができる。
(バイクってこんなに凄かったんだ……そして練習すれば俺でもこんなことが出来るのか……)
律はそんなことを考えつつも先へ、先へとコースを進んでいった。
(WR250R。間違いなく国産最強のオフロードバイクなんだろう。俺でもこういうことが平然とできるわけだし、回せばCRF250Rallyよりパワーはある。ただ、こんなに回してるとややナーバスな挙動になることもあるな……やっぱ初心者向けじゃないんじゃないかな)
すでにWR250Rの挙動に慣れてきた律は、コースを周回しながら、CRF250とWR250で比較した場合、個人的にツーリングと平行した林道アタックを考えた場合はCRF250で十分ではないかという見解が生まれていた。
無論、CRFの方が重いのでフロントアップなどの難易度は上であると思われる。
しかしそれでも、あちらの乗り心地の良さと安定感の方が個人的に好みだった。
WR250Rは短期的なアタックをする上では最高の相棒になるが、ややじゃじゃ馬気質なところがあり、素直さでいえばCRFの方が上だった。
(ハードにアタックするか、軟派に攻略するか……俺はどっちと相性がいいのだろう……)
他の障害物も難なく攻略できるようになってきた律はそんなことを考える余裕すら生まれてきていた。
フラットダートを走りこめるようになってきたのだ。
そんな状態で3周を走り、全ての周回で上り坂をフロントアップで攻略することに成功したのだった――
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ライディングスクールはその周回にて終了へ。
最後のレクリエーションで律は指導員から「今日一番の意外性を発揮した人物」として評価された。
周囲からも笑いがおきたが、やはりこの格好だと誰しもが「まるで攻略できずに終わるだろう」と思っていた様子である。
律本人も自分の今の状態が信じられないといった様子でその笑いの中に賛同し、自らも笑っていた。
そんなこんなで温和な雰囲気にてレクリエーションが終わったが、律は終わった後に指導員に「センスがある」と再び褒められる。
律はテレていたが、指導員に思い切って聞いてみようと突如として思いついたことがあり、伺ってみることにした。
「あ、すみません……実はこの後も走ろうと思ってるんですが、オンロードでオススメの道とかありませんかね?」
律はこの時、完全に忘れていた。
その道を。
誰しもが日光にきたら一度は走って見ようと思うその道を。
「おいおい、日光にきたらあそこしかないだろう?……それともあれかい? そこからどこに行きたいかという話かな?」
「へ?……あっ……」
律はその言葉の意味が一瞬わからなかったがすぐに理解した。
日光といえばあの道だろうということと、指導員がその道を示唆したことを理解した上で失念していたことに気づいて恥ずかしくなる。
「思い出したようだね。いろは坂を走った事は?」
「ないです……少なくともバイクでは」
律は恥ずかしさのあまり顔が紅潮した。
ライダーにとってもドライバーにとってもこのあたりで最も有名な名所を完全に忘れていたからだ。
「なら上りと下り、両方楽しんで再び登って、奥日光を目指すといい。そして中禅寺湖からさらに先、日光湯元から先に進んで、沼田方面へ。日本ロマンチック街道は最高のツーリングコースさ。今の君なら存分に愛車を振り回して楽しめることだろうし……」
「――ッッ……ありがとうございます」
指導員が自信をもてとばかりに律の肩をポンと叩いたことで、律は感情が爆発しそうになった。
指導員に向かって一礼した後はWRを返却し、そのままCB400の下へ。
「待たせたなCB。もうちょっとだけ、今日は付き合ってもらおうか」
高いテンションのあまりCBに話しかける律。
無論、CBが応えることなどない。
律はすぐさまレインコートを脱いで畳んだ後に収納袋の中へ詰め込むと、ミッドシートバッグの中へとつっ込み、出発準備を整えた。
念のため喉の渇きを自動販売機の飲み物を口の中に放り込んで潤し、その後、猿も蔓延る奥日光へと出発したのだった。
時刻は16時。
すでに夕暮れ時である。
夕日が山の斜面に反射し、美しい色合いとなっている。
その合間をCB400は突き進んだ――
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まなかの森を出たCBは西へ進路をとる。
