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ブレンボを装備した神経を刺激するスズキの四気筒(インパルス)

 免許取得より2日後。


 日付が変わったばかりの深夜に自室の机の椅子にこしかけ、両手を頬に当て、まるでムンクの叫び状態となりながらカタカタと震える律の姿があった。


(限界でござる……限界にござる……我は忍耐の限界に到達してしまい申した……)


 もはや日本語すらおかしくなるほどの禁断症状に見舞われる。


 注文したCB400の納車が遅れていた。

 その話がドリームより通知されたのは昨日のことであった。


 工場での問題によりタンクの到着が遅れるそうである。

 すでに注文から1週間が経過しているが、後1週間はかかるとのこと。

 律のCBはコーティング予定もあり、そこから到着して2週間は最低かかる。


 つまり、来月までCBは届かないということだ。


 その状態により律は我慢の限界から禁断症状を起こしていた。


 通常、バイクの納車は無駄なことをせず、さらに店頭在庫を購入すれば翌日には納車可能。

 しかし律は様々な条件を付けてしまったがために納車が大幅に遅れる事態となった。


 元来、こういう場合はバイクを下取りに出す関係などからそこまで間が開くということはないのだが、律にとってCBは初めての愛車。


 他に代替となるバイクがない。


 レンタルバイクも考えてみたが、どういうバイクがいいのかわからず手を付けられないでいた。


(いっそ中古の現状受け渡し5万円とかするようないつ壊れるかわからないものを3週間保たせるか……?)


 ネットの中古車情報を見た律はレンタルを3週間買うつもりでそういう危険な代物に手を出すことすら検討しはじめていた。


(だめだ……わけのわからない中古は危険すぎると光兄からずっと言われているではないか……ここはダメ元で光兄に助け舟を出してもらうしかないッ!)


 ――兄者! 拙者、愛車の納車が遅れて禁断症状にござる! どうか介錯を!――


 書いた律ですらメールの文面がわけわからないような状態であったが、深夜のナチュラルハイ状態のため、そのまま送信してしまった。


 そのままカタカタと震えながらバイク関係の動画を見る。

 車載動画を見て自分が乗った気になり、気を紛らわす。


 ――30分後。


 ピコーン


 ――うるせー! こっちは深夜に移動でようやくSAで寝付いたとこなのに起こすんじゃねえ! 明日のためにさっさと寝てろ! 明日は忙しくなるからよ! 今のうちに体力温存しとけ!――


(どういうことでござろうか……兄者がこちらに来ていると……? そういえば本日は土曜日也……綾華が来る予定でござったか…………まさかバイク引きずって二人で来るってのか!?)


 メールの文面を何度も見直して律は正気に戻る。

 光がどうしてこちらに向かっているかはほぼ間違いなく「2台以上持ち込むため」なのであろうことは容易に推測できる。


 深夜に綾華と高速を使ってマスツーリングなのは光らしく無いと思ったが、自分のために急いでいるのだとしたら合点がいくと律は勝手な介錯にて納得した。


「うおおおお! バイクが来るぞおぉ!!! もう寝るッ!」


 高らかに叫んだ後、律はそのままベッドに突撃して眼を閉じた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「律くん、まだ置きんの~? はよ起きて!」


