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ビッグスクーターとシミュレーター(前編)

 翌日、律は綾華を一人家に残したまま、朝早くより家を出た。


 前日の夜「見たいなら好きにすればいい」と言ったが、やはり恥ずかしいので「先に行く」とだけメールで入れて出てきた格好だ。


 格好を付けたいのではなく単純に見せ付けてやるとかばりに一緒に行けるほどの能力を持っていないという羞恥心が律をそうさせた。


 律はランニングがてらいつもは電車を使うところ、歩きで教習所まで向かうことにしたのだった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 いつものように教習ファイルを手に入れ、それをもって受付へ。

 そして受付で受講手続きを済ませ、チャイムが鳴ったと同時にガレージのような二輪教習待機室へと向かう。


 胴体と肘、そして膝のプロテクターを装着。


 今日からは第二段階のため、ゼッケンの色が変わることが事前に説明されていたため、第二段階用のゼッケンを身につけ、いつもどおり自分のヘルメットを取り出し、休憩用のパイプ椅子に座って待機する。


 最初の時限は休憩時間という概念がないためやや早くから準備ができる。

 そのため指導員が待機室にいないことも多い。


 準備を終えた律は外を見ながら無心となっていた。

 しばし時が過ぎるとどこからともなく足音が聞こえ――


「音羽さん。今日第二段階でしたよね?」


 どこからともなくやってきた若手の指導員が律へ声をかけた。


「ええ。そうです」


「じゃ、今日はAT車両体験なんで、足首用のプロテクターも装着してください」


「えっ?」


 律は思わず立ち上がった。

 急いで教習ファイルの中身を見てみると、確かに第二段階の最初の項目は「AT体験」となっていた事に気づく。


 信じられないことに、綾華に見学される教習内容はスクーターという今まで乗ったこともない車種であったのだ。


 律は血の気が引く。


 ただでさえヘタクソなままなのに、さらに一度も乗ったことが無いもので教習。

 どう考えても情けない姿を晒す未来が予想できる。


 しかし逃げるわけにはいかないので、指導員より説明をうけ、足首プロテクターを装着した。


 チャイムが鳴るといざ第二段階の教習が開始される。


「今日は前半ずっとAT車両です。なんで、ウォーミングアップの3周もあっちにあるスクーターでやります。まずはこちらへ」


 そういうと、若い指導員はスタスタと素早い足取りでビッグスクーターの前まで律を案内した。


「この車種なにかわかります?」


 見慣れない車両だった。

 律は己の知識の中を総動員するものの、名称がわからない。


 ホンダのスクーターといえば「PCX」「フォルツア」ぐらいしか知らないが、どちらも一眼。


 こちらは二眼であり、ホンダのマークさえなければ「スカイウェイブもしくはバーグマン」か「マジェスティ」などと即答してしまいそうな見た目である。


「ホンダ……フォルツァとかいうんですか?」


 間違っているとはわかりつつも、派生車種か何かの可能性に賭けて、律はフォルツァでないかと主張した。


「惜しいですねー。これはホンダ シルバーウィングです。400ccですね。普通二輪のAT限定免許用教習車はCBみたいに固定ではなくていろんな種類があるのですが、ウチではこれでやっています。他のスクーターとの違いとして一番大きいのは……400ccのビッグスクーターの中で最も重量があるって事でしょうかね」


 指導員が言うとおり、シルバーウィングの重量は400ccスクーターの中では突出して重い。

 例えば同じ排気量ではグランドマジェスティが装備重量220kgで、400ccスカイウェイブが装備重量227kg。


 一方シルバーウィング。

 装備重量249kg。


 その重さのため、他のビッグスクーター教習車とは大きく違う点がある。

 それはボディーのガード類が非常に低めの設置位置のため、他の車種と違い倒しても殆ど傾かないこと。


 大重量のアメリカンバイクやホンダゴールドウィングなどと同様、元来は「重すぎてどうにもならへん!」ってな存在のためにある程度までしか傾かないようにし、コケても他の車種と同じ重量感覚で立て直せるようにしている。