県道247号から、有名な国道120号へと進む。
東武日光駅を過ぎたあたりで国道120号へ。
国道120号をしばらく進むと、かの有名ないろは坂となる。
いろは坂。
標高差440mを9.5kmほど登る第二いろは坂と、6.5kmを下る第一いろは坂で構成される。
元々は片側1車線の第一いろは坂のみが存在し、後に渋滞多発により第二が整備された。
第一が一車線にも関わらず第二が二車線であるので違和感を感じるが、あの2車線だと明らかに狭い第一いろは坂こそ当初のいろは坂なのである。
律はまず第二の登りを制覇した後、第一で下り、再び第二で登って中禅寺湖から日本ロマンチック街道を通って日光湯元に向かう計画を立てた。
日光湯元より先は何も考えていない。
無計画だが、どうにかなると考えていた。
120号をそのまま進み、いろは坂に入った律は、まず左車線で様子を見る事にした。
制限速度は40kmだが、右車線は60kmを超えんばかりの自動車がどんどん律を追い越していく。
律はまず最初のカーブにてリーンアウトの姿勢でCBの状態を見る。
指導員が話していたように、オンロードでは足を出さず、姿勢だけ外側に投げ出し、CB400をカーブの内側へより傾ける。
すると、CB400は今まで使ったことがない皮むきの済んでいないタイヤの領域まで傾き、挙動が少し荒れる。
後輪がキュルキュルとややスライドするが、律はその状況を完全に制御できていた。
「倒しすぎた!? おかしいな……」
カーブに進入した様子では特に問題ないような感覚だったが、今までまともに傾斜させて走行させたことがなかったCB400はやや不安定な挙動を示した。
しかし律はそのままリーンアウトでもってカーブを通過する。
エンジンブレーキと姿勢制御のみでカーブを曲がると、CB400は段々と思ったとおりの動きを示すようになった。
タイヤが温まり、さらに新品状態からそれなりに路面との摩擦で削れたからである。
急斜面とヘアピンカーブの状態を傾ける度にCB400はグアングアンとエンジンを唸らせた。
表定速度ではあったが、一切ブレーキを使わないことでカーブの進入速度は速く、凄まじい速度を今までにないぐらい傾いた状態で攻略していく。
その時だった。
「む……後輪が追いついてない? なんかボヨンボンと跳ねてる気がする……怖いなこれ……変にナーバスになったらトラクション失うぞ……」
一部路面の段差に過剰に跳ね上がるリアサスペンションの影響で、律はやや恐怖感を感じる。
いろは坂の路面はそこまで良い状態ではなかった。
段差や路面のヒビなどがある度に吸い付くイメージがなくなり、タイヤの接地感が薄れるのだ。
そんな状態のまま15分ほど進むと、奥日光へと到着してしまった。
律はすぐさまUターンする形で下りへと目指す。
下りは一車線の追い越し禁止。
余談だが、この時観光バスが来ると最悪である。
下りの表定速度は40kmだが、彼らは徐行レベルの速度で走る。
それだけで渋滞が発生し、ニュースになったこともあるぐらいだ。
にも関わらず彼らは待避所で道を譲ることなどをしない。
度々それで他のドライバーとトラブルとなっている。
せめて30kmほど出さないとバイクは傾けることすら出来ないので面白みも何もない。
にも関わらず4台、5台とバスが列なり、その後ろに何台もの車が大量に詰まって渋滞を引き起こすのである。
特に土日ほどそうなるため注意が必要なのだが、この時、律は奇跡的に最も空いた状態にて下りの第一いろは坂を走ることが出来た。
第一いろは坂は6.5km。
そこを40kmで走る。
周囲に車は殆どおらず、そして前の車のペースは非常に速い。
ヘアピンカーブをブレーキを殆ど使わずシフトダウンしてエンジンブレーキを併用しつつ体重移動だけで攻略する律は、ストレートで大きく離されるがカーブでスイスイと追いつく状態となっていた。
40kmを守りつつ、あえて広い道幅をエンジンブレーキと姿勢制御だけで攻略していく。
不思議なことに上り坂よりも下り坂の方が挙動がやや安定した。
要因は前サスペンションの強化にあった。
交換したスプリングが地面をより捉えるようになっている影響で、跳ね上げが減るのだ。
自然と重心が前に向きやすくなるため安定した様子でCB400は進んでいく。
他のライダーから見ると車種に似合わない不思議な姿のリーンアウトを利用した状態で、律は見事にCB400の能力をある程度出せる状態に成長していた。
