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 ……ここまでの一部始終を見ることになった友人二人は、再び顔を合わせることになる。それから、心なしか緊張した面持ちになった笠原に声をかけた。

「すっごい仲良くなってんね」

 笠原は顔を上げて、話を振ったクラスメイトを見る。

「あの、明崎とさ」

「……正直、どうして明崎とここまで仲良くなれたのか不思議でならない」

「あー、だって世話好きだしなぁ。寮も一緒だろ?」

「あぁ」

「あいつほっといても喋ってるからなぁ。毎日うるさいっしょ?」

「だははっ」

 思い当たる節があり、笑い出した友人二人に釣られる形で笠原も笑みを浮かべる。

「話は聞いていて楽しいし、飽きないな」

 そう答えた笠原に、笑っていた二人は「おっと?」と視線を交わす。

「まーなぁ。確かに面白いけど」

「いっそ付き合っちゃう? お二人」

「付き合う?」

 可笑しくなって、笠原は笑った。久々に、こうして他人と話すことが楽しいと思う。

「明崎だったら優しいしな。そういやあいつ誰かいたっけ?」

「いないだろ? だいぶ前に別れたし」

「あー、そうね」

「あの人モテるのか」

「「超モテモテよ」」

「た〜だいま〜」

 そうこう話しているうちに、明崎が帰ってきた。

「今何の話〜?」

「ん〜? お前の悪口〜」

「やだーやめてぇ〜、笠原君に変なこと吹き込まんといて〜」

 席に着いた明崎は、ごく自然に会話の輪へ戻る。笠原の中でまだ残っていた緊張が、今度こそするりと解けて消えた。

 やっぱり、明崎がいた方が落ち着くのだ。そうして笠原は、自分が彼をどれだけ信頼しているのか気づく。

「せっかく仲良うなれたのに。なぁ?」

 明崎が小首を傾げて聞いてきた。

 ちゃんと全部知った上で、友人として接してくれる。

 そのことに何とも言えない嬉しさが込み上げてくるのを覚え、笠原ははにかんだ笑顔でそっと明崎を見返した。長年に渡り強張っていた心は安心感に包み込まれ、いつしか優しくほぐされていた。

 ……完全に明崎に懐いている。

 そして友人二人は、今の笠原にぴったりな言葉を同時に思い浮かべていた。

 ……正直初めのツンツンっぷりが印象に強くて、ちょっと唖然としているものの。しかしまぁ、取っつきやすい方へ変わってくれたのだから、悪いことじゃない。けど、思うにこれは……

 もしかしてこの二人付き合うんじゃないだろうか。

 友人二人は、遠からずそんな予感がしたのであった。

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