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廃神様と女神様Lv1  作者: 井口亮
第一部『導入編』
47/296

騎3マ1僧1 ◇32 

 訓練所では不満たらったらな騎士達がそれでも一応の整列を持って俺を出迎えた。

 三十人弱は居る騎士達はどれも装備とレベルばっかしは高そうではあるがなんというか精神的なタフさだとか勝つことへの執着というものが見られない。

 俺は大きく溜息をつくとダラダラと騎士達の前に立つと全員を見渡した。


 「さて、約束通りオーベン城要塞の攻略は俺が指揮を執る。副団長が了承したことだし、副団長との決闘にも勝った。卑怯だへったくれだのは聞いた。でも勝ちは勝ち。ぶっちゃけ俺はお前らみたいな雑魚っぱちどもなんか居なくても便座の蓋くらいは閉めにいけるんだけどマーシーちゃんの頼みだし、どうしても?しょうがないから?お前達みたいなカスパッパを引き連れて便所まで行ってあげるよ面倒くせえなーもー」


 あちらこちらでブッチブチと青筋がぶち切れる音が聞こえる。


 「――お前のような悪党が何をほざくかっ!」

 「――今ここで貴様の首をはね飛ばしてやるっ!」

 「――魔物を放置するより貴様を放置するほうが問題だっ!死ねっ!死んでしまえっ!」


 本当に煽り耐性ゼロな方々ですおすし。

 俺はショットガンを上空に向かって撃ち、盛大な炸裂音で威嚇して黙らせると告げる。


 「――ぎゃーぎゃー喚くだけか?ksg。喚く暇あんならさっさと便所の蓋くらい閉じてこいよ?それができねえから今俺がここに居るんだろ。やることもやれない口だけ一丁前の思春期のガキの出来損ないどもがいきがってんじゃねえよ。結果出してから物を言え結果出してから。結果も出せねえのにあれが嫌だコレが嫌だなんざガキのわがままと一緒じゃねーか。お国から給料貰ってんだろ?自分ら今どんなザマよ。こんだけ雁首揃えて仕事もできねえようじゃ俺のような悪党以下の給料泥棒のコソ泥野郎じゃねえか」


 辛辣な罵倒に黙りこくる騎士達の一人を顎で示して告げる。


 「おい、そこの生意気そうな髭野郎」

 「――っ!」

 「紀伊店のかコラ。悪党放置する方が問題なんだろ?ホレ、ここに並んでる給料泥棒の悪党どもの首全部切っていいぞ。今は俺が指揮官だ。全部責任負ってやっからヤレよ。なんだ?息巻いてたけど、やっぱり怖くてできましぇーんってか?悪党だぞ悪党。ほら、一杯。こんなに並んでる。俺はお前が怒ってるようだからやってもいいぞって追認してやってんだぜ?チャンスやでーチョビ髭ちゃん。お前の正義見したれや!ひゅープロフテリア騎士団カッコイー♪」


 一斉に黙りこくり下を向く騎士達。

 いつまでも結果を出せないでいることに自覚はあるとか設定細けえよな。

 まあ、煽りがいはあるんだけど。


 「――雑魚が。勝てない騎士なんざ矢を防げない紙の盾と一緒だ。神様の国の騎士だとかいうくっだらない誇りも紙みたいな薄っぺらい信仰心と一緒。丁度いい。オベン城行くからくっさい糞拭いたあと流して捨ててこいや」


 もう彼等のプライドぼーろぼろ。

 俺の心温まるハートフルボッコメロディでみんな今にも泣きそうです。

 やだあ、俺、ここまで感動されちゃうともうちょっと頑張ってみたくなるじゃない。


 「お仕事もできない半人前さん達に割と忙しめな俺がてめえらに仕事教えてやんよ。ありがたく思えよ?てめえらの垂れ流した糞を処理するために一緒にオベン城まで行ってやんだから」

