表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/197

須藤が協力してくれない


 ――先程から一線どころか、三線も四線も引かれている気がする。やたら警戒心が強いが一体なんなのだ。もしかして初めから関わるつもりがないという、笠原の意思表示なのだろうか。

 これから二年も一緒なのに? ……うわ、絶対嫌や。

「ぅおーい、すーとーうっ」

 ということで明崎は二階に上がり、ある部屋のドアに声をかけた。

 たっぷり十秒近く間が空いた後、ドアがゆっくりと開き、一人の男子が眠たそうな顔で出てきた。

「……何だ」

「何だちゃうし。今帰ってきたん?」

「あー……まぁ」

 須藤なる男子は頭をバリバリ掻きながら、くぁっと欠伸をした。スポーツ刈りに精悍な顔つきをした背の高い男子。入学した時からこの家で一緒に過ごしていて、一番付き合いの長い友人である。

「で?」

「転校生来てん」

「……へぇ」

「何やねんその反応。驚くとかせぇよ」

「は? 興味ねぇし。つか用ってそんだけ? 帰れよ、寝るから」

「いやいやいや、閉めやんといて! ちょっと待てやーい」

 閉められていくドアの隙間に、明崎は咄嗟に足を滑り込ませる。

 ――一拍遅れて「ガッ」と鈍い音がした。

「〜〜っ、……その転校生、笠原言うんやけど」

「え、おまっ……気持ち悪っ」

 容赦無く足が潰されたことも、愕然とした須藤から放たれた一言(ひでぇ)も無視し、とりあえず笠原の言葉遣いや態度を、容姿について話した。

「めっちゃ警戒されとんねん。つーか……俺と元から関わるつもり無いって感じ?」

「放っとけよそんなの」

「嫌やってそんなん。これから二年やで? 考えられへん」

「知らねぇ~」

「ほんだら君教えたるわ?」

「いらん。帰れ」

 須藤は真剣に話を聞いていなかった。一切タッチするつもりは無いらしく、その証拠に半ば本気で明崎を廊下へ押し出そうとしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