いとも簡単に行われるえげつない行為
呼吸の仕方を忘れてしまったら、それはとても苦しいものだと、思う。
だが、人は当たり前のように呼吸し、大気を取り込み、そのありがたみを時に忘れる。
だからこそ、それが叶わなくなった場合、その苦しさに悶え、苦しむ。
しかし、何も恐れることはない、人は呼吸するようにできているのだから。
「ふぅ……」
大きなため息とともに、俺は呼吸できる喜びに穏やかな笑顔を浮かべる。
魔物と勘違いして襲ってしまったのはエルフの少女だった。
なかなかに手強い魔物で、魔法を操るからフィールドボスかとも思ったがそうでなかったらしい。
よく見ればどこか見覚えがある。
「あ、あなたという人は…………」
ウィンミント・ショートフォイルだ。
何故か、こんなところに転がっておられる。
「ふむ。お帰りになられるならご自由にと言った記憶はある」
「だ、だましたのですね……」
俺はどこまでも穏やかな声でささやく。
「それは失礼な。危害を加えないとまでは言っていない」
「「うわぁ」」
チュートリアとマノアの声がハモっていた。
俺は確かにこの少女に告げたのだ。
お帰りになるなら、ご自由に、と。
あとはこの少女が何かを言ってはいたが俺は聞き流していた。
むしろ、今までゲームキャラクターの声に耳を傾けたことなど、あっただろうか。
最近、忙しく、少し焦ってもいたので幾ばくかの休息を取るために午前を費やした。
早めの昼食を取り、ゆっくりと英気を養い、そして、俺は再び活力を得たのだ。
そうして、狩りにでかけて、目に映った獲物を狩った。
うむ、何も問題はないぞ。
地面に這い蹲り、息も絶え絶えなエルフの少女は顔を赤くして俺を睨む。
「戦女神のレジアンっ!卑怯にも程があるとは思わないのですかっ!」
「卑怯?何がだろうか。俺は狩りにでかけ、狩り場で魔物を狩ろうとしていたら、たまたま、そう、たまたま相手が君であった訳で、君が攻撃をしてきたから反撃したまで」
そう、たまたま俺が魔物と思っていたのがこのエルフの少女だったにすぎない。
「詭弁を……」
「詭弁とはなんだろうか。エルフ語は理解できませんなあ」
力なく意識を失うウィンミント・ショートフォイルを担ぎあげ、どこまでも爽やかな笑顔で自宅に戻るとポーションを投げつけ、再び外に出る。
外ではどこか信じられない物を見たような表情をする一同がおり、俺は彼女らに告げる。
「何を驚いているのだね?」
「いや、うん、まさしく外道の極みだと思ったまでッス」
「マスターの笑顔が、最高に輝いてらっしゃる……」
「これは……流石に……」
「ろーたー、いいえがお!」
彼女らの反応にも穏やかな俺の心は反応しない。
久しぶりの、そう、本当に久しぶりに狩りに俺の心はとてつもなく澄み切っている。
家から少し離れたあたりの魔物を狩りながら、静かに心を落ち着かせているとやがて家の扉が開く様子が伺えた。
「おや扉が開いた。何かが出て行った気がする。魔物かもしれない。せっかくできた家を壊されてはかなわない。駆逐せな」
俺はどこまでも爽やかな笑顔で森を駆け抜け、その白い影に迫るとチェーンソードを振るう。
「ひぃぃあああっ!」
――背後からの『バックアタック』補正の乗った『スラッシュ』からの連撃。
そこから襟首を掴んでの『びたんスラスト』。
起き上がる前に『アンクルスネア』で機動力を奪って、逃げようとする獲物に容赦なく連撃を加える。
悲鳴を上げ、ろくな反応もできずに滅多に切られて倒れ伏したエルフに俺は驚く。
「おや、何故こんなところに……」
「い、いくさめがみの……れ、れじあん……」
「いけないなぁ魔物を狩っている最中に横切るなんて。ああ、思わず斬り伏せてしもーたがな」
俺は再びエルフの少女を家の中に放り込むとポーションを投げつける。
そうして、家の前に立ち、機関砲に持ち替えるとしばしそこで笑顔のまま待機する。
――一度、キリングで気絶状態に持ち込まれるとMPも枯渇してしまう。
自然回復には時間がかかるのだ。
おおむね3分くらい待つと、ドアが勢いよく開き、エルフの少女が飛び出してきて俺を見るや杖を振るう。
「あ――ファイアーボ」
少女の声を容赦なく機関砲が遮る。
――『フレンジショット』発動後の『スプレッドショット』おなじみの『ブッパ』。
発動待機時間の短い、後衛火力としての特徴は呪文の詠唱より速い火力の構築。
