生徒会
二学年に上がり生徒会に入る事になった。
今年の生徒会メンバーは、
生徒会長(3年)マリウス・ロード
副会長(3年)ライオス・ブートガン
副会長(2年)エルシー・ブランバル
経理(2年) フラウ・サライドール
総務(1年)サマリー・エバンビーク
書記(1年)ガラン・キッシュ
である。
生徒会長は三年生のマリウス・ロード。
第二王子だ。
次の王を王太子のパウエル・ロードではなくマリウスを推す勢力がある。
マリウスは国が揺らぐ元凶になりかねない人である。
三年生の副会長はライオス・ブートガン。
ブートガン伯爵家の長男である。
ブートガン伯爵家は武系の家で今の王国騎士団長はライオスの父親だ。
ライオスも剣術は成績が良いらしい。
2年の副会長は私である。
生徒会に入った実感がまだない。
もう一人の2年生の生徒会員は経理のフラウ・サライドールだ。
サライドール公爵家にも何回か遊びに言っている。
もう親友と言っても良い関係になっていると思う。
総務の1年生のサマリー・エバンビークはエバンビーク侯爵家の長女で、姉の嫁いだ家の娘だ。
くりくりとした目が愛らしい少女。
今のところ私に敵対的な目は見せていない。
書記の1年生のガラン・キッシュは私を目の敵にしているパウロ・キッシュの弟だ。
どうやらキッシュ侯爵家の後継ぎ問題が生じているみたい。
キッシュ家は魔法の大家で、キッシュ侯爵が今の宮廷魔導師長である。
パウロは魔法が少し苦手みたいだけど。
このままこの生徒会で活動していたら、周囲から王位継承の派閥は第二王子のマリウス派と思われるのだろうな。
今日は生徒会室で生徒会メンバーで初の会合が行われた。
生徒会長のマリウス・ロードが挨拶をする。
「生徒会長に選ばれたマリウス・ロードだ。このメンバーで1年間活動していく事になる。皆んなで頑張っていこう」
マリウスは兄であるパウエルとは違う金髪。
野心的な顔をしている。
第一印象は【腹黒】である。
王太子である兄のパウエルは第二夫人の息子だ。
次男のマリウスは第一夫人の正妻の息子である。
第一夫人の正妻はサライドール公爵家、第二夫人はエバンビーク侯爵家だ。
どう考えても揉めるに決まっている。
現在は王太子のパウエル陣営が優勢らしい。
そんな事を考えていたら3年の副会長のライオス・ブートガンと目が合った。
顔を赤くして目を逸らすライオス。
なんてわかりやすい人なんだろう。
この人は私に惚れている。
筋肉に生きているような身体付きは私の好みではない。
顔も全てパーツが濃い。
武骨な印象の男性だ。
第一印象は【筋肉馬鹿】である。
やっぱり男性はアイヴィーのように細身で鍛えている身体が素敵だ。
自己紹介が始まった。
副会長のライオス・ブートガンが立ち上がる。
「3年のライオス・ブートガンだ。俺はこの国の武力を上げていきたいと思っている。その為には剣術の授業をより力を入れる方策を考えている。1年間よろしく」
次が私の番か。
席を立ち上がり軽く会釈する。
「2年のエルシー・ブランバルです。今年から生徒会に入る事になりました。生徒会では新人ですのでよろしくお願いします」
何とか無難に終わらせて着席した。
次にフラウが立ち上がり会釈する。
「2年のフラウ・サライドールです。生徒会長のマリウス様とは従兄妹の関係になりますね。身内ですがマリウス様のお尻を叩いて仕事をこなしてもらう予定です。それでは1年間よろしくお願いします」
次にサマリー・エバンビークの自己紹介だ。
「1年のサマリー・エバンビークです。ロード王国高等学校の生徒会に在籍できる栄誉に恥じない仕事をしていこうと思います。よろしくお願いします」
エバンビーク侯爵家はアイヴィーと敵対する可能性が高い。
この子はどうなるのだろう。
何とか籠絡できないかしら。
私はサマリーのくりくりした目で愛らしい顔を見つめていた。
最後にガラン・キッシュが自己紹介を始める。
「1年のガラン・キッシュです。僕はこの国の魔法のレベルを上げたいと思っております。その為に魔法実技の授業がより効率的になるような提案を学校にしていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします」
ガランはヒョロヒョロした身体付きだ。
剣術の成績は悪そうだ。
これで入学試験で2位なのだから魔法のレベルが高いのだろうな。
さすがキッシュ侯爵家だ。
生徒会の集まりは自己紹介と年間行事の確認で終わった。
帰宅の馬車の中で生徒会で新しく知り合いになったメンバーについて考える。
生徒会長のマリウスは王位継承を争う一方の雄だ。
王位継承に負けても、一定の権力は持つに違いない。
懇意になっておくべきだろう。
ライオス・ブートガンの父親は騎士団長だ。
ライオスも騎士団に入ると思われるため、こちらも押さえておく必要があるかな。
気は進まないけど…。
サマリー・エバンビークかぁ。
ソフィア姉さんの夫の妹。
一応は親戚になるのか。
愛らしい女の子だったわ。
なるべく敵対はしたくないと思う。
ガラン・キッシュのお父様は宮廷魔導師長。戦争になれば魔法団の団長として参戦する事になるのだろう。
ガランと誼を通じておく事は無駄にならないと思う。
まだ始まったばかりだ。
ゆっくりと友誼を深めていけば良いわね。