 「っく……うぅ……ひっ……うぅぅっ………」


 うわあ、大の大人がガチで泣き出しましたよ。

 泣くくらいならいっしょうけんめーがんばればいいのに。

 ちょっとドン引きです。


 「ちょ、ロクロータさんロクロータさん、あんまし死体撃ちしちゃうとこの子達自分たちで勝手に死に散らかすわよ?装甲硬くてもすんごいメンタル弱そうだし」


 あまりにも華麗なハートフルボッコメロディにキクさんがもうやめてコール。

 一緒に行くなんて言うもんだから、赤い竜を探しに行かせたのだけどいつの間にか戻ってきたみたい。


 「ちょっとー、キクさん今いいところやんー?人をさんざっぱら小馬鹿にしたNPC共を精神的にいちびり抜いてるところだからもそっとやらせて。お願い、マジでお願い。さきっちょ、さきっちょだけでいいから」

 「ずっぷり刺さってメインクエここで終了ー。ロクロータさんの冒険はここで終わった。つか、あんたマジでクエスト詰むからやめなさいって」


 キクさんに言われて俺はメインクエストの存在を思い出す。

 そういやこいつらを連れてオベン城攻略せないかんのだ。


 「おっと、いっけねえ、思わず全員フルボッコにしちまうところだった。お前らキクさんに感謝しとけよ!お前らのメンタル救ってくれたのこのゲリベニストオブキク穴ディルドリアンさんやで?ちゃんとフルネームにさんつけて呼べよ?おっかねえんだぞ?なにせ女子力ゼロやからなっ!」

 「何お前いきなり人に矛先向けてん?可愛そうな人たちにあたしまで混ぜんなや。つかあたしの方が思いっきりバカにされてんじゃねーか!」


 おもいっきしハタかれた。

 俺がいつまでも遊んでると思ってらっしゃるのかキクさんがちゃっちゃと仕切りはじめる。


 「んなことよりあんたさっさと編成しちゃいなさいよ。タダでさえ時間押してるんだから。これに傭兵混ぜるんでしょ?扱いとしては大規模?それとも中規模?それで私の方でも用意するもの変わってくるんですけど」

