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つかの間の出会いと現時点での限界まで突き詰めたCB ~筑波サーキット~

 律が光のトランポが駐車してある場所まで戻ると、綾華と光の姿があった。

 綾華は後部ドアが開いたトランポの荷室に腰掛けながら昼食を採っており、その横で光と見知らぬ者が2名ほど律のCB400SBを整備している様子があった。


 1名は赤ゼッケンを身につけており、A級のジムカーナライダーであることがわかる。


 CB400はエンジンが点火され、バイク用リアホイールスタンドがかけられたまま何やら試験走行のようなことをやっていた。


 サスペンションではなくエンジンの様子をみているらしいことがわかる。

 律がゆっくりと近づくとかすかだが光達の会話が聞こえた。


「悪いな。クイックシフターなんて持ってきてもらっちゃって。でもさっきのタイム考えたら、こいつでタイム伸ばすにはこれっきゃない。エンジン弄るほど時間もねえ。重量が重くなった分をパワーでカバーするならコイツを使うしか……」


「いいよー。光くんの店にはいつも世話になりっぱなしだしこれぐらいさー。往年の名車がジムカーナで暴れるNSRやVTRに一矢報いる姿を俺も見てみたいし」



 CB400に跨りながらギアチェンジを繰り返す光は、信じられないことになぜかクラッチを使っていなかった。


 しかしCB400はまるでそんなの問題ないように凄まじい勢いでギアチェンジを繰り返す。 


「感触は良さそうだ。これで105%切れるかどうか……」


 急造仕様とはいえ、ある程度満足いく仕事だったことを光は誇らしげな姿で主張する。

 それでも尚、105%に届くかどうか怪しいといった様子をみせていた。


「恐らくベストタイムは後1秒近くは更新されるはずさ。後2秒縮めないと厳しいだろうね。ところで、さっきから近くにきて大人しくしてる子が例の親戚のCBのオーナーさん? 音羽律くんでいいのかな?」


「えっ、あ、ハイ、そうです。……すみません。突然無言で近づいて……忙しそうに見えたものですから」


 先ほどまで無言でバイクの様子を見ていてようやく口を開いた壮年の男性に突然話しかけられ、律はやや挙動不審ながらもCB400のオーナーであることを認めた。


「おっと帰ってきたか。第一ヒートが終わったというからそろそろだとは思ってたが。紹介するよ。こっちのお前と同い年の人間が俺の茨城でのバイク仲間で清川きよかわっていうんだ。地元ライダーなんだがサーキット走ってて良く俺の店にも来る。」


 光は今の今まで律に気づかないほどCBに集中していたが、ゼッケンを身につけた者によって律が戻ってきたことを指摘されると、せかせかと周囲にいる者を紹介しはじめた。


 律はやや苦笑いを浮かべながら対応する。

 その顔は今日は殆ど集中しっきりで光の中で自分の存在が薄くなっていることを嘲笑していたのだった。


「今ではもうサーキット専用マシンになってしまったとはいえ、同じCB400乗りだ。どうぞよろしく」


 清川は右手を差し出し、律は握手を交わす。

 律はすぐさま真面目な態度に戻り、清川を名乗る男の顔をしっかりと見ながら手を握った。


「で、こっちがさっき走ってたA級ライダーの土屋つちやさん。インパルス400の元オーナーで、今は――」


「DR-Z400SMに乗ってる。私も結構いいタイムだったろう?」


 すると、光がややモタモタした話し方をしたためか、光に割ってはいるような形で律に対してその男は話かけてきた。


 律は記憶を掘り返す。

 競技中はヘルメットを被っていたため顔がわからなかったが、今日出場したA級ライダーでDR-Z400SMは1名のみ。


 その黄色いDR-Z400SMに乗っていた者と同じゼッケン番号とライディングスーツを纏っていた。


 彼のタイムは1分33秒883。

 トップより約1秒ほど遅いが大健闘の数字ではあった。

 現在のタイムでは総合3位の順位となっている。


「確か現在3位……の方でしたっけ?」


 律は3位だと聞いていたような気がしたが確信がもてなかったので恐る恐る伺う形で聞いてみた。

 その言葉に「褒めるなよ」とばかりに土屋はうれしそうな顔つきとなる。


「ははは。まだ暫定だから何とも言えないな。次が本番だからね。でもありがとう。――で、聞くところによると私のインパルス400に乗ったことがあるんだって? どうだった?」


