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騎士団の訓練

生徒会室で雑用をしていたら3年のライオス・ブートガンから声をかけられた。


「エルシーは騎士団とかには興味はないか?」


ライオスは赤い顔をしている。

私と話す事に緊張しているんだろう。


「騎士団ですか?そこまで興味がある訳ではないですが、どんな訓練をしているのかは興味がありますね」


食い気味に話すライオス。


「それなら、今度の休みに騎士団の練習を見に行かないか?父が騎士団長をやっているから見学ができるんだ!」


「今度の休みですね。それなら婚約者のアイヴィーと一緒に伺いますわ」


ガックリと肩を落とすライオス。

婚約者がいるのに他の男性と二人で出歩ける訳がないじゃない。

この人は馬鹿認定だわ。



アイヴィーに騎士団の見学をしたら、面白そうとの返事をもらった。

騎士団の実力を見たいらしい。

次の休みの日にアイヴィーと2人で騎士団の訓練場に出かけた。

ライオス・ブートガンが出迎えてくれる。

私とアイヴィーの姿を見て少し驚いている。

二人共、訓練ができる服装をしていたからだ。


「もしかして訓練に参加するつもりかい?」


ライオス・ブートガンが確かめてくる。

私は笑顔で返した。


「せっかくなのでそのつもりですよ」


「止めておいたほうが良いと思うけど…」


「安心してください。体力と剣にはそこそこ自信がありますから」


訓練場には騎士団長のザイザル・ブートガンがいた。

早速挨拶をする。


「エルシー・ブランバルとアイヴィー・ブランバルです。よろしければ本日は騎士団の訓練に参加させてください」


騎士団長のザイザルは困ったような顔をする。


「騎士団の訓練は実戦形式だから厳しいぞ。怪我しても良いなら参加してみてくれ」


「わかりました。よろしくお願いします」


早速、私とアイヴィーは騎士団の集団に合流する。

騎士団のメンバーからは奇異な目で見られている。


「整列!」


騎士団長のザイザルが号令をかける。

私とアイヴィーは一番後ろに並んだ。


「今日はブランバル伯爵家から二人、騎士団の訓練に参加する。特に手心を加える必要はない。普通に扱え。以上だ。それではまずは訓練場を20周してこい!」


その声に走り始める騎士団。特に並んで走る訳では無いようだ。

自分のペースで走るみたい。

ダンジョン周回と比べると歩いているみたいだ。

アイヴィーと無理ない程度の速度で走り出すと先頭に立ってしまった。

そのままペースを崩さず走り続ける。

気がつくと騎士団のメンバーを次々と周囲遅れにしていく。

最後の1周になった時、アイヴィーが声をかけてくる。


「よし、エルシー!ラスト1周は競争だぞ!」


スピードを急に上げるアイヴィー。

汚い!

私も負けずに後を追うが全然追いつかない。

大差をつけられて負けてしまった。


「アイヴィー!汚いわよ!」


「エルシー、そういうのは負け惜しみっていうんだよ。また今度勝負してやるから、それまで鍛えておくんだな」


ランニングを見ていた騎士団長のザイザルが近寄ってきた。


「君たちは凄い体力だな。どこでそんな体力を付けたんだ?」


「ダンジョン周回ですかね。騎士団ではダンジョンには行かないのですか?」


「一応、ダンジョン活動はしているよ。6階層から8階層でオークを相手にしている」


「一応、私たちはAランク冒険者ですから」


「Aランク冒険者と言っても魔法だけが強いと思っていたよ。基礎体力も化け物なんだな」


女性として化け物は褒め言葉ではないな。

ちょっと悲しい。

少しずつ騎士団のメンバーが訓練場の20周をクリアしていく。

騎士団長の怒声が響く。


「お前らお客さんのブランバル伯爵家の二人に負けて恥ずかしくないのか!そんな事では国防を任せられないぞ!さっさと模擬戦の用意をしないか!」


模擬戦は勝ち抜き戦形式で行うそうだ。

勝ち続けた場合、10人倒すと交代だそうだ

早速私が立候補する。

どよめく騎士団メンバー。

舐められていると思ったようだ。

実際舐めているけどね。


威勢の良い声を上げながら剣を振り上げてくる男性。

あっさりとカウンターで頭に木剣を叩きつける。

10人抜いたところでアイヴィーと交代する。

アイヴィーもあっさりと10人抜きをする。

全然、鍛錬にならない。

私とアイヴィーは騎士団の実力の確認が終わったので帰宅した。

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