 「50人規模だから大規模っちゃ大規模になるんだろ?無限沸きのモブとの戦いになるからどうなんだろうな。戦力ゲージ戦やる形になるんだろうか」


 俺はこの会社のゲームで保有している色々な形態の大規模戦闘を思い出しながらどうしたものか考える。

 それぞれのルールにはそれぞれのセオリーがあるから一緒くたにはできないのだ。


 ――それでもまあ、余裕といえば余裕なのだが。


 俺が考え込んでいると遅れてマーシーが訓練所にやってきた。

 泣いている騎士達に驚きながらも俺におずおずと手に抱えた天秤を差し出す。


 「ロクロータ様……でよろしいのでしょうか?オーベン城要塞攻略に先立ちましてお渡ししておくものが……」


 瀟洒な金の意匠が凝らされたぴっかぴかの天秤。

 淡く輝く燐光が訳のわからない文字を帯のようにして輪を作り、ぐるぐると天秤の周りを回っている。


 「なんだか、大事な物っぽいオーラは出てるけど一体これを俺にどうしろと?」

 「――『リブラの天球』と呼ばれる物で、レジアンに賜れる『アーティファクト』となります」

 「あーてぃふぁく党?それどこの政党?」

 「今流行のアーティストと違うん?私最近の歌手とか全然知らないから無理」


 自分で振っておいて何だが随分とバカ丸出しですお互いに。

 マーシーちゃんがどこか困ったような笑みを浮かべて説明してくれる。


 「……神々の使者であるレジアンにはそれぞれ『宝珠』が下賜されていると思います。その宝珠の封印された力を解放する物だと聞いております」

 「何それ、俺にチートくれんの?チートくれんの?」

 「マジマジマジマジですかー!」


 何かチートアイテムっぽいノリktkr。

 ゲームのバランスとかバランスとかバランスをぶっ壊せる日がやってきたのかもしれない。

 俺は早速その天秤を受け取ると色々弄ってみる。


 「おい、キクちゃんこれビームどこから撃つん?俺ビーム撃ちたい!運営のゲロビームktkr!」

 「それ金増えるんだよきっと!ここにお金を載せて……あっれー?増えない、あっれー?」


 本当に僕たちバカ丸出しです。

 俺たちががちゃがちゃと天秤を弄っている間に天秤が光を発してばらばらに砕け散る。

 砕け散った天秤はそれぞれの部品が光の粒子となって手の中の宝珠へと吸い込まれていった。


 『――※※※※が『リブラの天秤』を獲得。『大規模戦闘』のイベントが解放されました』


 それは俺の耳にもはっきり聞こえた。


 「わーるどちゃっと?」

 「……だぬ。ひょっとして、これ、『フラグアイテム』なのか?」


 『フラグアイテム』とはファミルラの頃に存在した一部イベントを解放するためのアイテムだ。

 限界突破クエストの実装や、一部制限クエストを実装させるには一定のクエストをゲーム内プレイヤーがクリアしなければならなかった。

 そして獲得できるアイテム『フラグアイテム』でもってフラグをクリアしていく。

 その難易度たるや相当の物で俺も他の廃人達と混ざってクリアした経験がある。

 今のワールドチャットが正しいなら、この『リブラの天秤』というのは『大規模戦闘』を行うシステムの実装がされたということになる。


 ――つまり、大規模戦闘のシステムを利用したクエストが解放されるということだ。


 「私の知る限りではリブラの天秤は戦場における士気や戦意といったものを帯のような光で知ることができると聞いております」

 「……光の帯?なんだろう。ロクロータわかる?」


 キクさんは今ひとつ理解が及ばないようだが俺はそれだけ聞いてティンときたね。

 俺は顎をさすりながら面白くなってきたと一人ほくそ笑む。


 「……ああ、わかったぜ。全部、わかった。そいつぁ『戦力ゲージ』だ」


 俺はどこまでも楽しげに笑い、告げてやった。


 ――ファミルラ以外の俺をキクはあまり知らない。


 キクは俺を『強いPKプレイヤー』として認識しているようだが、プレイヤーキリングがしたいプレイヤー、とりわけ『勝ち』に行きたいプレイヤー達が行き着くゲームというのも存在する。

 俺の中でパチパチと今の状況から勝利への道筋が音を立てて作られていく。

 そして、それができあがった時、一種の高揚を覚えて俺は告げる。

 なるほど、だから、戦女神のレジアンのクエストなのか。


 「――任せろ。大規模戦闘は俺の独壇場だ」


  ◇◆◇◆◇◆


騎士団の執務室で各パーティ――小隊の編成を構成し直す。

 騎士中心――ナイト中心で編成された構成はこいつら壁でも作るのかというくらいに意味が不明である。

 俺は机上に置かれた光板――タブレットをスライドして配置を決めていく。


 「騎士3人に対し、魔法使い、そして僧職を混ぜるのですか」

 マーシーがその配置に眉を潜める。

 隣で見ていたキクさんが解説してくれる。


 「基本的なパーティ構成よ?ナイト系がこれでも多すぎるくらい。どんだけ盾職あぶれてんのーってくらいでわ?」

 「ですが、それは冒険者単位の活動を考慮した配置です。我が国の兵法――これはかつて我が国に現れた勇者が騎士達を率いて国を守った戦法が元となるのですが、騎士達で壁を作り押し返すという戦法が元となっております」


 俺はちらりと横目でマーシーを一瞥すると眉を潜める。


 「そりゃ防衛戦の時はこれでもいい。無限沸きするモブを押し返すにもまあ、ある程度は有効な戦術ではある。だが、基本はどこまでも洗練された戦術だからこそ、どんな局面にも強い。基本を知らないままこんな腐れた特化応用使ってんじゃねえよ」