「あ、はい。凄く乗り心地が良くて乗りやすくてとても楽しませてもらいました。お世辞でも冗談でもなく、スズキはもうああいうバイク出してくれないのかなって思うぐらいでしたよ」


 律の言葉に土屋は笑う。

 しかしその笑い方は律の吐いた言葉ではなく、律の話し方について何かおかしくて笑っているようだった。


「あっはっはっはっ。なんだこの一昔前のホンダ車を擬人化させたような子は。光オーナーとまるで性格が違う。とても同じ血が流れているような気がしないな」


「や、俺そんなに変な性格してないし……」


 土屋はCB400の車両の状態や光の親戚という事から、律はもっと「チーッス!」というような軽いノリで話しかけてくるようなイメージをもっていた。


 光自体はもう少々常識的で社会性があるものの、自身の店に入ってきた初見の客に対しても「こんちわー、今日はどういったご用件でー?」といったようなフランクなノリで話しかけてくる上、ネット上などを通して集まったマスツーリングなどでも全く物怖じせず顔も本名も知らない者にフランクに話しかけていくような男であり、


 そこから「CB400SBで河川敷のフラットダートなどを楽しむ人間」と光より聞いていた土屋が想像した律というのはそんな「チャーッス」みたいな感じで話しかけてきそうな人間だったのだ。


 しかし実際に現れた人間は彼からすると栄光のホンダ車のイメージと合致するような真面目で初対面にはやや控えめな人間。


 それはまるで光とは違う。


 土屋は律のその様子から「ロールキャベツ男子」とかいう、昨今よく言われる「一見すると草食系のようで、実は肉食系」というようなタイプの人間であると考えたが、それはまさに「かつてのホンダ」のようであり、あれこれ考えているうちに自然とツボにはまって笑えてきてしまっていたのだ。


 自身の予想が斜め上の方向に向かったこと、律があまりにも光と違いすぎたことがそうさせた。


「ぬはははは。ふぅ、コホン……あのインパルスはジムカーナのためにタイヤのトラクションを大幅に向上させるカスタムを施してる。それはタイヤであり、サスペンションであり、バネ下重量の軽量化であり……ともかく結構な額をかけて長年闘い続けてたがさすがにもうあまりにも厳しくなったしそろそろ限界にきてたんで乗り換えたんだ。まさか限界に近い状態で君のようなタイプの人が乗ってたとは思わなかった」


「もちろんマイルドに俺が直したんですよ。あのままじゃ挙動がピーキーすぎるし」


 すかさず光がツッコミを入れる。

 実は手放した当初のインパルス400は燃調なども弄った限界にまでパワーを搾り出すセッティングだった。


 それでも6年前ぐらいからインパルス400の戦闘力ではまるで足りなくなり、徐々に表彰台から遠のいてきていたばかりか、最近では110%をオーバーするような惨敗も珍しくなかったため、土屋は周囲の助言も受けてDR-Z400SMに乗り換えたのだった。


 手放したインパルスは土屋からしてもすでに限界だったが、光は応急修理と同時に純正に近い仕様にジャンクパーツなどで戻した上で律に引き渡していたのだった。


 結果、律はブランクなどが生ずることなくCB400を納車することが出来たのだった。


「そうだったのか……アレをわざわざ。まぁ納車までの代車とはいえ……律くんだったか? 君みたいな人が乗ってくれてあいつも大往生といったところだろう。さて、じゃあ私も第二ヒートに備えてセッティングをやらないとな。光オーナー、面白い子を紹介してくれてありがとう。律くん、今度またどこかでゆっくり話そうか!」