凶悪な炸裂音を吐き散らす機関砲が容赦なく弾丸を吐き散らし、エルフの少女を硝煙の渦に包みこむ。
悲鳴すら飲み込む容赦ない発砲音が嵐となって、それが過ぎ去る頃には俺の家の入り口の前で倒れているウィンミント・ショートフォイル嬢がいるではありませんか。
「あ、あなたと……いう、ひ、とは……」
「ふむ、ドアが気にくわないから壊そうと思ったんだが。偶然って怖いね」
「偶然……あなたは、これを偶然と言いますか……くふぅ……」
「そう。俺が聞こえたのは間違いが無ければ呪文の詠唱だったはずだ。まさか、君は俺に魔法を放とうとしていたのではないかね?まあ、それも、多分、偶然だろう?なら、俺が偶然銃口をドアに向けていてもおかしくはねえよな?それが出待ちになっていたってそれは偶然って奴さ。ドアを開ける時はノックしような?でねえとぶっ殺されンぜー」
哀れ、偶然にも轢き殺されてしまったウィンミント・ショートフォイル嬢にポーションを投げつけ、俺は静かに機関砲の手入れを始める。
銃口から煙る硝煙の臭いに、一抹のわびしさを覚え、俺は物憂げな顔をするが、どこか乾いた顔の少女達がぼそりと呟く。
「……師匠のイリア……師匠が今、心底恐ろしいッス」
「噂には聞いてましたが……ええ、恐ろしいです」
何か恐ろしい物でも見るように俺を見つめてくる二人に、俺はどこまでも心穏やかな笑顔で告げてやる。
「君たちは何を怖がっているんだね?――今日という一日は、長いんだ。ゆっくりと、楽しもうじゃないか」
◇◆◇◆◇◆
ウィンミント・ショートフォイルが地面を舐めるのはこれで幾度めだろうか。
数えることを諦め、そして、そもそも数えることをしていなかった。
俺は呼吸するように目に付いたら殺し、家の中に運び、ポーションを投げつける。
そして、何度も立ち去ろうとするが、悲しいかな。
――そこは俺の狩り場だったりする。
「ふむ。たまたまって怖いね。また殺しちゃったよ」
「たまたま……たまたまなので……しょうか……」
「一億回やっても起きないことってはじめの一回で起こるっていうからぬ。こんだけ殺されるのもたまたまって奴だ」
俺はそう断言しても一度エルフの少女を家の中に放り投げると一緒にポーションも放る。
日が傾き、もうぞろ夜になろうとしている。
マノアとチュートリアは最早、物言わぬ人形と成り果て、彼女の親友だったココ・ナ・ツパレットは涙も枯れて静かに祈りはじめた。
流石にテンガも恐ろしさを感じ姿を見せなくなり、俺はただただ静かに満足感を覚え、充実した今日という日の残滓を貪っていた。
――MPの自然回復を待たず、のろのろと家を出てきたウィンミントが這いずるように逃げる。
俺は静かにその背中を見送り、ラビラッツのカルパス肉を頬張るとウィンミントを逃げるままにしておく。
さて、次はどんな言葉をかけてやろうか?
振り向いたウィンミントが俺を見て、どこか怯えたような瞳で尋ねる。
「……こ、殺さないのですか?」
「全力で反撃してきたこともありましたぬう。そこはそれ、正々堂々とした勝負でありますからわたくしめも応じた訳でございますがー、ですがー、逃げる相手まで殺してしまっては卑怯でしょう?そこはそれ、正々堂々と戦いますですよはーい」
静かにもたげてくる暗い感情をそれでも、と静かに抑え俺は紳士として振る舞う。
のろのろと立ち去っていくウィンミントを見送り、俺はその姿が消えると笑顔になってソードを手に取る。
――流石に見かねたのか少女らが叫ぶ。
「やめて下さい師匠っ!これ以上は!これ以上は!とても見てられないッス!」
「マスターごめんなさいっ!私が悪いんです!言わなかった私が!どんな理由であっても私が悪いんですっ!夕日が赤いのも、世界が悪いのも、リンゴが木から落ちるのも私が悪いんです!だからもう許して!許してあげて下さいぃぃっ!」
「お願いだレジアン!もう、ウィンミントをっ!ウィンミントをそのままにしてやってくれ!二度と、そう、二度と奴はお前に敵対することはないだろうっ!親友なのだっ!幼い時からの親友なのだっ!我が儘で高飛車で……だけど、部族の為に必死になる優しい奴なのだっ!」
俺はその悲痛な声を聞き届けた後に、静かにバケツを頭に被り、バイザーを降ろすとくぐもった声で少女らに告げる。
「……ごめん、バケツかぶってよく聞こえなかった」
「「うわぁああ……ああっ!ああぁぁん!」」
絶叫して泣き出す少女らは何に絶望したのだろうか。
よく、理解できませんなぁ?