 ガチタンを並べる戦術というのも存在することは、存在する。

 だが、その特化した特性というのはその特性が求められる局面があるからこそハマれば強いのであって、基本を知らなければ意味がない。


 「特化思想というのはその特化した特性でもって応対できない状況にも柔軟に対応していかなければいけない発想力が必要となってくる。個人であればそれもいいが、集団というものを動かす場合、その意識の浸透を図らないといけねえんだよ。ぶっちゃけ、そこまでのことをしている現実的な意識の醸成が難しいんだ」


 俺はそう断じてぱっぱと編成を組み直していく。

 マーシーは食い入るように俺の編成を見つめて学ぶ。

 それらの用いる兵装についても俺は基本通りのアセンブル――構成をしてやると備考欄のそれぞれの特性を眺める。


 「まんま、『傭兵システム』の編成ね」


 キクが言うとおり、これは俺が知るファミルラの『傭兵システム』の編成である。

 大規模戦クエストで参加プレイヤー人数が少ない場合、NPCである傭兵を雇って数あわせをする。

 数というものがそのまま力になる集団戦闘で不確定要素となる『プレイヤーの参入数』というファクターは勝敗に大きな影響を与える。

 それらの不確定要素をなくすために多くの大規模大戦ゲームではNPCが参入しその『数合わせ』をしてその状況的不利を緩和する。

 しかし、あくまでも緩和である。


 「ご丁寧に『特性』と『構成』までまるパクリですよ。新しい物作る気ねえのか開発」


 特性と構成とはより自分たち好みに『数あわせのNPC』を弄れるシステムである。

 舞台となる戦場はその時々で状況と色を変える。

 それらに臨むにあたって通り一辺倒の反応を返す数合わせのNPCは文字通りただの『数合わせ』にしか過ぎない。

 プレイヤーが操作するキャラクター達が状況に合わせて適宜判断し戦況を動かすのに応じれない。


 ――ファミルラはそこをIRIA積載NPCで補い大ヒットした。


 それまでのMMORPGのいいところだけではなく、大規模戦闘で人間のような反応をしてくれるNPCの登場でいつでも、どこでも緊迫した戦いができるようになった。

 それは敗因を『状況』を言い訳にするプレイヤー達を封殺し、純粋に楽しむことができるコンテンツを作り出す。

 質の高いMMORPGと対人要素を備えたファミルラは確かに熱中できるネットゲームだったのだ。

 その最大の特徴が『特性』と『構成』。

 戦場に参戦する傭兵には実際の人間と同じように得意とする局面と装備を変更できる仕様が加えられ、様々な戦術や状況に応じて適宜応対してくれる。


 ――だが、それは一つの煩雑な作業を生み出す。


 「『傭兵テンプレ』作ってないから、しちめんどくさいわね」


 ――傭兵テンプレとは戦場に合わせた傭兵の構成のパターンである。


 ファミルラの時は大規模戦闘の実装からしばらくして、サンプリングされた傭兵の戦場ごとの構成から、テンプレ構成が選べる仕様となっており、また、『指揮官』枠での参入プレイヤーがその特性と構成を設定した『テンプレート』を作っておくことができる。

 ファミルラの時は『ゼノリバ防衛テンプレ』とか『城登りテンプレ』とか色々と作って使ってもらったもんだよ。


 「おそらく、これがあるだろうと思ったよ。意外に時間かかるんだよなコレ。まあ、簡単な殲滅戦テンプレ作れば多分、『剣』防衛もできるから大丈夫だと思うんだが」

 「『剣』?あの、ロクロータ様は『アターシャの剣』のことをご存じなのですか?」


 マーシーが俺の言った『剣』という単語に反応する。

 俺は面倒くさそうに視線だけで一瞥すると頷く。


 「知ってるよ。『アターシャの剣』、通称『剣』。戦場となるエリアに設置できるオブジェクトでその周辺のエリアを自軍の影響下に置き情報が得られるレーダー塔のようなモンだ。だけど、本当の使い方はその『剣』を立てることで自軍の『エリア』を増やすことで相手の戦力ゲージに時間経過と共にダメージを与えていくんだ」