 土屋はあくまでA級ライダーであるため、まだ勝負の真っ最中。

 光の話に興味を示し、律を紹介してもらう算段でCB400の近くにいたわけではあったが、あくまで律を一目見ておきたいだけであった。


 時間が迫っているため、そのまま土屋はその場を離れる。


「相変わらず自分のペースで動く人だなぁ……言葉を挟む余地すらない」


 ワシャワシャと頭をかきむしりながら清川が愚痴る。

 清川からするとやや苦手なタイプな様子であった。


「えと……清川さんも以前はCB400でツーリングとかをやってたんですか?」


 律は初めて同じCB400乗りと出会ったことで、CBに対してどういうイメージを持っているか聞きたくなり、清川に話をふる。


「俺も律くんと一緒で最初のマシンがCBだったのさ。SFスーフォアの方をね。ツーリングだけでも2万kmは走ったな。でも今じゃそっちは大型に目覚めて1300に乗ってる。1300のスーフォアにね」


 清川大悟キヨカワ ダイゴ

 実は彼も筑波サーキットの常連。


 何気に律と同い年だが、律と異なり18で大型免許まで一気に取得、その上で最初のマシンがCB400SFだったのである。


 そのCB400SFにて筑波サーキットAランクのライセンスを獲得し、日々サーキットで走りこんでいる猛者であった。


 筑波サーキットの走行ライセンスは排気量などによって決まる。

 ファミリー用の簡易ライセンスとは別に本ライセンスがあるが、RとSがプロレーサー向けのライセンス。


 走行可能車種も各種大会規定に順ずるもの。


 他にA~Cまでがあるのだが、ABCは、Cが125~400ccで車検対応範囲、Bが250ccか550cc以上の競技車両を持ち込んだレーサーの卵向け(レギュレーション規定は特になし)Aが250cc以上の車検対応範囲ということで、CB400はCにもAにも参加できるが、清川はもっぱらAで活躍している。


 すべてのライセンスには走行基準タイムというものがあり、それを満たす数字を出せなければライセンスは付与されない。


 つまるところ、ライセンスが与えられるかどうかは「本当にそれだけのマシンと腕で走れるか」にかかっており、取得のためにはライセンス講習を受ける必要性がある。


 CB400は筑波サーキットではかなり早い部類の方で、ヘタに何も弄っていないミドル級SSを持ち込むと平然とブチ抜かれる。


 清川のCB400SFは今や完全にサーキット専用マシンとしてセッティングされたものであったものの、その戦闘力は非常に優秀でヘタな750cc未満のバイクより速いと周囲からも囁かれていた。


 そんな彼はひょんなことから光と知り合い加茂レーシング常連客となっていたのだが、光とも性格的波長が合うのか度々マスツーなども共に行っている仲であった。


 光は午前中の第一ヒートの様子を見た後、すぐさま彼の存在を思い出して連絡。

 すると清川は律のCBの戦闘力を引き上げるため、すぐさま駆けつけて快くパーツを貸与してくれた。


 その中にはホイールや光が所望したクイックシフターが含まれていたのだった。

 先ほどまで回転していた状態のホイールばかりに目が向いていた律はホイールが前後共に変わったことに未だに気づいていなかったが、なんとタイヤはダンロップのα14に変更されていた。


 律の所有するCB400SBのタイヤもダンロップのOEMタイヤではあったが、本気でサーキットに挑戦できるハイグリップタイヤになったのだ。


 これは清川がクイックシフターだけでは勝負にならないからと持ってきたサーキット用の予備のタイヤであり、ダンロップでこれ以外に勝負するというならα13SPという選択しかないというような高性能ハイグリップタイヤであった。