廃人は一日一杯狩りにでかけるものでございまして、廃人たる自分は例に漏れずこれから狩りにでかけるだけだというのに。
そして、たまたま出会っちゃうであろうウィンミント・ショートフォイルというエルフも多分、殴れるからモンスターの一種だと思って殴り倒すだけだというのに。
「ん、そろそろ暗くなってきたなー、バケツって視界悪いから……おっと、これはさっき使ったな。よし、暗くて目が見えなかったということで、うん、なんだかよく見えないしなー」
「「逃げてー!エルフ逃げてー!聞こえてたら逃げてー!!」」
――全裸のバケツマスクがエルフの少女をチェーンソードでぶった斬る。
「いやあ、風呂に入る前に汗をかこうと思って」
――全力で謝るエルフの少女を容赦なく叩き伏せる。
「何で謝ってるのー?よくわからんから殺したったわー」
――発狂して襲いかかってくるエルフの少女を迎撃して叩き殺す。
「手を出してきたんだから、殺されても文句言えませんなぁ」
――無抵抗を決め込むエルフを轢き殺す。
「あらー、ウィンミントちゃんこんなところで死に散らかしてどうしちゃったのー?」
――うつろになった瞳でゾンビのようにふらふらしているエルフが魔物に見えて。
「車道に飛び出すとキチガイに轢かれるんだぞ?歩道歩け歩道」
――うずくまって部屋の中から出て来なくなったエルフも叩き殺してみたり。
「デイリーで艦隊のアイドル那珂ちゃんを解体しようとしたら間違えた。不幸だわ」
――ぶっ壊れた笑顔で森をスキップするエルフを挽き潰す。
「故意の2-4-11♪」
――変装して逃げようとするエルフがいつの間にか。
「正々堂々すぎて自分が輝いて見える。変身中には攻撃しなかった」
――夜の闇に紛れて逃げようとして死に散らかし。
「俺じゃねえって。サブ島沖のフラッグシップ潜水艦だって。アレは運ゲーだから仕方ないよ」
――ちょっと家の入り口にお茶目なコンボトラップを仕掛けてみたり。
「犯人はヤス」
――ゾンビのように無抵抗で歩き出すもんだから何度もひき殺し。
「はい、あと20回~。あれ?俺、数え間違えてたっけ?」
――もはや完全に諦めたエルフをそれでも叩き。
「ウィンミントちゃんがやる気をなくしたんで那珂ちゃんのファンやめます」
特に理由の無いファン離れが那珂を襲い、そして、深夜になって俺は寝ることにしたのですよ。
◇◆◇◆◇◆
ウィンミント・ショートフォイルは薄暗い部屋の中でようやく、そう、ようやく幾ばくかの時を解放される喜びに胸が震えた。
執拗に、という言葉では表せない。
病的という表現すら超越し、その先にある領域で殺され続け、戦女神のレジアンというものの一端を見た気がした。
怒りがすぼみ、溢れた恐怖が枯渇し、乾いた心を丁寧に削られ、そして開いた穴を食い破る。
そうしてすり切れて何も無くなり、だが、それでも決して諦めることなく蹂躙を繰り返す戦女神のレジアンの所業にウィンミントは長になる前の無力な少女であった自分へと立ち戻っていた。
元より、口数は少なかった。
部族の中でも一人で居ることが多かった。
夜の沈黙の中、膝を抱えてぼうっとしていることが好きだった。
部族の長として幼い頃から森を駆け回るココに獲物を獲る方法を教わるのが、とても新鮮に思えて。
だけど、自分という存在はただ自然のあり方に長い時間をかけて思いを馳せるのが好きだったと思い出す。
――運命の悪戯が彼女を長へと導き、彼女は肩を張り、つま先で立つことを覚えた。
「……また地雷がレアひきよったでー……地雷センサーさん仕事しすぎやでー……」
寝言を言って寝返りをうつ戦女神のレジアンに唯一許された思考するという自由を中断させられ、身が竦む。
叩きつけられた恐怖が最早、抗う気力すらそぎ落とし、その所作一つ一つに怯えるようになってしまった。
――この悪夢が早く終わればいい。
そう願わずには居られない。
