番外編:ウィラーの独り言6
生き急いでんな……間違いなく生き急いでやがる。
結論に辿り着いたわけでもないのに答えを出すのが早すぎる。
116万の価格はそう軽くない。100万以上は重くのしかかるもんだ。
今のCBにそんな力はねえ。
それに実際の価格は120万だ。
キャッシュバックがついて120万以下に収まっているように見えるだけだ。
一番最初に120万を上限にしたらしいことを家族に打ち明けていたが、最初から最大上限額を決めたら、そこに合わせてあれこれ付随させて限界付近まで詰め込まれるに決まってる。
オプションが必須なんで話を俺は今まで聞いた事が無い。
工賃とパーツ類からの予測額からして車体価格が7万ほど値引きになっただけだ。
この値引きは新車でも可能な範囲。
つまり、全ての段階で営業の掌で転がされていたということ。
それで自分が納得できたというならいいが、俺はこんな額では納得しねえ。
全くその点に気づいていないだけだ。
両親やバイク屋の知り合いは気づいている様子だが、何気ぃ使ってんだよ。
まだ後戻りできる範囲だろうが。
CBの選択が悪いかといえばそれも違うが、あいつが求める道とCBの性能は合致してねえ。
オンロードしか進むことができず、しかも普通二輪免許の枠組みで限界性能を求めただけの高級車を無理して乗るぐらいなら、加速性能などに多少目を瞑ってやっすい250cc車両でよかっただろう。
なぜ最初からベストの選択を試みて最大級のコストをかけてしまうのか。
ここんとこどう補正しようとしてもずっとその傾向だ。
一度失敗しねーとわからねぇのか?
周囲の声になぜ耳を傾けようとしない。
ヘルメットもそうだ。
高いものは確かに優秀。
性能的にも文句1つなく、最終帰結点にあるメーカーと商品。
だが過程を経て購入すべき商品ではある。
まだ落としていないが必ず落とす。
CBもそうだ。
あんなクソ頑丈なマシン、中古で十分だろ。
NC31が普通に余裕で現役なんだぞ。
バイク屋に探してもらって1台こさえりゃ60万円以内でまともなマシン1台作れるだろ。
NC39なら80万以下で全て揃うだろ。
そこに40万も増加させて、40万円分の価値を享受できると思えねぇ。
そういうバイクなんだよアレは。
今回、とにかく最初はKOMINEあたりで我慢しろとあれこれ誘導をかけてみたが、いきなりバカ高いイタリア物とかの革ジャケになったらもう知らねーぞ。
いよいよそうなったらあのバカ女に頼んでお灸を据えるようにせにゃならん展開になるってんだよ。
今度こそオールシーズン使えそうな安物買って来い!