 バサッと布団を取り払われ、律は肌寒さから眼を覚ました。


「うぬ……綾華……随分元気じゃないか……っていうかまだ5時40分だぞ……」


 律は上半身を起こし、眼を擦りながらベッドに腰掛けるような状態となる。


「律くんのために早く来たんやないの! 下に光くんおるで!」


「あ、あぁ……挨拶しないとな……」


 律は着替えることなく急いで下のリビングへと綾華と共に向かった。


「よぉ、随分元気そうじゃねぇか……深夜に叩き起こしやがって」


 目元に明らかに疲れが見える光はご立腹である。

 律のためにと行動してきたのにも関わらず律にその行動を妨害されたためであった。


「う……ごめん……ちょっと深夜でテンションおかしくなってて……」


「あーそう。ともかく退院おめでとう。俺のちょっとした退院祝いみたいなもんだ。ガレージを見て来い」


「マジ!? 何もってきてくれたん!?」


「いいから見て来いよ」


 光はガレージの方を親指で指差した。


 律はすぐさまガレージへと向かう。

 綾華も後からついてきた。


 ガレージには見慣れないはじめて見るバイクが三台停車されていた。

 1台だけやけにズタボロでエンジンガードなどは付いているがエンジンガードなどの塗装が剥離しており、カウル類も擦った傷がいくつもある。


 何度も転倒したといわんばかりの風貌のネイキッドバイクがあった。


「えっ……どういうことなの……」


「1台は私のCBR250RRやけど?」


 綾華は3台のうち2台あるフルカウルスポーツバイクのうち小さい方を指差す。


「もう1台のカウル付いてんのは?」


「光くんの愛車の中の1台であるZX-14Rやね」


「……じゃあこのズタボロのネイキッドが退院祝いか……」


 律は少々ガックリきて腰を抜かす。

 1台は明らかにメガスポーツであることが理解できており、2台のうちどれかであると思ってはいたものの、


 CBR250RRの方が退院祝い的な何かではないかと儚い希望を抱いたためである。


「せやねー。インパルス400。私のジムカーナ仲間の人が新車入れるっていうんで光くんに下取りで預けたばっかの車両なんやよ。これやと店での売り物にはならんから分解してパーツ販売予定やったんやけどねー」


「ふーん……(まぁどうせ俺もズッコケまくるんだしこういうので調度いいのか……)」


 いかにも自由に乗っていいですというような見た目は、最初こそ多少嫌な気分となったが時間が経つに連れ、無茶苦茶に乗り回しても何も問題が無いという意味であると理解でき、逆に変に気負いそうなバイクとは違うのでこちらの方が今の自分に適していると律はすぐさま納得できた。


 律はそのままインパルスに向かい、まじまじと見つめる。

 近くにはウィラーの姿もあった。


(なんか……CBより一回り小さいような……250ccみたいだ)


 インパルス400のやや小ぶりな姿に律はCBとの違いを認識できていた。


 ズタボロのインパルス400はよく見るとタンクが何箇所も凹んでいる。

 フロントフォークにもアウターチューブに傷がいくつもあった。


 事故車といわれれば納得できるほど痛んでいるが、すべて小キズで、事故を起こしたというほどではない。


 そしてフロントホイールを見た律の体の神経に衝撃インパルスが走る。


「ブレンボだとぅ!? うっそだろお前ッ」


 フロントホイールに輝く「Brembo」の文字に律の眼も輝きだす。

 その文字が入っているだけでブレーキ能力が10%は上昇している感じが律にはするほど、憧れのメーカーなのである。


「な? 絶対そこに惹かれるからこっちの方がいいって言っただろ綾華」


「光兄ィ!?」


「えー……本当に律くんってブレンボ好きなんか……」


 いつの間にか律の背後にいた光の一言に律はビクッと条件反射で跳ねてしまった。

 綾華は何やら他に律向けのバイクを考えていたらしく、この選択には納得していない様子だった。


「ブレンボだけじゃないぜ。リアはナイトロンだ。こいつの下取り価格は殆どジムカーナ用にカスタムされたパーツ類だけの値段といっていい。本体はエンジンブロックにまで傷入っちまってるしフレームもちょっと歪んでて本体は正直売り物になんねえ」


「ナイトロンだってぇ!?」


 律は思わずヨダレが出そうになった。


 ナイトロン。

 イギリスのサスペンション専門メーカー。


 その昔「シャコタン」といえばナイトロンと言われる時代があった。

 最初にナイトロンを装備したマシンが話題になったのはスカイラインGT-Rだろうか。


 ご存知の通り車高調可能なサスペンションであり、これを装備したマシンは四輪では1980年代~1990年代ぐらいまでアマチュアレースなどで活躍。


 装備していたマシンはスカイラインGT-Rなどが筆頭。


 こいつらの地面に吸い付かんばかりの車高の低さに惹かれた若者が、後にセダンなどで似たような真似をしていく。


 その結果、ナイトロン=シャコタン用サスペンションなる誤った図式が出来上がり、ナイトロン社は日本のスポーツセダン向けの安い「とりあえずシャコタンに出来るサスペンション」を販売し、それらはあまりスポーツ性能を意識していなかった事から「本当に高性能なのか?」といった認識が一部でもたれる原因ともなった。


 ただ、サスペンションとして不動の地位を得ているのは四輪よりも二輪であり、二輪サスペンションの二大メーカーといえばと問うと「オーリンズ」と「ナイトロン」と応える者が多いのではないだろうか。


 一方、日本国内の四輪の世界においてナイトロンといえば「チューンドGT-Rが装備してる」もしくは「シャコタンセダンが装備している」イメージが強い。(世界的にはロータスやTVR、一部BMW社などに使われているイメージ)


 律は前者のイメージを持っている。


 律はどこぞのドリフト漫画のようにGT-R=悪みたいなイメージはまるで無いので、「Brembo」+「Nitoron」という組み合わせのチューンドカーなど、ある意味憧れの存在。


 そんな夢の構成が今、目の前にある。


 律からすれば「なぜかスズキに違和感」という感じなのだが、


 実はこの構成パターンになるケースが多いのはカワサキとスズキで、ホンダはナイトロン自体を装備できない車両が多く、高級サスペンションはオーリンズやSHOWAというイメージであり、ヤマハはナイトロンは装備できるが「Brembo」を装着するのが割と難易度が高くなっている状態。


