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『うわっ、何ガキ拉致ってんのお前ら!』
『馬鹿、デカい声出すな! ドア閉めろ』
運転席の男に急かされて、車に乗り込む。
よくつるむ三人の仲間と……意識を失っている笠原が見えた。
『このガキなんなの?』
『セカンドチャイルドだよ……』
『はぁっ? セカンドチャイルドってこの前言ってたヤツ? マジでいたの!?』
『へへっ……すげーだろ』
『車乗せたらいきなり水ぶつけてきやがって……お陰で反対側のヘコミすげぇんだぜ?』
『おいおい! んなヤツここに乗せんなよ!!』
『いや、それがさ。こういうの研究する連中と連絡取れて、明日の朝引き渡すことになった』
『……金になったりする訳?』
『かなりの額だぜ』
『マジで? 何かすげぇ話になって来たな。で、どこ行くんだよ』
『K‐02区の倉庫に行く』
『へっ!? あそこ目の前海だろ、大丈夫かよ』
『恐怖心でも何でも与えて、とにかく集中させなきゃやられねぇっつー話だったぜ。それに、むしろその辺のデータを取りたいだの言っててよ。多少の暴力も有り。生きてりゃそれでいいってさ』
『うわひでぇー。ホントに物扱いだな』
『高津が犯るつもりなんだと。ほら、そのガキ顔綺麗だろ』
『あぁ〜。まぁ確かに。……けど調子こいて噛まれんなよ』
『集中させなきゃいいんだろ? 何回でも殴ってやるさ』
視界が動いて焦点が車のモニターに合わされる。
十九時〇七分。おおよそ三、四十分前の記憶だ――
「―――!」
次の瞬間、霧ヶ原は自分の意識に戻っていた。
「キリオ君、今の……」
「……あ……あぁ、うん」
明崎の呆然とした声が聞こえた。彼にも見えたのだろう。
さっき見た、あの目まぐるしく変わる光景の数々。その中に、男たちの遣り取りがあった。
まるで未来予知のように――
分からないことが多すぎた。
「――居場所、分かった」
けれど今は、そんなことを気にする暇なんてない。手掛かりが見つかったなら、動かねば。
「海のそばの倉庫だ。K‐02区に行こう」




