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「爬虫類とか魚が嫌いならしゃあないけど、けどな! 趣味の悪い刺青よりかはずっとええって! あー……分かった! 俺が半裸で街歩いたろ!」

「はっ!?」

「好きな奴は絶対好きやねん! 蛇革とかワニ革のバッグあるやろ? あれが売れるなら鱗が受け入れられないはずが無い! 個性的なモンこそファッション野郎には好かれるんや! 笠原さん、行くで!」

 あーうん、もう自分でも何言うてるかさっぱり分からんけどまぁええわ! 何とかなる!

 本当に行く気で立ち上がった明崎を、笠原が慌てて引っ張り戻す。

「いや待て! しなくていい!」

「何でよ? 水差すなや笠原さん、俺ホンマに行くで!」

「アンタが晒さなくていい!」

 尚も立ち上がろうとする明崎を笠原は必死で押さえる。明崎は暴走モードに入っていた。

「晒す? ちゃうやん、見せびらかすんやで!」

「何でもいいから! とにかく行くな!」

 その後同じような押し問答を繰り広げていると、「うるせぇよお前ら〜」とぼやきながら須藤が二階から降りてきた。

 眠たげに背中をボリボリ掻いていたが、立ち上がろうとする明崎にかじりつく笠原を見て、ぎょっとした顔をする。

「……何してんだ」

「おう須藤! 半裸で街練り歩こうや!」

「あっ?」

「すっ……須藤、さん! こいつを止めてくれ!」



 程なく、須藤が間に入ったことで明崎は正気に戻った。

「お前キモい。笠原困ってたじゃねぇか」

「んなこと言っても……」

「どんな言い訳してもただの露出狂だからな。で、背中がどうした?」

 須藤は明崎に冷たい視線を浴びせながら聞く。

「それやねん。よう見ときや、この――」

「脱ぐなぁあああっ」

「ぅおあっ」

 明崎がTシャツを脱ごうとした瞬間、笠原が絶叫と共に襲い掛かってきた。明崎はソファーに押し倒され、笠原に死に物狂いで押さえ込まれる。

「……へぇー、ふぅーん」

 今度は特に驚いた様子も無く、須藤が納得したように頷く。そしてにやっと笑った。

「何の能力を持ってるか分かったんだな」

「な……え」

 笠原の動きが止まる。

「せやねん。つか君いつ帰ってきてん。さっき凄かってんからな」

「柳田んトコにさっきまでいたんだよ」

「あーさいですか。そーでしたか」

 この非常時に……柳田バカめ。ホンマに他人事やな。


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