 そうでもないとマジェスティと比較して20kg以上も重いのだから立ちコケしたら大変なことになる。


「その……重量っていくつぐらいあるんですか……?」


「ガードが付いてるんで255kgぐらいでしたかねえ。大型でも最近では珍しい重量ですので気をつけてくださいねー」


 250kgオーバーというのは律も始めて体感する重さとなる。

 一番最初の教習で持ち上げたものが240kgオーバーだが、それよりもさらに10kg重く、


 さらにコイツは普通のバイクの形をしていない。


 指導員の指示によって律はいつもどおり、一旦バックさせてから普段の位置まで持っていくことになったが、


 重すぎて変に右側に傾いたらリカバー不可能なほどの重量感だった。


 しかし何とかフラフラしながらもいつもの位置にたどり着く。


「では乗って、エンジンをかけてください。その辺の操作は同じです。注意してほしいのは絶対にアクセル回さないでくださいね」


 指導員は、スクーターのためNニュートラルという存在がないという点について注意を促した。

 当然のことではあるが、実はやらかす人間が意外と少なくない。


 現在の教習所でも大半がキャブレター式のCBを利用している。

 そのため、エンジンのツキが悪かったりすることがある。


 NC31なんかはチョークすら未だに存在する車種のため、朝方1回目の教習ともなると本当にエンジンのツキが悪い。


 まだ肌寒い季節故、アイドリングすら出来ないことがある。

 その際の対処法として「チョークを引いたままアクセルを回してしばらく暖気する」ということを教えられており、その癖を無意識に行ってミスをやらかす者が出てくるのだ。


 律は意識的に体を動かしていたため、そのようなことはなかった。


 いつも通りのようにサイドステップを上げてから座席に座り、キースイッチを入れてからエンジンを始動。


 その際、右手でブレーキを強くかけていた。


 ニュートラルが存在しないため特に確認はせずそのまま始動させた。


 キュル ギュアァァン


 この時期においてもセル1発で始動したシルバーウィングになぜか感動した。


 エンジンが始動してまず驚いたのはアイドリング音であった。

 律の知っているスクーターというのは非常に軽いエンジン音と排気音である。


 しかしシルバーウィングはそれなりにいい音が響くのだ。


 それもそのはず。

 今日のビッグスクーターは基本的に単気筒が多い。


 フォルツアやX-MAXなどもそうである。


 一方、600ccとして開発されたシルバーウィングは400ccバージョンは単なるボアダウン版。

 よってTMAXなどの大型用ビッグスクーターと同じく直列二気筒。


 今ではコストパフォーマンスを重視した大型バイクで当たり前となりつつあるパラツインではなく、自動車などに利用される直列二気筒なのだ。


 直列二気筒な理由は単純。


 ――エンジン部分にも外側を覆うような構造としたダブルクレードルやトラスフレームにVベルト式無段変速機など各種機器を仕込む関係上、全幅が通常でもありえないぐらいワイドサイズになってしまうから――


 ホイールベースはある程度まで長くしても運動性に大きな影響を与えないが、ワイド化しすぎると街乗りなどで厳しい乗り物となってしまう。


 などというと「ホンダNC750インテグラとX-ADVは並列二気筒じゃないか!」と思うかもしれない。


 アレはスクーターもどきな外見をしたただのバイクで、チェーン駆動だからどうにかなってる。

 それでも全幅はシルバーウィングよりも5cmもワイドになってる。


 アレ以上ワイドになったら大変なことになるギリギリのラインなわけだ。


 また、TMAXに関しても初代は並列エンジンだったが、ヤマハの技術者は「エンジンもフレームの一部にする」という設計にすることでワイド化を防いでいた。


 ダイヤモンド式などと言われるトラスフレームである。


 その構造は後の時代に主流になるトラスフレームによく似ている。

 特にドゥカティの最近の主流は構造的には似たような仕組み。


 だが、TMAX自体は別方向へと進化。

 フレームをさらに頑強にするためアルミフレーム化し、その上でシルバーウィングと同じく直列エンジンを採用するに至っている。


 ホンダは後に無駄にコストが上がるということで、インテグラが欧州などでTMAXとそこそこ戦えているのと、X-ADVも国内外問わず売れたことでシルバーウィングが生産終了ということになったが、


 ヤマハはTMAXが最強すぎて欧州で圧倒的な売れ行きを誇るので、トラスフレームにでもならない限りは今後もレアな直列二気筒エンジンを搭載したままなのであろう。


 今律が乗るのはそんなホンダの自動車エンジンの技術をそのままフィードバックさせた、二輪の世界ではもはや希少価値すらありそうな直列二気筒エンジンの車両なわけである。


「ではウォーミングアップいきますよー。言い忘れましたが、ブレーキは左右のレバーなんで注意してください。それと、左は両輪ですのでクランクとかは慣れないと難しいかもしれません」


