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「ハハハハハッ、あ、苦しっ……ってか! ってかさぁ、何でキリオ君も撮影することになったん?」

 笑い過ぎで横隔膜が引き攣れて痛い明崎は、意地悪く質問をぶつける。もうここまで来たら、どういう経緯でこうなったのかは予想がつく。

「……鳥潟の生着替え写真と引き換えに」

「ひゃはーっ、ざまぁ! 欲に目が眩んだな馬鹿め」

 ドンピシャ過ぎてギャグでしかない。ネタでしかない。

 ほら、笠原もながのんもちょっと引いとる。

「笠原のこともそん時一緒にOKしたんやろ?」

「え? それ僕じゃないよ」

「へ?」

 何・です・と?

「じゃあ誰よ?」

「池上」

 会長っ!?

「うそやん!」

「笠原君絡みなら僕じゃなくても、池上に言った方が早いもんねぇ……あぁ、パンツ……」

 霧ヶ原は遠い目をしながらも律儀に答えてくれる……いや、現実から目を背けたいだけなのかもしれないが。

 ……せやった。会長おったやん。あー、クッソやられた。何なんホンマ。何故気づかんかったし。

「――お疲れ様です!」

 その時、誰かが声を上げた。

 それに続くようにあちこちで「お疲れ様です!」と声が上がる。長野も同様に、サッと姿勢を正して出入り口を向いた。

「お疲れ様です」

「あぁ、ちゃんと逃げずに来たんだ」

「うげ……」

 奏女王がお目見えしました……。

 奏が登場しただけで、一気に張り詰める空気。皆が皆、居ずまいを正して女王の動きに注目している。

 学校の制服に身を包んだ、しかも少女めいた華奢な外見にも関わらず立ち昇る……圧倒的な存在感というか、威圧感。ここでも女王のカリスマ性とデンジャラス性は際限なく発揮されている訳だ。

「いいよ、続けて」

 奏から発せられた声は決して大きく無かった。

 しかし。次の瞬間には、一斉に皆が動きを再開した。

 まるで、停止した映像の再生ボタンを押したように、瞬く間にさっきの騒がしさが復活した。心なしか、皆仕事に熱が入った感じもしなくもない。

 すっげぇ……


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