表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/197

3


「……え?」

 今、何て。

「ちょ、先生! 待っ――」

『ピーッ』

「…………………」

 霧ヶ原は無言でスマホを耳から降ろした。

「……え、何? どしたん?」

 突然会話の途中で電話を切った霧ヶ原に声を掛けた。何か様子がおかしい。

 すると――

「……ふざっけんなぁああ!!」

 霧ヶ原は絶叫してダンッとアスファルトを強く蹴った。唐突にブチ切れた霧ヶ原に明崎は口をぽかんと開け、その光景を唖然と見る――んな場合ちゃう!

「待って待って! 何なん、何言われたん」

「あいつ紛らわしい留守電設定するとか何なの! 死ぬの!? 死にたいのか!? クソまじ腹立つ!」

 うわー伊里塚君……! 大体の事情を察した明崎も思わず苦い顔になる。

 そらキレるわ。しかも何で繋がらへんの。

「……先生にも望みナシか」

 平淡な反応をした須藤は自分のスマホを取り出して、どこかへ電話を掛けた。

「2‐Aの須藤ですが、伊里塚先生いますか? ……あー、分かりました。失礼します――学校にもいねぇ」

 霧ヶ原は急に黙り込んだ。

 明崎が恐る恐る顔を覗き込むと、……霧ヶ原は顔面蒼白になっていた。

「こうしてる間にも、何かあったらどうしよう。笠原君意識無いし、無事で済むはずがないよ。あんな……」

 酷く取り乱している。無理もなかった。この只ならぬ不安な状況の中で、唯一手掛かりになる彼の追体験が、肝心な時に発動しないのだ。

 普段は勝手に発動して「知りたくもないことを見ちゃうから困るよ」と苦笑いをしているくらいなのに、さぞかし歯痒いだろう。

 悔しいのも分かる。……けど。

「キリオ君……それは言わんとこ。不安しか煽らんで」

 明崎だって同じことを思っている。今だって身を焦がすような焦燥感に襲われているのだ。

 霧ヶ原は再び口を噤んでしまった。

 その横で須藤が「須藤です、笠原誘拐されました。至急連絡下さい」と言って電話を切った。

 伊里塚の留守電にメッセージを入れたらしい。

「……くそ、何か方法ねぇのかよ」

「使えへんかな……」

 明崎はスマホを取り出して操作する。

 ネットで検索して、まず携帯会社のホームページを見た。

 すると、GPSのサービスページを見つけた。

「……うわぁああIDとパスワード!」

 どうやらこちらのブラウザからでも操作は可能らしい。

 ただしIDとパスワード認証必須。絶望的である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