 若手の指導員はブレーキの方式を今になって説明したものの、それ以外の乗り方のアドバイスは特に行わなかった。


 自分用のシルバーウィングを出してきてそのまま乗り込み、時間が惜しいとばかりにウィンカーを点灯させて発進する。


 律もそれに続かんとまずは右手でかけていたブレーキから手を離す。


 そう、律の中には「AT車=クリープ現象があって発進」という図式がなぜか出来上がっていた。

 しかし発進しない。


 実はCVT。

 元来はクラッチを用いている関係上クリープ現象などない。


 自動車に最近搭載されるCVTはクリープ現象もどきを発生させているだけで、本来はそんなもの無かったりする。


 しかし律はそれを知らなかったのだった。

 動かないので急いでアクセルを捻る。


 するとシルバーウィングはドラララァンとこれまで二輪では聞いたことがないような音を奏でて静かに前に進みだした。


 乗り出してみると案外乗れていた。


 別段普通の二輪車から逸脱するような代物ではない。


 ただし前足の位置はまるでアメリカンな感じで、とてもバランスが取りにくく、ニーグリップもできず不安定感が律を襲う。


 最初のカーブ。

 外周のためゆるいカーブだが、律はなんというかハンドルで曲がっているというような感じで、左右にフラフラフラフラと蛇行運転するような状態となってしまった。


「両足を踏み込んでバランスを取る感じですよー」


 すかさず指導員が助言を送る。


(それ最初に言って……)


 律は綾華が見ている可能性があるため、焦りを感じつつも、直線で加速。


 この時、強烈な違和感を感じる。

 無段変則故の違和感。


 エンジンを回しているが特に変速しないため、グアアアアとエンジン音は一定のままスピードメーターだけが上がっていく。


 自動車の自動変速機だと無段回といえども回転数が少し下がったりしてギアチェンジっぽさがあったりするが、ビッグスクーターは自動車と比較すれば軽量のためそういうものはなかった。


 あまりにも無段変速が自然すぎて逆に違和感があるほどエンジン回転数が一定なのだ。

 これが非常につまらないのだ。


 操縦しているとか運転しというよりかは「乗せられている」感じがたまらなく気持ち悪い。


(バイクにCVTは駄目だ……スクーターでもギアチェンジした方が楽しいんじゃないのか……)


 律はそんな存在が実在していて、しかもその実在する代物が売れているからこのシルバーウィングが犠牲になったことを知らず、そんなことを直線を走る中で考えていた。


 2回目のカーブ手前、ポンピングブレーキを利用して減速。


 今までの癖の影響か、右前足に左手と同じ間隔で同時に力が入ってしまう。

 普段はそちらが後輪ブレーキだからである。


 ブレーキをかけたシルバーウィングを足と体の体重移動で傾け、2回目のカーブへ。


 今度は特に普通に曲がることができた。

 しかしニーグリップできないことで不安定感はぬぐえない。


「それじゃ、このまま三周したら待機場所に停車せずいくつか課題やりますんでー」


 指導員はその様子を見てそのままペースを上げていった。


 ――ウォーミングアップを終えた律はいつもと異なり、そのまま課題に移行することになった。


 AT車による「クランク」「S字」「スラローム」「一本橋」といったものを一通り行うのだ。


「失敗してもいいですし、足ついていいんでー。体験ですんでー」


 先行する指導員は律に無理をしないよう声かけする。


 そのまままずはクランクへと入った。


 後を追う律も右折してクランクに入る。


 減速して最初の右直角カーブを曲がろうとすると―


「うわっ!」


 低速になるとまるでバランスが取れず、思わず足がついてしまう。

 後輪ブレーキが存在しないのでまるで小回りできない。

 250kgオーバーの巨体はまるで言うことをきかない。


 それでも何とか倒さずに2つ目の左直角カーブへ。


「駄目だ……これ」


 やはり思うようにバランスがとれず足をついてしまったが、何とかパイロンも車体も倒さずクリアした。


「ではS字へー」


 そのまま指導員は左折し、交差点を直進していく。


 律もそれに続き、交差点を過ぎた後に右折のために右側に寄せて右折、そしてその先の一時停止場所で一時停止。


 指導員は第二段階に入っているのか、殆ど助言もなくどんどんコースを突き進んでいく。

 一時停止場所から左折し、S字へと入っていこうと内回りを走行していた。


 律もそれに従い、シルバーウィングを振り回した。


 ここで気づいた。

 重いことは重いが、腕の負担は殆どない。


 まるで「お前はこれに乗るべきだ」と車体から言われている気がした。


 一時停止場所を左折した律はS字へ。

 クラッチレスの車体はS字では逆に思った以上に楽に進むことができる。


「それではここからUターンに近い形でスラロームいきまーす」


 普段のコースとは違いS字に入るため右折した。

 実は本来のコースだとスラロームからのS字なので、順番が逆なのだが、


 それだとかなり厳しい小回りになるためこのようなコース選択となっていたのであった。


 S字からの右折だと大回りでUターンに近い方向転換ができるのだ。


 そこからさらに右折してスラロームへ。

 指導員はスラロームのスタート地点で停車している。


「危ないと思ったらコース外れていいんで無理しないでくださいね。では先にお手本みたいな感じで私がやってみるんで、後から同じようなコース取りでタイム関係なくついてきてみてください」


