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中央教会からお呼び出しを申し上げます

新章お待たせいたしました。


 何という事でしょう。

 この世界に来て約3か月。ほどほどに大きいお屋敷でのほほんと暮らしてきた私に、政治的にも宗教的にもきな臭いものがきましたよ!ひゃっほー!怖い!!

 変なテンションにギアが入る程度には怖い!!!


「この国の王都にある中央教会から手紙が来ました。」


 カーライルさんの眉間にしわが寄っている。


 どうやら、先日の女神様事件が、人から人へと流れに流れ、王都にまでたどり着き、上の方々の知るところとなったらしい。

 これまではカーライルさんが保護してくれて、お屋敷の人が固く口を閉ざしていてくれたから、この周辺のちょっとした噂程度で済んでいたのだそうだ。

 本当に…どこまで行っても優秀。カーライルさん、従業員へ求めるレベルが凄く高い。

 そして、カーライルさんとしては、私自身がこの世界を知って、考えて、聖女という自身をどうするかを考えられるようになるまで匿おうとしてくれていたらしい。でなければ、何もわからないまま王侯貴族や教会関係者の都合に振り回されるだけになっていただろう。


 や、優しい…!


 何から何まで本当に優しくて尽くしてくれる人に真っ先に出会ったのだなと、言い様のない気持ちになる。

 女神様のご意思がここに運んでくれたのだと思うと、圧倒的感謝にまた天からの光が差してしまうので、今はその気持ちをそっと仕舞った。いつかまた、この気持ちを伝えるために大事にとっておかなければと、そんな気持ちで。


 それにしたって一目でここまで尽くそうとするなんてなぁ。やっぱり、申し訳なさがぬぐえない。何がそんなにカーライルさんの琴線に触れてしまったのだろうか。

 私はこの世界に来てから何度も感じたその疑問に、心底首をかしげながらも、本題へと意識を戻した。


 なにはともあれ、紆余曲折を経て中央教会から本当に聖女なのか判断するから連れてくるようにとのお達しが来てしまった様だ。

 一般人にとっては、何が起きるかさっぱりわからない所がほんとに怖い。


「中央教会へ行くと、どんな問題があるんでしょうか?」

「王都には貴族の屋敷が多くありますし、中央教会は、王城の都合等にも左右されやすいところがあり…あまり安全とはいいがたいのです。」

「中央教会は中央教会で、聖女や神子を囲おうとする性質がありますからね。アオ様の意思を尊重したいとカーライルが思うのであれば、あまりお連れしたくないというのが正直な所なのでしょう。」


 いい人過ぎるし、アレクシスさんが丁寧にそのいい人な所を解説してくれすぎる。

 しかし、なるほどなーと思う。

 普通なら、自分の発言力を高める道具にしたいよね。聖女様。

 神様から祝福されれば豊かな実りを得られるんだってさ。豊作とか、水の心配がいらないとか、安定した気候とか、そういうのって大事だもんねぇ。


「つまり、行ったが最後、自由に外に出れなくなる可能性があるのと、誰かの思惑に巻き込まれる可能性があるのと、場合によっては偽物にされたり、殺される事もありうる。という認識で間違いないですか?」

「聖女様を殺そうとすることなど…!」

「さすがにそれはないと思いますが、それ以外はあるかもしれません。」

「でも、偽物と陥れられて、死ぬという流れはあるのでは?」

「それはありそうですね。」


 伊達に長年ヲタクはやってない。

 王城だとか、宗教だとかは身近になくとも、色んな本を読み漁って来たのだよ。

 どんな手段で来そうだとか、どことどこの派閥がどうとかを具体的に知らなくても、絶対にありそうな大枠位は予想はつく。ついてもそれを回避できるわけじゃないけど。


「困ったなぁ。」


 私は無力だ…。

 ため息をついた。

 できれば私も、カーライルさんの当初の目的通り、優しく匿ってもらって目標を見つけて自分で選び取りたかった。生き方を考えねばと思ったのはつい最近だけど…反省してる。


「出発日をのらりくらりと延ばしてみますか?」

「うーん…遅れさせてどうなる物でもないような。」

「それもそうですね。」


 提案しておいてあっさりとアレクシスさんはそう言う。なんだそりゃと思ったけど、何かおかげで肩の力が抜けた。


「ふふふ、何ですかそれ。」


 二人の様子を見るに、延期にはできても、拒むことはできない様だ。


「聖女様が望まれないのであれば、わたくしは全力で中央の動きを阻止致します。」


 難しい事でも力強くそう言ってくれるカーライルさんはすごく頼もしくて頼りたくなる。

 でも、それは良くない事だ。と、私は自分に言い聞かせる。


「でも、ずっと阻止し続けられるものではない…ですよね?」

「当然ですね。」

「しかし…」


「中央に行って、起きる可能性の中で何が困るのか、それをどう回避するか…?逆に、私がどうしたいかが決まっていないとこの方針は決めようがない…?」


 私は煩雑になりそうな思考をまとめるため、いくつもの可能性と考えるための素材を頭の中をまとめ直す。望みが定まらないのなら、私の意思に沿おうとする二人の行動指針も定まらない。全員が目標地点を見誤っているのが一番困る状況を作る。


 うーんうーんと考え、とりあえず、少し頭を冷やすのが良いだろうと顔を上げた。

 すると、最近では少し見慣れて来た赤と青の双眸が、真っすぐ私を見ていた。というか、観察していたみたいな顔をしている。


「ど、どうかしましたか?」


 びっくりして少し後ろに逃げ腰になる。


「考えがまとまりましたか?」

「途中からわたくしどもの声が聞こえてないご様子でしたので…」


 どうやら二人をお待たせしてしまっていたらしい。うぅ…なんていうか、たくさん話をするようになってから、自分の至らなさを露呈してばかりなんだよね。恥ずかしい。


「お待たせして申し訳ないです。」


 コホン と、咳ばらいをして私は二人に提案する。

 まずは焦ってものを考えてもいけないし、無暗に動くのも悪手だろう。私の考えに、二人も頷き賛同してくれた。


 できれば政治に巻き込まれたくはないんだよなぁ。



お久しぶりです。

無事三次元製作が終わったので新章突入となりました。

新しいキャラが増えていく予定なので、話がごちゃごちゃしないように頑張りたいところです。

また暫しお付き合いください。


あと、良ければ下のランキングぽちっとしていただけたら嬉しいです。

では、また次話でお会いしましょう。

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