 他にこれと並ぶかそれ以上のタイヤというとピレリのロッソコルサと呼ばれるシリーズしかない。

 結果的に律のCBは現時点でタイヤは最強クラスのものとなった。


「聞いたところによると律くんはCBを持てましているんだって? わかるよその気持ち。所有者としてぶっちゃけるけど、こいつの燃費の悪さは凄いからね。だってさ、CB1300とこいつって殆ど燃費一緒なんだぜ?」


 律がやや控えめにCB400について伺い、次の言葉を待つ律の様子について、その理由を清川は事前に光より聞かされていたが、清川は特に律が抱えるCB400への不満や不足感といったものに否定的な見解はもっていなかった。


「そうなんですか?」


「うん。1300って400より3Lもタンク容量多いから普通にガス欠までの航続距離は400km超えるよ。CBは350km程度が限度だが、あっちは420kmぐらいじゃないかな。俺が1300に手を出したのって律くんとあんまり考え変わらないから」


 清川の「安心して」とばかりに言葉を選んで語る姿勢に律もホッと胸をなでおろす。


 律としては「はぁ? CB400は大型もブチ抜く最強マッスィーンなんだが!?」なんていわれるかと考えていたが、冷静に考えれば光の知り合いにそんな者などいるはずないので、マイナス思考に陥りすぎたと反省した。


 一方、そんな清川もまたCB400をツーリングではなくサーキット用として使うのには「サーキットで使う程度で十分というかそういうマシンであるから」という考えがある。


 清川がCB400をサーキット専用にしたのも、律と同じような状況に陥っていたからだった。

 軽くてやや小型の車格をもつCB400は、初心者が大型と遜色ない上で200kg台でそれなりに乗れる四気筒マシンとして選ぶなら確かに非常に優秀かもしれないが、


 燃料タンクの爆熱化と燃費の悪さは誤魔化せるものではなく、車重が70kg増えてもより安定的に乗れるCB1300SFに清川は乗り換えていたのだった。


 CB1300SF。

 現行車種はその凄まじい重さからGLシリーズなどを除くとトップクラスの重量をもつスポーツバイク。


 律の親戚の叔父である宗像の乗るCB1300STよりかは軽いものの、それでもネイキッドバイクとしては今や「重すぎる」と言われる270kg。


 だが、2018年モデルからスリッパークラッチなどが装備され、信じられないことにクラッチだけでいえばCB400よりも軽いタッチとなっている。


 これは現行モデルがない宗像のCB1300STとは異なる部分であり、フレームはさておき、各種装備だけはそれなりに近代化している。


 それは当初より同じエンジンをベースに作られて同じくスリッパークラッチを装備するCB1100でもそうであり、NC750シリーズもマイナーチェンジ後からクラッチがやわらかくなった影響でGLシリーズを除くとCB400シリーズが今一番クラッチが重かったりする。


 車体重量が重過ぎるせいでもてあますと言われる1100と1300の両者だが、乗り出してしまえば疲労感はCB400の方が強い。


 そのあたりは重量からくる安定性などが影響しているのだろう。

 短距離を攻めるという上でCB400は他にはない強さと魅力を秘める一方、現代的ツーリングニーズからはやや離れ、今やツーリングニーズ的には皮肉なことに上位車種である1300と1100の方が上回っていた。


 特に長距離ロングクルージングにおいて両者の能力は高かったのである。


「1300は重過ぎるかもしれないが……CB1100、たぶん律くんなら1100のが相性いいと思う。いつか乗る機会があったら乗ってみて。あいつはいい子だ。次に俺が乗るとしたら1100だな。1300を乗りつぶしたら次はそうしようと思ってる」