 指導員はそのまま前を向き、アクセルを捻ってスタートする。

 持ち前の技術を生かしてスラロームを6秒程度で一気に抜けてしまった。


 律も負けじとそれに続く。


 しかし何とか曲がれるものの、ヘロヘロの動きで「とりあえずスラロームを進んでいる」だけとなってしまった。


 タイム的には10秒程度かかっていたが、クラッチレス車体の影響で速度調整がしやすく、低速でもマニュアル車より融通が利いた。


(なんか楽だなこれ……)


 この影響で重さとエンジン回転数が一定すぎる以外、シルバーウィングはそれなりに楽しめる車体ではないかと律は考え始めるようになった。


「そのまま一歩橋に行きますからー」


 ゴール地点より少し先で一時停車していた指導員は再び右折して今度はスラロームの隣の一本橋を挑戦することを律に指示した。


 律は指示通りに右折して一本橋の場所へと向かい、スタート地点に停車する。


「こちらも無理しないで危ないと思ったらコースアウトしてください」


 指導員の説明を受けた律はタイミングを見計らって一気にアクセルを捻り、やや加速をつけて一本橋へ。


 やや前傾姿勢となり重心を前に傾け、バランスをとるとシルバーウィングは重さの影響か直線は非常に安定感があり普通に難なく突破してしまった。


「今のだと6秒ぐらいですかね」


 しかし突破できただけでタイム的には2秒も早く、普通に減点対象だったことで律は落ち込んだ。


「じゃ、ここから急制動のスタート地点に向かい、1回やったらMT車に戻してコース周回しますんでー」


 そう言うと指導員は右折しながら急制動のスタート地点付近に停止し、律にそこに停止するよう促した。


 律はすぐさまそちらに移動する。


「40kmは出してもらって、停車は初めての車両なんで3本目のライン目指してでいいのでー」


 一通りの説明の後すぐさま指導員はスクーターを走らせ、急制動のゴール地点に移動した。

 その後、準備が完了して律に手で合図を送る。


 それを見た律は左ウィンカーを点灯させつつ、いつもと同じ感覚でスタートし、40kmまで加速。

 ドラララァという音とともにすぐさまシルバーウィングは40kmまで加速。


 ブレーキ使用地点まで進んだ後に一気にブレーキをかけた。


 前後両輪ブレーキであることを聞いていた律は左レバーにより強い力をこめる。

 すると、シルバーウィングはなんと1本目のラインで見事に停止。


 クラッチもないためエンストすら心配することも無いビッグスクーターにおいては急停車が非常に楽だったのだ。


 1本目の停車はこの教習所に来て初めての成功であった。


「やりますねー。ATの方が相性がいいかもしれませんねえー。では車体を交換しましょう!」


「はは……」


 一部では邪道と否定されるスクーターを一回目の運転からそれなりの乗りこなせた律は指導員の言葉に思わず苦笑いしてしまった。


 その後、待機場所にまで向かい、シルバーウィングを元の位置に戻した後はいつもの赤タンクのCBに交換し、コースを周回することとなった。


「軽いッ!」


 50kg近くも車体が一気に減量した状態となったため、CBの軽さに感動する。


 律の脳内には10年以上昔に見たとあるアニメのパロディ的な台詞が浮かんでいた。


 ――車体が軽い! こんな幸せな気持ちで走るのなんて初めて……もう何も……恐くない――!。


 それが死亡フラグだったのか、

 その時限の後半のコース周回の教習にて、律はAT車の影響か3回もエンストしてしまったのだった……


「左手のペダルをブレーキにしようと思った人誰……右足ブレーキでいいじゃん……」


 左手はブレーキという感覚からクラッチ制御をミスしまくった律は教習終了時にCB400を片付けるさい、独り言をボヤかざるを得なかった。


 ~~~~~~~~~~~~~~


「どうでした? ビッグスクーターは」


「重くなければ悪くないなと……」


「あははっ。シルバーウィングは一番重いスクーターに分類されるので250ccスクーターだと今だと190kg以内なのでもっと軽いですよ」


 指導員は教習ファイルに印鑑などを押しつつも律にシルバーウィングが特別すぎる存在であることを伝える。


「そうなんですか?」


「ええ」


 指導員は律の方を向かずに教習ファイルを向きながら返答していた。

 しかし律はシブい表情であった。


「左手ブレーキとかはちょっと……」


「右足ブレーキのオートマも大型車にはあるらしいですよー。ではこれを」


 指導員は律の表情や様子に意を返さず仕事とばかりに教習ファイルに書き込みを行い、記入を全て終えて律に手渡した。


「へぇー……あっはい。」


「次回はシミュレーターのみです。連続教習でしたっけ? プロテクターはいらない教習となりますので外していってくださいねー。受付でシミューレーター教習の受講をしてください」


「わかりました」


 律の返事を聞くと指導員はどこかへ立ち去っていった。


 律は連続教習のため、急いでプロテクターを外し、受付へと向かっていったのだった――

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