(4)
「昨日から親父とその息子が、近所の島へ出かけたきり戻らん。
転覆でもしたかと迎えに出ても、姿どころか船もあらん」
何の騒ぎかと海面から顔を出したカイルは、見た事のない老人に目を剥いた。
後から、網を解いたジェドとビクターも浮上すると、ジェドはゴーグルを上げ真っ先に声を上げる。
「おっさん誰だよ!?」
「はえ?…ああそう!
ちょうどその子みたいな見た目のチビなんだがな」
老人は彼を見て、行方不明になった親子の特徴を説明する。
波の揺れで、時に船内でバランスを崩していた。
不思議な格好をする老人をまじまじと見ていたビクターだが、レギュレーターを外して言う。
「じいさん上がれば?いいだろ?」
着水中の3人は、マージェスを見上げる。
彼は頷くと、下のフロアから入り口を出すと言った。
新船の改造は優れている。
元々2つのフロアがあり、出入口は1つだったが、海の出入りをしやすくする為、新たに船の側面に扉を作った。
その戸口の広さは、ジェットスキーも通過できる程だ。
「だが少々梯子をのぼらにゃならんがな。
引き上げてやるから、ちぃとあんたも力貸せ」
マージェスが老人に指示する中、グレンが早くも扉を開ける。
見事な船に、老人は声を上げずにはいられない。
「おい、もしや海賊か!?
わしをどうにかする気でいるんじゃないだろうな!?」
「まー、さっきまで困って行方不明者どうこう話してたくせに、そんな事言うの」
シェナが展望台でぼやくのを、端でレックスがふと笑いながら周辺を見るよう促す。
この位置は、皆の死角を補うポジション。
同じ箇所に目を取られてばかりではいけない。
開いた扉からは桟橋のような足場が伸び、そこにグレンが現れる。
潜水中の3人が老人のボートを引き、カイルがボートに上がると、縄梯子を登る補助に務めた。
ついでに後の2人もボートに乗り込み、重いウェイトとタンクを下ろす。
「おお!おお!何と!怪力ばかりじゃ!」
老人は登りながら口にするなり、転倒する。
グレンの引き上げる力と、後方から押し上げるカイルの力がずれてしまった。
その光景が面白く、周りはつい笑ってしまう。
老人はそのままグレンに導かれた。
次に、乗っていたボートを引き上げる為、マージェスが真上から2本のロープを下ろす。
ボートの両端に固定しろと指示され、ジェドとビクターが手早く応じる。
明日は 一時 場面変更。風景にご注目。
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代表作 第2弾(Vol.1/前編)
大海の冒険者~人魚の伝説~
8月上旬完結予定
後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって
シリーズ完全閉幕します




