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「青くないよ?

火の色だから、オレンジ色よ?フィオ」



「そう?……そうねぇ、今はそう。

でも、さっき見えなかった?」



「いいや?」



「見えないわよ」




どうしてだろう。

だがあまり、深く考えない事にした。

何故ならこの世界には、不思議な事もあるのだから。

そういった体験を、自分達はしたのだから。






 「まあいいわ!で、ジェドの任務って何?」




フィオの質問に、シェナが両膝を抱えて小さくなる姿勢のまま、ビクターに釘付けになる。




「酒。持ってくる」



「「うっそーーーーーーーー!」」



「ほらな。欲しがるだろう?」




ビクターは今朝のジェドの発言を思い出しながら、シェナに言ってやる。

彼女は大きく頷いた。




「でもお酒って、あたし達まだ飲んじゃいけないって言ってなかった?」



「何で飲んじゃいけないのかしら?」



「別に飲んでもいいさ。

俺達だってカイル達と同じ人間だし」



「ああ!あたし達にあげる程、無いからよ!

独り占めだわ!」



「そう言えばジュースみたいに綺麗な色をしてた。

私達が好きなやつなんじゃないかしら」



「それを確かめる為に、あいつが持ってくる」



「「どうやって?貰えないでしょ?」」



「誰が真っ直ぐ貰うなんて考えるか。横取りだ」




ビクターはそう言うと、少々焦げ始めたコダラの角度を変え、派手に突き立て直して悪戯な笑みを浮かべた。

悪戯の歴史は彼が長い。

また新たな悪知恵をジェドに植えつけたか。











 そこは集まりの際に使いやすい広い建屋で、元々散らかっていた机や椅子と思われる物を改造し、再利用している。

火はどこも絶やさず、ここでも煌々と室内を暖かく照らしていた。




 香る食事の匂いは大抵似たようなものだが、今は判別できない香りも漂っている。

果物だろうか。

そんな事を予測しながら、ジェドはベンチが囲う大テーブルの下に潜んでいた。




「あらあの子どこ行ったの?」



「さっきまでそこで本を読んでたけど。

浜じゃないかしら」




話しているのは長老の世話係を務めるアリーと、グレンの奥さんだ。






 存在を認識させておいてからの、いなくなった事を装う流れは順調だ。

さてここから、テーブルに置かれていくグラスを取るのか、死角になる蒸留装置がある場所まで接近するのか。

大人の動きで判断していく。









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


8月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




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