 二輪においてはスペック重視を掲げるスズキだからこそ、GT-Rのような構成にすることが出来るのだ。


 この構成は当然、ジムカーナを走るスズキのバイクでもよく見る、定番のジムカーナ用カスタムでもある。


「ジムカーナ用だからそりゃあそういうの仕込むべ。そういうの一切無い素ノーマルにエンジンガードだけでこれだと買取できんような状態のバイクさ。インパルス400が買取不可能な価値がないバイクってわけじゃない。そういう使い方をしてしまったからそういうバイクになったということだ。倒れてもそれらのパーツが死ぬわけじゃないからしばらく好きに使え。ただし遠出はするな。そんな保証ができる状態じゃねぇ」


「光くんと一緒に私も一応整備はしてみたんやけど……ガタきてるバイクやから長距離はやめといてなー」


 綾華はインパルス400の凹んだタンクをコツコツと指でつつく。


「まあエンジンは死なないと思うが、こんな何度も倒れたバイクとなると、どこが壊れるか予想できんからな。お前に乗ってもらうのもガタきている部分の洗い出しという意味合いもある」


 光は寝不足でうつろな眼をしながら、ガレージの柱に腕をかけてよりかかるような姿勢となっていた。

 直立するのが辛いのだと思われる。


「光兄、あんま母さんにガタがきてるって言わないでよ。変に心配するから」


「わかってるよ。だから遠出禁止の条件つけたんだろ。街乗り限定だ。いいな?」


「りょーーかい」


 律は光に向かって敬礼した。


 律の聞くところによるとの予想に反して光は綾華や自身のレースのためのトランポを持ち込んで律の自宅へと来ていた。

 だからこそ3台持ち運ぶことに成功しているのだ。


 トランポは近くのコインパーキングに駐車されており、駐車前に自宅付近にバイクだけ降ろしてガレージに入れた格好である。


 律は以前より2台程度と思っていたガレージは、律の現在の取り回し能力においてはその程度しか入れられないが、バイク屋を営む光にとってはそのスペースに3台入れるなど朝飯前であった。


「よし、じゃあ俺は寝る。ということで綾華と高尾か上野原あたりまで行って慣らして来い」


「インパルス400の?」


「お前の慣らし運転に決まってるだろうが。まだ公道に慣れてないだろ」


「そりゃ確かに……まだ公道デビュー前で……」


 律はいつものごとく緊張と恥ずかしさで頭に手をかけて髪を弄る。


「まずコレ。後で同じシリーズのもんを三鷹か八王子か府中あたりのバイク屋で買って来い」


 光は律になぞの小型端末とスピーカーを渡す。

 それにはマイクらしきものが付いていた。


「……インカム?」


「B-COMのSB6Xだ。同じ物を買えとは言わないが、とりあえずそれを渡しとく」


「私も光くんもSENAも持ってるんやけど、そっちの方が初心者にはええかなって……何となく」


 B-COMとSENA。

 ヘルメット用の無線インカムでは人気のモデル。


 しかし誰しもが言うが、SENAは操作がやや複雑で覚えるのに時間がかかる。

 いきなり使えるのはボタン操作がシンプルなB-COMだが、SENAの方が機能や性能で上回る。


 どちらがベストなのかは人によって変わることになるだろう。


 光と綾華は最初の混乱しがちな運転にSENAを用いるのは危険と判断し、光が使うB-COMの最新型を律に貸与することにしたのだった。


「これないとマスツーリングではまともに会話できんのやよー」


「それは一応知ってるけど……まだ早いのかなって思って何も手を出してなかったなぁ……」


「そんな所だろうなと思ったぜ。まぁとにかくだ。お前の一発目からやらかしてるGT-Airをもってくるんだ。俺が装着してやるから」


 光は手の平を天井に向けたような状態でまるでブルースリーのごとくもってこいと促した。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~


 光に促され、大急ぎで律は支度を済ませる。

 ジャケットを羽織り、グローブとヘルメットを持ち出した。


 光は律のGT-Airにインカムを器用な手つきですぐさま装着した。

 装着した後で光はヘルメットを調節している。


「ああ、言い忘れたがインパルスのとこにゃお前の希望通りゴリラがくっつくようにしてある……どうしてそっちがいいのかまるでわからんがな……前のオーナーが電源はUSB2ポートから取れるようにしていたが、どうせ買ってねえだろうし俺がゴリラをUSBで接続できるケーブルも買っといたぞ。あとで請求な?」


