014 月曜の朝から、嘘でしょ!?
――月曜の朝。
昨夜は遅くまでエルデンリングのマレニア戦で死にまくり。
「千の死を超えてなお立ち上がるッ!」と叫びながら――気づけば午前2時半。
結果、起床はギリギリ。
今日はよりによって「溜池山王」で大事な打ち合わせ。
スーツをビシッと決めて、気合を入れて……行くはずだった。
……ところが。
土日の間に伸び放題のヒゲ。
慌てて電動シェイバーを手に取ったら――
点滅。
……充電切れ寸前。
「え?なんで今日に限って……」
さらに追い打ち。
――電源コードが見つからない!
「ぉわわわわわ……やばいやばいやばい!」
洗面所をひっくり返すも発見できず。
もうやけくそで、そのままシェイバーをブチあてた。
結果――
……ガツッ!!
濃いヒゲに刃が絡んで、シェイバー即死。
しかも手を放しても、髭に絡んだまま落ちてこない。
鏡の前で、アゴに電動シェイバーをぶら下げて固まる中年男。
ピタッと止まったシェイバー。
止まらない痛み。
そして、こみ上げる涙。
ようやく外れたときには――
右半分は剃れていない。
左半分も……まばら模様。
――悲惨な「迷彩柄ヒゲおじさん」の完成である。
このまま客先に行けるわけもなく、駅前のコンビニへダッシュ!
棚の下の方に眠っていた、安物の電気カミソリを発見。
「……これください」
レジの若いお姉さんに「察し」の、顎への視線を浴び、さらに羞恥ダメージ。
(もう俺のライフは、残り3……)
客先のトイレでなんとか間に合ったけど、頬はヒリヒリ。
商談もヒリヒリ。
そして心はズタズタ。
◇
【今日の教訓】
月曜の朝に「ガツッ!」と止まるのは、シェイバーだけじゃない。
俺の人生も、たまにガツッと止まる。
でも――コンビニの安物で命を繋ぐこともある。
そして俺は今日も思う。
「おい、ヒゲ剃りよ、なぜ月曜の朝に限って裏切るんだ!」
……いや、裏切ってるのは、毎回ギリギリに起きる俺自身か。
それでも――
今夜もマレニアに挑み、明日もギリギリになるんだろうけど。(笑)
さぁて、帰って電源コード探そっと。
【了】




