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私、どのゲームの悪役令嬢なの?  作者: うっちー(羽智 遊紀)
気付けば時間が経過していました

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新たな特産品に出会う希

「そ、そんな事――」


「『そんな事はない』と言いたいのかい? 君がこの1年で行った事を考えてみると良いよ。侯爵領の生産高を2割引き上げ、それまでの小麦だけだった畑を落花生と薔薇に転作し、そして薔薇で外貨を、落花生を使った困窮食とスイーツを開発した。特に困窮食は栄養価もあり保存期間も長い。これは画期的な事なんだよ」


 希の驚愕している表情を見ながらレオンハルトが楽しそうな顔になる。さらには王都で余っていた侯爵家の屋敷を改造した、薔薇風呂や薬草風呂を中心とした女性貴族向けのリゾートスパにおいては、半年先まで予約で埋まっており、そこで販売される化粧水や香水なども入荷するそばから品切れとなっていた。


「僕には縁の無いリゾートスパだけど、お母様ですら中々予約が取れないと嘆いていたよ」


「王族の方々であっても、優遇をしないと決めたのは私です」


「正解だね。王妃であるお母様でも無理なのに、無理強いしての予約は出来ないだろうからね」


 リゾートスパをオープンするにあたって、希の提案でプレオープンと称して王妃を始めとする王族、侯爵家など高級貴族と呼ばれている家へ招待状を送っていた。対象は女性と子供のみであり期間は1ヶ月近くであった。その期間は自由に滞在して良いとの優遇処置に高級貴族の面目は保たれ、また先行して利用したステータスもあり、その後に通知された「予約は均等に扱う」との内容も問題なく受け入れられていた。


 そして、その一連の流れを作り、まとめ上げたのはユーファネート・ライネワルトだとの噂が流れ、そしてライネワルト侯爵家の国力が増えつつある原動力も、今まで悪評高かったユーファネートであると知れ渡っていた。そしてレオンハルト・ライナルト第一王子との婚約が発表される。


「僕との婚約が早くて良かったよ。もう少し遅ければ君の元に縁談が殺到しただろうからね。そうそう。君のお父様が『うちの可愛いユーファが優秀なんだよねー。え? 聞きたい?』との感じで、周りの貴族や商人達に、君の武勇伝を話しているそうだよ」


「お父様……。あれほど内密にと言っていたのに」


 レオンハルトがくすくすと笑いながら伝えてくる内容に、希は真っ赤になって父であるアルベリヒの行動に頭を痛ませる。親バカどころか、バカ親以外の何物でもなく、妻のマルグレートとの間ではユーファネートの成果をあまり公表しないとも決まっていたはずであった。


「お母様に報告しないと。本当にお父様は……」


 げんなりとした表情で呟いている希を見ながら、レオンハルトは楽しそうに紅茶を飲むのだった。


◇□◇□◇□


「それで僕の話も聞いてくれるかな?」


「もちろんですわ! 殿下とのお話なら3日くらいは徹夜しても大丈夫ですわ!」


「いや。そこまで話す内容はないかな」


 話を聞いて欲しいとのレオンハルトに、希が満面の笑みを浮かべて答える。さすがに徹夜までして話す気はないとの回答に、残念そうな表情を浮かべている希だったが、会えない間に色々とあったレオンハルトのを聞くのは物凄く楽しいようであった。


「まあ、同じ国なのに、そこまで気候が違うのですね」


「ああ、実に新鮮な経験だったよ。王都とライネワルト領は近い気候だけど、あちらは雨も多くて色々な植物が生えていたんだ。そうだ。これは君へのお土産だよ」


 レオンハルトは近くにいたメイドに鞄を持ってくるように命じる。そして鞄を受け取ると、その中から革袋を取り出すと机の上に置いた。かなり固いものが中に入っているらしく、希が興味を示していると中身を見せてくれた。


「ほら、こんな木の実を見た事があるかい? 落花生に比べると物凄く殻が固いから食用にするには、一苦労が必要だけどね」


「え? マカダミアナッツ?」


 レオンハルトに手渡された木の実はかなり固い殻に包まれていた。希は殻付きのマカダミアナッツを見た事があり、まさにそのままであった。何とか殻を破壊して中身を取り出そうとしたが、あまりの硬さに悪戦苦闘していると、レオンハルトが口元で何かを呟いた。


「『我に力を授けよ。この風は目の前の敵を砕く』ほら、どうぞユーファ。それにしてもマカダミアナッツまで知っているなんて、本当にユーファは博識だね」


「ありがとうございます。わあ、本当にマカダミアナッツだ。懐かしい」


「懐かしい?」


 レオンハルトから受け取った希が嬉しそうに手の上に置かれたマカダミアナッツを眺めていた。そんな希のつぶやきに一瞬眉を寄せたレオンハルトだったが、聞き違いだと思い、残りの殻も砕き始める。


「美味しいです。ありがとうございます! レオン様!」


 一口食べて嬉しそうに感謝を伝えてくる希に、レオンハルトも嬉しそうにすると自分も一緒に食べ始める。口の中に広がるクリーミーさと軽い食感に目を細める。そんな表情を希は嬉しそうに眺めながら、レオンハルトに話し掛けた。


「レオン様。こちらのマカダミアナッツですが、輸入することは可能なのですか?」


「ん? 出来ると思うよ。食用として量産している物ではないから、僕が頼めば喜んで送ってくれると思うよ。これがそんなに欲しいの?」


「ええ! マカダミアナッツは美容に物凄く効果的なのですわ!」


 レオンハルトの問い掛けに希は大きく頷きながら、マカダミアナッツを栽培するために、以前に落花生を爆発的に増やしたマジックアイテム「腐葉土」の収集をギュンターに頼もうと決めるのだった。

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