アクセルワークに気を使うばかりややラフなクラッチ操作となったが、CB400は持ち前のパワーでどうにかそれを調節している。
シフトを2速と3速で調節し、上手いこと急な下り坂を制御し、そのまま10分ほど進むといろは坂の下りが終わった。
ある程度走行した後、再びUターンした律は、第二いろは坂を再び上って奥日光に到着したのだった。
時刻は17時を過ぎていた――
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奥日光の商店が立ち並ぶ湖畔に到着した律の目の前には衝撃的な光景が広がっていた。
先ほどは即Uターンしたので通らなかったために気づかなかったが、中禅寺湖周辺がシャッター街になっているのだ。
ホテルなどもいくつも潰れており、外国人のバックパッカーなどの姿はあるが、お土産屋は一部を除いて閉じられた状態となっている。
本日は土曜日。
よって平日は閉まっているというような田舎の観光地によくある営業形態の店ですら開店している曜日のはずであった。
どうしてこうなったのだろうか。
かつて存在したホテルやレストランは相次いで閉店。
朽ちた建物がそのまま残り、その中にボロボロの古き建物による飲食店やペンションがいくつか並ぶのみ。
10年前はもう少し賑わっていたこの地域だが、いつの間にか凄まじい状況となっており、律も口が塞がってしまう。
律は通らなかったが、いろは坂の真下にある日光駅周辺とは天と地ほど差がある。
下は盛り上がりを見せる一方、中禅寺湖自体はどうしてこうなったと言わんばかりの悲惨な光景が広がっている。
「……ここって観光地じゃなかった……こんなんだったっけ?」
律の中にある日光というイメージとかけ離れた何か。
律のもつ日光のイメージは奥日光にも20年前にならあった。
大量にある、今ではまるで車が停車していない無料駐車場はかつての名残りである。
しかし、近年、日光など栃木の有名な観光地のいくつかはこういった状況に陥っている。
有名なのが「鬼怒川温泉」などである。
渋川や草津などに行ったことがある者なら、鬼怒川温泉の状況の違いに驚くことだろう。
実は日光も、中禅寺湖を越え、日光湯元まで向かうと再びホテルやペンションが多数目に入ってくる。
今や海外のガイドブックに「何もない湖」と表現される状況となり、「紅葉は綺麗だが、湖は平凡で環境に恵まれず、物価も高い」と辛口評価をされている。
この先の戦場ヶ原などはみやげ物屋などがまだ残っており、道の駅のような賑わいを見せる一方、なぜ中禅寺湖がここまで寂れたのかは良くわかっていない。
いろは坂の紅葉は有名で今でも渋滞するし、日光湯本付近のスキー場も賑わっている。
だが、中禅寺湖は違うのだ。
近年、外国人観光客が増加し、首都圏各地は賑わいを見せている。
特に日帰り~1泊で過ごせる場所が人気で、そういう観光地を複数跨ぐプランが人気であるのだ。(日光の後に富岡製糸工場に行くみたいなプラン)
例えば筆者が驚いたのは群馬県の老神温泉。
外国人が別名「千尋」と呼ぶこの場所は、かつては秘境温泉の1つであったが、近年ではその古くからの佇まいが映画「千と千尋」などのイメージから外国人観光客に大うけし、
アジアなどを中心に多くの観光客で賑わう。
彼らはそのまま吹割の滝などを観光し、高崎あたりに向かっていくわけだが、
近場には望郷ラインという景色に優れた道などもあり、バスが多数温泉街に停車しているほどだ。
一方の日光、雑誌や日光の市長などの評価によると「完全な努力不足」「怠慢経営」というのが過疎の実情のようだ。
日光市自体は道路区画整備や鉄道やバス各社と連携し、努力する一方で観光地の経営者たちは宣伝などに非協力的で鬼怒川温泉については廃業に次ぐ廃業。
ライバル視していた群馬県に追い越されそうになり、必死でもがく状況にある。
一部ネットでは「密林などが広がっている」などと勝手な言われようの群馬県は、老神温泉などを筆頭に秘境に潜む観光地が口コミが広がりを見せ、多数の外国人が押し寄せる一方、日光市は外国人すらリーマンショックから激減し、まるで観光客が増えないまま。
まさにその状況を見た律は、「俺の知ってる日光と違う」とばかりに絶句しつつも、そのまま戦場ヶ原へと120号線を北上したのだった――。
次回「沼田にある村民3000人の村が作った関東一の道の駅」
君は本当の群馬を知らない。




