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これからの話をしよう


 さて、ご飯を食べ、お茶を飲み、ひと心地ついたところで、話の続きとしましょうか。


 鶏肉とパン最高だったとか、そういうのはまたの機会に話せばいい。

 いや…そういう話、だいたいいつも神様にしてるんだけどね。私

 この世界に来てからお屋敷でお世話になって、拝まれたくないから人を避けて、またぼっちの道を歩もうとしてた事に気づいちゃったよ。か…悲しい…話せるのが神様だけって、友達はネットにいるよ!状態と変わらないのでは?という気がしてきた。

 と、友達は天にいる…よ…?


 はいはい、それはともかく、アレクシスさんにも女神様が見えていたのか聞いたところ、やっぱり見えてなかったらしい。

 カーライルさんから聞いたのとほぼ一緒だった。

 そして、聞きたくない一言をこの方もつけ加えてくれた。


「アオ様の、光に透けた髪やドレスの輝きが、まるで普段屋敷で拝見するこの地の神様の様に私には見えましたね。民からしても、あの瞬間、アオ様こそが神々のお一人の様に見えていたのでは?」


 と…


「ナニソレコワイ」


 思わず携帯で呟くときと同じ状態でヲタを発動してしまった。


 ナニソレコワイ(棒読み真顔)


「至上の御方が去られた後、聖女様のご様子が心ここにあらずといった状態だったので、心配になりお声をかけましたところ、驚かせてしまった様で…あの時は申し訳ありませんでした。」

「後ろに転びそうになった際、我々で支えさせていただいたのですが、直後、民たちも教会関係者も興奮状態に陥り、アオ様の元に押し寄せて来たので何とかこの部屋にアオ様を避難させて頂いた次第です。」

「なるほど…それで、カーテンも鍵も閉められていたんですね。」


 無事で良かった…二人に感謝だな。


「お互い、この様な事が起こるのは予想外だったわけですし、謝るのはやめにしませんか?守っていただき、ありがとうございます。」


 何度も何度も謝罪を繰り返すカーライルさんに、むしろこちらの方が心が痛くなる。

 よくわかったが、引き金は自分だ。

 そして、結局のところ悪いのは、むやみやたらと神様を呼んでしまう自分であり、呼んでいい状況かをわかっていない無知である。知らないとわかってて動いて、だって知らなかったもん!と子供の様な恥ずかしい事を言うのは、私にはできないなぁ。


「私の無知が招いた事態です。」


 はっきりと言うのは緊張する。

 自分の責任を果たすというのは、怖い事でもある。


「この世界の事、聖女の事、これからの事をきちんと責任を持って考えたい。ご助力頂ければ幸いです。」


 しかし、今の私では責任をとれないのも知っている。

 さっきの騒ぎは、カーライルさんが何とか一旦解散させた状態にすぎないというのも、二人の警戒度合いからもわかる。

 何とか視線をそらさずに二人に話しているのは、まぁ、最後に張り付けた大人の意地だ。


「家庭教師としての本分は果たします。」


 すぐに言葉を返してくれたのはアレクシスさんだ。相変わらずにこりともしないし、声に感情をのせる事もないが、平坦な所が安心できて私は好きだ。

 役割はこなす。

 余計なことは言わないし聞かない。

 というか、ビジネスライク以上の状況だと、私がほんとにアレクシスさん過剰摂取で死ぬので、これ以上はいらない。無理。


「聖女様が我々よりも長く人生を歩まれてきたのだという事を、今更ながらに理解致しました。」


 いや、この見た目で三十路を過ぎている事の方が衝撃だろう。アレクシスさんの態度の方がたぶん常人離れしていると思う。


「力不足ではございますが、全力でお支え致します。」


 むず痒いがありがたい。


「今後とも宜しくお願いします。カーライルさん、アレクシスさん」


 二人との関係が、一歩前進したような気がする。たぶん。




 さて、それから後が大変だった。


 まず屋敷に帰るのにコソコソしようにも、人目がありすぎてコソコソできず。

 何とか帰り着いたものの、周辺住民からどんどん話が伝播していき、私のお披露目を今か今かと待ち望まれている状態となった。勘弁してほしい。



 ただし、お披露目をするかしないか決まる前に、更にでっかい山がやってきたのだった。




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