だが、確信している。
この悪夢は続く。
ココがレジアンに組みした理由を理解する。
――戦というのは、こういうものだと。
相手に恐怖を植えつけ、滅ぼし、完全に叩き潰して勝利とすること。
同じ力を持つ者のみが認め合った時のみ、力は均衡し、弱ければ淘汰される。
弱き者が抗う気勢を見せれば、それは、駆逐される。
強き者とて万能ではない。
だからこそ、弱かろうが油断することはなく。
――自分が取った振る舞いが、どれほど思慮に欠けていたことか思い知る。
戦場に立つ者が呼吸するように覚えた当たり前の摂理を、分け隔てなく与えて回る。
かつて、大きな混乱が世界を支配した時に現れた力在る混沌。
――それらを駆逐した伝説があった。
レジスに導かれたイリア達の伝説。
いくつもの伝説の中、大きな混沌を世から払った伝説達がある。
――それらの伝説の中に散見される戦女神コーデリア
果たしてレジアンというのがそれらを導いたレジスだというのであれば。
伝説を相手に自分は部族の長である虚栄心を満たすために軽率な行動をとってしまったと激しく後悔する。
ドアが開く音がする。
何故、レジアンの眠りを妨げるようなことをするのか激しく憎悪する。
そして、その憎悪を覚えた自分を嫌悪する。
――人は強い者に抗わず、弱い者に敵意を向ける。
そんな自らの醜悪な部分を目の当たりにし、弱っていたウィンミントはさらに自責の念にかられる。
「……ウィンミント様」
現れたのは戦女神のイリアだった。
イリアステラの祝福を受け、世の理から解放され、かつて、レジスに導かれた者達。
今はニ・ヴァルースの世界に降り立つレジアン達を導く責を持つイリアは強大な力を持つと聞く。
だが、その少女は見たところ、少し腕の立つ少女であった。
竜神ユグドラのレジアンとイリアの話を少しだけ、聞いたことがある。
伝説の通り比類無き力を持つイリアと、人の身にありながら竜を屠るレジアン。
それらから比べれば、戦女神のイリアはどこまでも人間らしく見えた。
「……あなたは」
「静かに。マスターが寝ている今がチャンスです。安全なところまで送ります」
――自らが仕えるべき主人の蛮行に、良心が耐えられなかったのであろう。
「……逃げましょう?ここに居てはダメです」
救いの手をさしのべられることがこれほどに、嬉しいものかと思う。
抗いきれない濁流に溺れ、何もわからなくなった暗闇の中で誰かが手をさしのべてくれる。
それだけで――
零れそうになる嗚咽を飲み込み、はらはらと零れる涙をそのままにイリアの手を取る。
そうして、潜った扉から見た景色はどこか違う景色に見えた。
静謐な夜の闇がどこか輝いて見えた。
「……イリア、こっちッスよ!」
――戦女神のレジアンに師事した少女だ。
ウィンミントは理解する。
人の良心というのは死ぬことはない。
かつて、人間という種がエルフに行った非道を伝え聞くままに誤解していた。
耐えきれぬ悪行を前に、人も、エルフも痛みは等しく同じ。
「もう見てらんねーッス、見つからないうちに遠くへ逃げるッス」
「ネル……マスターが来たら」
「わかってるッス。適当に誤魔化すッス」
同じ痛みを覚えられるなら、きっと、わかりあえる。
戦女神のイリアに手を引かれ、夜の森を駆け抜ける。
その先に、居た小さな影に、また、涙と声が零れた。
「ココっ!」
「……何も言うな」
親友は静かに首を振り、何も言わずに自分を包み込んでくれる。
――夜の静けさに怯え、泣いた自分を励ましてくれたあの日のままに。
「わたし……わだし……えぐ……あぁぁ……」
「逃げるんだ、今は。嵐もそのうち晴れよう。明けない夜は無い」
不覚にも胸が震えた。
もう一度、もう一度、自分はエルフの長として導こう。
誤ることなく、物事を見据えていこう。
――励ましてくれる友、種族を超えて痛みを分かつ人、そして、愛を教えてくれたイリアのためにも。