 俺はよやっと組み終わった構成をテンプレ保管して保存しておくと、大きく息を吐いて続けた。


 「ファンタジーアースゼロのオベリスクのような運用をする物だよ。大規模戦闘というのは片方の軍勢が50人と決められれば、勝敗の優劣というのは基本、その50人の質をどれだけ高められるかというところに尽きてしまう。そうなればただ強い人間を頭数揃えた方が勝つという至ってシンプルな構造ができあがってしまう」

 「……そのために、魔王となってしまったアターシャは自らの知恵の剣を人々に与え、戦う力とした」

 「それ設定な。本質はレベリングにそれほど時間は割けない人の救済措置と、戦術という要素を戦場に加味してやることで駆け引きを増やし、より大規模戦闘を楽しくしてやることが開発の――世界の意図だったりする」


 マーシーが言葉をなくす。


 「ファンタジーアースゼロのオベリスクも『アターシャの剣』も破壊されることで大きく戦力ゲージ……『リブラの天秤』が見せる帯を減衰させる。より多くのエリアを獲得することは同時に敵との最前線により多くの『剣』を立てなければいけないから、戦線が構築できないと破壊される可能性も高くなる」

 「……その通りです」

 「他にも『タワー』や『ウォール』、その他のオブジェクトを駆使するのはそれらの作業に従事することが同時に戦闘以外の大きな勝因となり、勝利に貢献したという役割責任を実感させてくれるからに他ならない。楽しんでいるんだよ。言ったろ?だから、ゲームだ」


 マーシーは複雑な表情をして俺の話を聞いていた。

 キクが茶化してくる。


 「当時も言われてたけど、まんまFEZの丸パクリやん」

 「俺もFEZは少し遊んだけど、基本システムだけぶっこ抜いてアレンジしたって感じだな。クラスによる3すくみがねえし、『剣』の『バースト効果』やアイテムの使用制限も違うし……元々MMORPGのサブコンテンツとして作られたから全くの別モンだと思った方がいい」

 「『剣』のバースト?」

 「ホレ、『剣』の真下じゃ魔法の詠唱速度が上がったり回復の速度があがったりするバーストだよ」

 「ああ!アレね。よく回復拠点として使うっていう」

 「そ。FEZ自体は回復が無いというか制限厳しいから戦線が前後してそこにも駆け引きが存在するんだが、クラスが増えた分大味になったというかFEZじゃできないようなアホな戦術も取れたりする。まあ、ファミルラの時はサブコンテンツ扱いだったしクラス間バランスなんかも考えると修正が難しかったんだ」


 俺は全ての構成を終えると光板――タブレットをマーシーに返してやる。

 何でも騎士団に伝わるアーティファクトの一つみたいでどーたらこーたらいってたけど全く聞いてなかったが、大事なものらしい。


 「……ロクロータ様はお詳しいのですね。戦女神のレジアンというのはそういうものなのでしょうか」


 悪意は無いんだろうさ。

 だけど、マーシーの言葉は俺の癇を撫でてくる。


 「勝手に人を特別扱いすんじゃねえよ。どこにでも転がってる不様な人間だよ。自分にできねえことができる人間を特別扱いして言い訳をつくるな。ムカつくんだよ。だから、てめえは雑魚なんだ」


 椅子から立ち上がると尻をはたき、事務室を立ち去ろうとする。

 キクとマーシーがきょとんとした顔で首を傾げる。


 「ロクロータ、ちょっとどこに行くの?これから作戦会議だかってやるんでしょ?」

 「ちっくらケーキ作ってくる。ホレ、チュートリアのバカも牢獄で甘シャリ無くなってる頃だろーに」


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