 パチパチとヘルメットを調節しながら光が言葉を発する。


「お金はちゃんと払うよ。整備費とかかかったならその分も払う」


 律はたとえ親戚といえど無料にするというのは仕事の流儀に反するので嫌だった。

 自分がプロフェッショナルとして働いていた際にそのような姿勢だったからである。


 だからこそ、そういう身内の人間もきちんと費用などを要求してほしいと常々主張しており、光もその話は聞いたことがある。


「今回は退院祝いだからいい。ただ、CBの整備費用とかはちゃんととる。俺もプロだしな」


「……じゃあそれで」


 律はやや納得できなかったものの、光は言い出したら聞かないので時間も惜しいために今回は光に甘えることにした。


「ETCは前のオーナーがつけてたのを再セットアップしてあるんやよー」


 綾華はハンドルバーに装着された一体型のETCをトントンと叩く。

 彼女が再セットアップしたわけではないがETCが再び使える状態にしていた。


 ETCカードについては仕事用に作ったものを律は所持していたが、これに二輪や四輪といった指定はないので使いまわすことが出来る。


―――――――余談――――――――

 

 余談だが、ETC自体は信じられないことにレーンで二輪と四輪を正確に読み取ることが可能なのは最近判明したこと。


 高速レーンでは以前より車体重量やタイヤの数などを抽出して料金算定を行っていることは有名な話だったが、なぜか「二輪は読み取れない」などといった話がにわかにされていた。


 誰が話していたかあんまり記憶がないが公権力だったような気がする。(公安委員会あたりかどっか)


 しかし、実際は「二輪」という枠は読み取れる。


 導入で語られた「定額ツーリングプラン」においては、ETCカードを事前に日付を指定して登録させることで後はレーンを通ると「高速を一定期間定額利用」出来る。


 しかし冷静に考えてもらいたい。


 この手の大半の道路が「二輪と軽自動車」は同額なのである。

 これまで、二輪は「軽自動車として判定」されているなら、軽自動車で二輪のツーリングプランを適用できるはずだ。


 しかし実際にはツーリングプランで登録されたETCカードで軽自動車を用いてレーンを通過すると後で「正規の料金」を徴収される。


 つまりこれはETCレーンにて正確に「二輪」と判定した際に定額化を適用して後で請求が来るようになっているシステム上、ETCレーンで正確な判定できているということを意味する。


 それまで正確に公にされなかった話だが、噂程度で「二輪は別料金にも出来るはずだ」といわれていた。


 恐らくその手の技術畑の人間によるリークであるが、ツーリングプランはそれらを明確に裏付ける根拠となると同時に「ならなんで今まで軽自動車の料金にしてたねん」というような話が湧き上がったりしたほどだ。


 そう、それまでの定説が崩れたからである。


 ツーリングプランは筆者も便利すぎるので利用していたが、そのアンケートにはこう書いてあった。


 「二輪全体の料金を引き下げるか、今後もこういうプランで実質的にシーズンのみ安価に提供するか検討しているが、どちらがいいか」


 ――という内容である。


 筆者からすると「もう二輪は永久に定額でいいんじゃないかな」と思わなくもない。

 それほどまでに「その日の間何度も高速を乗り降りできる」というのは便利すぎた。

 

 というか、30代までの若者だけに限定してドライブプランもやったらどう?


―――――――――余談終わり―――――――――


 その後、律達は一連の作業が終わってツーリング準備が完了し、いざ出かけることになる。


 インパルスにはゴリラが装着可能なよう、ハンドルバー用ステーが新たなに装着され、そこに取り付けスタンドをくくりつけた状態となっていた。


 近くにはUSBポートもくくりつけられており、2ポートのため走行中のスマホ充電なども同時に行える状態だ。


「後で俺も合流する。まずは高速使わず綾華と上野原あたりを目指せ。都道30号っていういい場所がある。綾華にルートは教えといたからついていけ。ちと遠いが綾華が一緒なら問題ない。いざ行動不能になったらトランポで取りに行ってやる」


 光はそう言って律にインカムを装着した状態のGT-Airを手渡す。

 簡単に元に戻せるよう、クリップ止めとなっていた。


「わかった。」


 律はそれを受け取りながらハッキリとした自信に満ちた目で返答した。


 律の初ツーリングが始まった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ガレージより光の華麗な取り回しより出たインパルスとCBR250RRは両名がそれぞれ跨る。

 エンジンをつけるとどちらも1発始動でとても快調といった様子を見せる。


「いいか、そいつはCBに見た目は似てるがCBとはまた違う。無茶すんなよ」


「ああ、それじゃあ――」


「光くん、行ってくるッ!」


 律が言おうとしたところ、先にそのことばを綾華に言われて遮られてしまった。

 そのため律は手を振って光に応え、そしてそのまま自宅から出発した――


 次回「高尾と山梨の蛇の道」

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