この道を抜ければ、また、朝日を見ることができる。
永遠に変わらないようで、その光は見る度に姿を変え。
再び地平に蘇る、あの朝日を見る為に手を伸ばす――
「こっちだ!こっちに逃げるんだ!キチガイの元から逃げなあかんで!みんなが君を逃がそうとしてくれている!その気持ちを無駄にしたらあかんで!」
――背筋が、凍る。
「感動的なお話やわぁ」
皆の顔が一様に絶望に染まり、その視線の先に立つ男に注がれる。
その男はどこか感極まった表情で目の端をぬぐっているが涙など決して流してはいない。
「マ、マス……」
「あ、これは……その……」
その男を前にして、震いあがった心が萎縮する。
「可哀想なエルフちゃんをキチガイの元から逃がそうとする心意気に俺も感動したわー。もう寝つけねーわー、というか、最初から寝てねーけど」
残虐な笑みを浮かべ、剣を手にしたそれはどんな悪鬼よりも恐ろしく――
「よくやったチュートリア。マノア、そして――エキノコックス?やっぱ無抵抗叩いても面白くもなんともねーわーなー……希望を与えて、叩き落とす。俺のやりたいことを的確にやってくれるようになったじゃねーかw」
そんなことは、無い。
それらの真偽が見分けられないほど、ウィンミントは愚かではない。
――だが、目の前のこれはそれすらも利用する。
「マスター!ち、違います!私はマスターの蛮行を……」
「ウィンミントは親友だっ!お前を認めることと、これは別だ!私は真に……」
「言い訳乙。君たち凄いわー。エルフちゃんの心折るためにそこまでやる?フッツー」
ほんのわずかに残った心が完全に折れた。
――何度も聞いた唸る機械の音に絶望を覚え、ウィンミントはそれを見上げる。
戦女神のレジアンはどこまでも凄惨な笑みで、ウィンミントに告げた。
「寝ると思った?寝ると思った?残念でしたーw――スイッチの入ったキチガイは不眠不休で1ヶ月は働くで?」
スラング解説
・那珂ちゃんのファンやめます・故意の2-4-11
ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』出展。
川内型軽巡洋艦『那珂』は同ゲームにおいて図鑑ナンバー48であることからAKB48と『那珂』→センターをかけあわせて「艦隊のアイドル」というキャラ付けをされている。
沢山の資材をつぎ込んで作ろうとした戦艦レシピ等を回している際に、「艦隊のアイドル那珂ちゃんだよ~」と目的外の物が現れる喪失感と、テンションの高いキャラクターからユーザーのヘイトが溜まり、『解体のアイドル』と揶揄される。
故意の2-4-11とは同ゲームユーザーが作った那珂のイメージソング『恋の2-4-11』のもじりであり、『スキ(2文字)ダイスキ(4文字)セカイイチアナタガスキ(11文字)』であり、決して、そう、決して那珂ちゃんを解体した時に得られる燃料2弾丸4鋼鉄11のことでは、無い。
サブ島沖フラッグシップ潜水艦
同『艦隊これくしょん』エリアマップ5-3の最初の分岐点で遭遇する潜水艦のこと。
同マップはほとんどのマップがクリティカル率の上昇する夜戦となること、ダメージを蓄積させた状態で進撃すると味方が轟沈してしまう可能性があること、そして、高レベルの潜水艦はたとえレベルカンストの味方であってもクリティカルで大ダメージを与えてくることから、同マップ攻略には『運』が必要であると言わしめている。(投稿日現在)
・地雷・地雷センサー
地雷とはネットゲーム全般で臨時に組んだPT等で達する目的をよく把握していなかったり、必要とされる条件を満たしていなかったり等の要因で目的達成の難易度を引き上げ、ストレスを与えるプレイヤーを指す。
地雷センサーとは目的を達した後、獲得できるアイテム等で目的の物を地雷プレイヤーが獲得してしまう現象を『物欲センサー』の対義として用いるスラングである。