「あはは……大型も取得を考えているので、機会があったら乗ってみますね」


 律はすでにその心がオフローダーに傾きかけていたが、CB1100という名前を頭の中にインプットした。

 より多くのバイクに乗って体験してみたいと思う律にとって、今は車種名を聞いて頭の中に記憶するのは重要なこと。


 たとえそれがどう考えても200kgを軽くオーバーしそうな四気筒大型バイクと容易に想像がつくような状態であったとしても先入観で否定することなどない。


 二人がそうこう話していると光がコホンと咳払いをする。

 どうしても言っておきたい言葉がある様子を感じ取った律は会話を一旦切り上げた。


「――それよりもありがとうな。大悟。これで後はあそこでいつの間にか寝ている綾華次第になった。CBR250RRじゃこうはならなかったな。やっぱCB400の方がパーツは大量に溢れてんなあ」


 律が目を向けると、いつの間にか綾華は猫のように丸まってトランポの中で静かに寝息をたてていた。


 様々な精神的、肉体的な疲労によりそのようなことになってしまったのだろう。


 光はこの状況にCB400の強さと魅力いうのを改めてかみ締めている。


 400ccで最も売れたバイクというのは伊達ではなく、パーツ類は非常に豊富。

 それが今の状態を成立させている原動力となった。


 最後の手段として用意したCBR250RRについては、実はサーキッドなどでもそれなりに評判が良く、そういった系統のパーツも充実してきてはいたが、残念ながらジムカーナ系ではまるで振るわず、そっち系統のパーツが殆ど無かった。


 ただ単純にスプロケットでギア比を変更しても勝負できる世界ではない。

 光は綾華との相談の上で、もしCB400が駄目だったらCBR250RRで闘うことも視野に入れてはいたが、好意でパーツを提供してくれる者が相次いだ影響によって、CB400SBの方が高い戦闘力となっていた。


「まー土屋さんや光くんの話からすると厳しいみたいですけど、会場をかき乱す姿を待つとしましょう」


 清川は綾華の姿を見て、シーっと手で周囲に静まった方がいいと示唆しながら、メンバーの行く末を見守る立場をとるのだった。


 すでに会場ではC級の第二ヒートが開始されていた。


「んじゃ、もうしばらくしたら綾華を起こして第二ヒートだな。その後に練習走行会がある。良かったら二人ともこのCBで走ってみてよ。特に律、お前はこの状態のCBにも乗ってみるべきだ。絶対にな!」


 思いもよらない言葉が突然出てきたことに律は言葉が出なくなったが、今のCB400を乗りたいと思わないわけがなく、目が輝きはじめる。


(よくわかんないけどパワーアップしたらしいCBに乗れる? インパルスみたいにカスタムされたCBってどうなんだろう? サスペンションが気になる!)


「せっかく虎の子の予備タイヤを提供したんだし、乗せてもらおうか。律くんいいよね?」


「え、ええ、もちろんですとも!」


 妙なことを考えていると突如としてこちらを向いて清川が言葉を投げかけてきたのでドキッとした律は妙にドモった口調となったものの、律もこの状態で乗りたいがために同意する。


「むしろタイヤとか消耗品を提供してもらって恐縮です……こちらこそ、ありがたく少しだけその状態で乗らせていただければ……」


「そんな他人行儀にしなくていいんだけどなー。消耗品たって大した額でもないし、サーキットだとジムカーナとかと違ってすぐ消耗しちゃうし。練習走行分も消耗してないから気にしないで」


 清川は右手をブンブンと左右に振って律が縮こまっている様子から普段の状態とみられるところまで復帰させようとするが、律はビギナーで始めての経験から小さくなったままだった。


 その様子を見た清川もまた「本当に光くんと同じ血が流れているのか?」と疑問に思うほどであったが、律がこのような状態になっている最大の原因はCB400にあまり愛着がないという部分にあり、


 周囲が大切に接している一方、ここ最近の自分は非常に乱雑にフラットダートを攻めていたことを気にかけてのことだった。


 そうこうしているうちに時が過ぎ、B級の第二ヒートが開始されたのだった――

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